5月5日に黒鷲旗全日本男女選抜バレーボール大会の決勝が行なわれ、男子はサントリーサンバーズ、女子は東レアローズの優勝で幕を閉じた。今後は日本代表の活動に注目が集まるが、今シーズンのVリーグで活躍した選手のなかから、代表や来シーズンも注目の男子バレーボーラー10人を紹介する。

(活躍した女子バレーボーラー10人はこちら>>)

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Photo by Hino Chizuru

宮浦健人(みやうら・けんと)
所属:ジェイテクトSTINGS オポジット・190cm
1999年2月22日生まれ
熊本県荒尾市出身 鎮西高校→早稲田大学

 サウスポーのオポジット。パワーだけでなくコースを打ち分けられる技術もあり、サーブも武器のひとつ。アンダーカテゴリーではユースのアジア選手権で金メダル、世界選手権で銅メダルを獲得し、早稲田大学ではインカレを4連覇。昨夏の東京五輪後にセリエAに挑戦した西田有志と入れ替わる形でジェイテクトに入団し、チームの主砲になった。

 ジェイテクト1年目の今シーズンは、コロナ禍での外国人選手のコンディション不良、世代交代を進めるチームが7位と苦しむなかで、総得点(全体5位)、サーブ効果率(全体2位)で日本人トップと奮闘した。昨年9月にアジア選手権でシニア代表デビューを果たしたが、今年度は代表でさらなる活躍が期待される。


photo by Kurobane Shiro

小野寺太志(おのでら・たいし)
所属:JTサンダーズ広島 ミドルブロッカー・202cm
1996年2月27日生まれ
宮城県名取市出身 東北高校→東海大学

 ブロック決定本数(セットあたり)は郄橋健太郎に次ぐ2位で、攻撃もつなぎもできるオールラウンドタイプのミドルブロッカー。今シーズンはキャプテンに就任し、若返りを図るチームを牽引した。

 東京五輪もレギュラーとして出場し、29年ぶりベスト8進出に貢献した。今年度も代表に選抜されており、パリ五輪を見据えて世界選手権でのベスト8入りを目指す。今年の誕生日に入籍するなど私生活でも充実。ますますの活躍が期待される。


Photo by Hino Chizuru

大宅真樹(おおや・まさき)
所属:サントリーサンバーズ セッター・177cm
1995年4月23日生まれ
長崎県佐世保市 
大村工業高等学校 → 東亜大学

 昨シーズンからキャプテンを務め、Vリーグ連覇を果たしたサントリーサンバーズの司令塔。キャプテンになった当初はミーティングから逃げ出すほどのプレッシャーもあったが、周りの支えもあって乗り越えた。

 今シーズンは主砲のドミトリー・ムセルスキーの合流が遅れ、柳田将洋、藤中謙也といった主力の故障離脱もあったなかでチームを引っ張り続けた。シーズン中盤には自分のトスに自信が持てずスランプにも陥ったが、ファイナル3、ファイナル第2戦では迷いを吹っ切って見事なトス回しを見せてMVPに輝いた。今年度の日本代表では、東京五輪の代表メンバーから漏れた悔しさをバネに活躍を期す。


Photo by Hino Chizuru

郄橋健太郎(たかはし・けんたろう)
所属:東レアローズ ミドルブロッカー・201cm
1995年2月8日生まれ
山形県東置賜郡川西町出身 米沢中央高校 → 筑波大学

 2015年にブレイクした「NEXT4」のひとり。石川祐希、柳田将洋、山内晶大らが代表で活躍する一方、ケガで泣くことが多く、東レでもなかなかスタメンに定着できなかった。昨年は東京五輪メンバーに漏れた悔しさもあり、五輪の直後に行なわれたアジア選手権を辞退してチームでのトレーニングに集中した。

 今シーズンはジャンプサーブからフローターサーブに変え、課題のひとつだったサーブミスの多さを克服。もともと長身でパワーがあり、俊敏性も備えるなどポテンシャルは高かったが、それを存分に活かすことができるようになってきた。今シーズンはブロック賞とベスト6を受賞し、代表での活躍にも意欲を燃やしている。


Photo by Hino Chizuru

村山豪(むらやま・ごう)
所属:ジェイテクトSTINGS ミドルブロッカー・191cm
1998年7月30日生まれ
東京都練馬区出身 駿台学園高等学校 → 早稲田大学

 現在もチームメイトの宮浦とともに、早稲田大学でインカレを連覇したメンバーのひとり。昨シーズンから内定新人としてジェイテクトでプレーし、今シーズンに正式に入団した。ミドルブロッカーとしては小柄だが指高(しこう/腕を上に伸ばした状態で地上から指先までを測った高さ)が高く、202cmのJT・小野寺太志より2cm低いだけだ。

 今シーズンの成績はブロック決定本数(1セットあたり)が4位。アタック決定率は55.2%で、規定打数に達していないため公式ランキングには掲載がないが、1位のバルトシュ・クレク(ウルフドッグス名古屋)を上回った。チームの主力として活躍し、大塚達宣と新人賞をダブル受賞した。今年度は代表にも初めて選ばれ、まずはネーションズリーグで力試しといきたい。


Photo by Hino Chizuru

柳田将洋(やなぎだ・まさひろ)
所属:サントリーサンバーズ アウトサイドヒッター・186cm
1992年7月6日生まれ
東京都江戸川区出身 東洋高校 → 慶應義塾大学 → サントリーサンバーズ → ビュール(ドイツ)→ ルビン(ポーランド)→ ユナイテッドバレーズ(ドイツ)

 チームのリーグ2連覇の立役者。世界トップクラスのオポジットであるムセルスキーが加入しても優勝に手が届かなかったサントリーに2020−21シーズンから復帰し、最後のピースとしてガッチリとハマった。ドイツやポーランドでのプレーで得た技術やコミュニケーション力を活かし、キャプテンの大宅をサポートするなどチームを支えている。

 コロナ禍の影響もあって東京五輪のメンバーから外れたことが大きなニュースになったが、今シーズンも勝負どころでのサーブやバックアタックなど攻撃力は健在。アタック決定率は日本人トップの4位で、ベスト6を受賞した。


Photo by Hino Chizuru

永露元稀(えいろ・もとき)
所属:ウルフドッグス名古屋 セッター・192cm
1996年6月8日生まれ
福岡県春日市出身 東福岡高校→東海大学

 東海大学入学後、セッターに転向した期待の"大型セッター"。在学中はフル出場も多かったが、豊田合成トレフェルサ(現ウルフドッグス名古屋)入団後は控えに回っていた。しかし今シーズン、新任したクリス・マクガウン監督がメインセッターに抜擢。チームは天皇杯で優勝し、リーグでも準優勝と好成績を収めた。

 代表には2018年に初登録されるも、本格的な活動歴はこれから。今年度は代表で「ブロックの穴にならないセッター」としての武器を活かしたい。


Photo by Hino Chizuru

大塚達宣(おおつか・たつのり)
所属:パナソニックパンサーズ(期間限定)・早稲田大学 アウトサイドヒッター・194cm
2000年11月5日生まれ
大阪府枚方市出身 洛南高校→早稲田大学

 V1リーグを席巻した「現役大学生Vリーガー」。早稲田大学に在籍しながら、期間限定でパナソニックでプレーし、たちまち中心選手として活躍。今年1月の加入前には8勝6敗と低迷していたチームのファイナル3進出の原動力となった。

 本大会での出場機会は少なかったが東京五輪にも出場し、昨年12月の大学インカレで優勝。パナソニックでは、東京五輪で金メダルを獲得したフランス代表の指揮を執ったロラン・ティリ監督の指導のもと、毎試合ごとに成長を遂げた。新人賞をダブル受賞した村山豪とともに、今年度は代表でも主力としての活躍が期待される。


Photo by Hino Chizuru

谷口渉(たにぐち・わたる)
所属:FC東京 リベロ(アウトサイドヒッター)・175cm
1996年11月5日生まれ
福岡県粕屋町出身 東福岡高校 → 中央大学

 本来はアウトサイドヒッターだが、2021年12月5日に本来のリベロである古賀太一郎が試合中に負傷(左アキレス腱断裂)して全治8カ月と診断されたため、急遽リベロとしてプレーすることになった。その3日後には、FC東京が2022年5月末日で活動を休止することが発表されるなど混乱のなかで、与えられたポジションを全うした。

 サーブレシーブ成功率は7位にランクイン。手術を終え、指示役としてベンチに戻ってきた古賀の指導を仰ぎながら、粘り強いディフェンスでチームを後押しした。ゴールデンウィークに開催された黒鷲旗大会では古賀も復帰し、サーブレシーブリベロ、ディグリベロとして交代しながらのプレーとなった。


Photo by Hino Chizuru

藤中颯志(ふじなか・そうし)
所属:VC長野トライデンツ リベロ・177cm
1999年12月2日生まれ
山口県周南市出身 宇部商業高校 → 専修大学

 今シーズンの内定新人で、加入と同時にスタメンリベロとして活躍してチームの守護神となる。3人ともV1リーグでプレーする「藤中3兄弟」の末っ子。ともにアウトサイドヒッターである2人の兄(長男はサントリーの藤中謙也、次男はジェイテクトの藤中優斗)も守備が売りだが、颯志は守備専門のポジションで躍動した。

 サーブレシーブ成功率は65.2%で、規定出場試合数を満たしていないため公式ランキングには掲載されていないが、東京五輪でプレーしたリベロの山本智大(堺ブレイザーズ)を上回る4位に相当する。今年度に初めて代表に選出された。