首相官邸に入る岸田首相と荒井首相秘書官(写真・時事通信)

 2月4日、岸田文雄首相は、「隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ」など、性的少数者(LGBT)や同性婚カップルに対する差別発言をした荒井勝喜首相秘書官を更迭した。

 首相の同性婚に関する国会答弁をめぐり、3日夜、荒井氏が、オフレコを前提にした記者団の非公式取材に官邸で応じた際の発言だった。荒井氏は「秘書官室は全員反対で、私の回りも反対だ」と強調。同性婚の合法化に関しては、「認めたら、日本を捨てる人も出てくる」などと語っていた。

 この発言を受け、毎日新聞が同日の22時57分にまず報道。他メディアも一斉に報道した。

 荒井氏は1991年に通商産業省(現・経済産業省)に入省。総括審議官などを経て、2021年10月、岸田内閣発足時に首相秘書官に起用されていた。

 作家でジャーナリストの門田隆将氏は、2月4日、自身のTwitterにこう書きこんだ。

《性的少数者や同性婚カップルにオフレコで“隣に住んでいたら嫌だ。同性婚合法化を認めたら日本を捨てる人も出てくる”と語った荒井勝喜首相秘書官を岸田首相が更迭。オフレコを記事にする記者も記者なら、平気で約束を破る記者の前でそんな事を言う愚。あり得ない事が続く政権…》

 SNSでは「オフレコ取材」を記事にすることへの賛否が渦巻いた。一方で、荒井秘書官の「脇の甘さ」を指摘する声も数多くあがっている。

《オフレコの発言を垂れ流すメディアもメディアですが、オフレコだからと問題のある事をべらべらと話す首相秘書官も首相秘書官です。そこら辺、脇が甘いんですよ》

《オフレコ取材だからと、差別感情をはっきり露呈させているのが恐ろしい…》

《何よりも、こんなに政治的センスないのに首相の秘書官になれちゃうことに驚愕した》

 首相秘書官が失言で更迭されるのは、きわめて異例。首相の秘書官をめぐっては、首相の長男で政務担当の翔太郎氏が、首相の欧州・北米歴訪時に公用車で観光したなどと報じられ、追及されてもいる。

 荒井氏の後任には、伊藤禎則氏をあてることが明らかになっているが、「脇が甘すぎる」官邸を、岸田首相は立て直すことができるだろうか。