若い社員たちのやる気を著しく下げる「無駄会議のベスト3」を解説します(写真:takeuchi masato/PIXTA)

「優しく接していたら、成長できないと不安を持たれる」

「成長を願って厳しくしたら、パワハラと言われる」

ゆるくてもダメ、ブラックはもちろんダメな時代には、どのようなマネジメントが必要なのか。このたび、経営コンサルタントとして200社以上の経営者・マネジャーを支援した実績を持つ横山信弘氏が、部下を成長させつつ、良好な関係を保つ「ちょうどよいマネジメント」を解説した『若者に辞められると困るので、強く言えません:マネジャーの心の負担を減らす11のルール』を出版した。

本記事では、若い社員たちのやる気を著しく下げる無駄会議のベスト3を、書籍の内容に沿って解説する。

会議中毒になっていないか?


世の中には、会議中毒の経営者やマネジャーがいる。

会議をして移動し、また会議をして移動する。新幹線や飛行機に乗って出張するのは会議のため――という人だ。そんな経営者やマネジャーを迎えるため、現場は、資料作り、事前打ち合わせ、根回しなどもする。

やがて、会議が増えすぎて人を増やし、やがてその人たちが新しい部署を作る。その部署のメンバーが「作業を効率化させたい」と問題提起をしてさらに会議をし、新しい情報システムを構築しようと検討会議が始まる……。

まさに「会議地獄」だ。

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントだ。だから、業績が悪い会社ほど「無駄会議」が多いことを知っている。今回は、私の経験から若者のやる気を著しく下げる無駄会議「ベスト3」発表する。

現在マネジメント業務に携わる人はぜひ最後まで読んでもらいたい。

昔も今も変わらない無駄会議「ベスト3」

私は何事も、対価をもらう以上プロフェッショナルでなければならないと考えている。だからマネジャーもマネジメントにおいてプロフェッショナルであるべきだ。では、プロフェッショナルとはどんな人を指すのだろうか?

「達人」「プロフェッショナル」と呼ばれる人は、決して無駄な動きをしない。柔道、剣道、空手道――といった武道のみならず、茶道、華道、香道といった伝統芸能における三道においても無駄な動きがなく、所作が美しいことは共通している。

マネジメントの達人が組織の中に複数人いれば、業績が悪くなるはずがない。当然、無駄会議も、無駄資料も、無駄メールもなくなるはずだ。マネジメントというのは、シンプルでなければならないからだ。

私は2012年に『脱会議』という書籍を出版している。集中連載したコラムは、ひとつの記事で100万人以上がアクセスするほど注目された。しかし残念なことに、あれから10年以上たった今でも「無駄会議」は減っていない。

それでは、昔も今も変わらない、若者がやる気をなくす無駄会議の特徴は何か? ランキング形式で発表しよう。

1位:報告だけの会議
2位:目的のよくわからない会議
3位:ネクストアクションを決めないまま終わる会議

◎1位:報告だけの会議

報告だけの会議、というのは、会議に参加者がひとりずつ現状報告をさせられるだけの会議のことだ。報告だけさせておいて、

「今期もあとわずかだから、最後まで気を抜かないように」

「何かあったら、いつでも俺のところに来い。相談にのるから」

「じゃ、そういうことで」

……で、終わる会議のことだ。

そもそも報告は会議でなくとも、メールや社内SNSを通じてあらかじめ共有できる。また、その後の問題解決や行動計画を立てることもないため、参加するメンバーも自然と受動的になってしまう。まさにやる気を下げる会議の最たる例である。

◎2位:目的のよくわからない会議

目的のよくわからない会議は、主催者ではなく会議の参加者に「今日の会議はどんな目的で参加されるのですか?」と尋ねればすぐに判明する。

往々にして、目的もわからずに「呼ばれたから参加する」「毎週月曜やってるから会議室へ行く」という人が膨大にいることがわかる。ホワイトカラーの生産性アップがこれほどまでに叫ばれているのにもかかわらず、目的も知らずに1時間も2時間も会議室へ足を運ぶ中間管理職がとても多いのだ。

目的も目標ももたずに仕事をすることがどれほど生産性を悪化させるか、ここで説明する必要はないだろう。このようなマネジャーが正しい部下育成をできるはずがない。

無駄会議は相互につながっている

◎3位:ネクストアクションを決めないまま終わる会議

会議というのは「連続ドラマ」のようなものだ。冒頭必ず、前回の振り返りをしなければいけない。そして終了間際には次回予告があってしかるべきだ。大切なことは会議の最中にあるのではなく、会議と会議のあいだに実践されている行動だ。

正しい会議が正しく連続し、相互につながっていれば、会議の目的はわかるはずだし、報告だけで終わるはずもない。今後どうしていくべきかのネクストアクションも決まるはずだ。

このベスト3の「無駄会議」の問題は、相互につながっている、と言える。

正しい会議のやり方

私は『脱会議』の著者ではあるが、会議は必要だと考えている。ただ、正しい会議のやり方よりもまず、正しいマネジメントのやり方を知ることが先だ。会議はただの道具だからだ。

マネジメントサイクルの基本はPDCA。計画を立て、そのとおりに実行し仮説検証する風土をつくることがまず第一。実行力がない組織に、会議などいっさい必要ない。会議を増やすことで実行力が伴うことなど、ありえないからだ。新刊『若者に辞められると困るので、強く言えません』に書いた通り、上司と部下とのリアルな対面コミュニケーションのほうが、はるかに大事だ。

計画の精度、実行力のある組織文化が醸成されてはじめて、定期的にチェックし、改善案を出し合うというマネジメントサイクルをまわすことができる。

「無駄会議」があふれる組織は、空気が悪くなる。タイパ(タイムパフォーマンス)を重んじる若者のやる気は著しく落ちるだろう。上司が会議に忙しいせいで、部下との接触を減らし、相互の関係も正しく構築できなくなるからだ。

まずは「無駄会議」の特徴を認識し、ひとつでも減らしていこう。「無駄会議」が多くある会社に、優秀な若者が定着するはずがない。

(横山 信弘 : 経営コラムニスト)