[画像] 【アジア最終予選ポイント展望】古橋の新天地での充実ぶりを代表でも活用すべき! 現状での最適なコンビは?

 いよいよ始まるカタール・ワールドカップのアジア最終予選。B組に入った日本は、オーストラリア、サウジアラビア、中国、オマーン、ベトナムと戦う。熾烈な戦いを森保ジャパンは勝ち抜くことができるか。予選突破への攻守のキーマン、注目すべきカードについて、スポーツライターの加部究氏に訊いた。

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 当然東京五輪のスタメンを軸に戦っていくことになるだろうが、逆に現状のコアメンバーに固執し過ぎてもいけない。特に注意深く見守っていく必要があるのが、森保一監督が全幅の信頼を置きながらJリーグに復帰する大迫勇也と酒井宏樹のパフォーマンスである。大迫は欧州で際立った結果を出し続けて来たわけではないし、ほとんど同じポジションでもプレーしていないが、ポストワークという国内では類を見ない名人芸で代えの効かない存在として君臨してきた。また酒井のボール奪取への積極的なアプローチやパワフルな攻守も、今のところ同じポジションにライバルが見当たらないほど抜けている。だがいくら彼らが意識を高く持っていても、Jリーグの強度はドイツやフランスと比べれば明らかに落ちるし、その中で欧州時代と同じ質を保つのは不可能に近い。酒井自身も森保監督に「落ちて来たと思ったら外して欲しい」と直訴したそうだが、指揮官はどこかで難しい選択を強いられることになりそうだ。

 幸い前線には勢いのあるタレントが増加傾向にある。同じ役割を託すなら、真っ先に候補に挙がるのがオナイウ阿道になるが、そろそろ森保監督自身も1トップ以外のオプションを広げていかないと世界に出て僅差の戦いを優位に導くことはできない。今シーズンに入って圧倒的なインパクトを残しているのが、セルティックで大爆発中の古橋亨梧で、この充実ぶりを代表でも活用しない手はない。1トップ、2トップ、サイドと、どこでも問題なくこなす選手なので、最適のコンビを見つけていきたい。現状では鎌田大地を配してゼロトップで臨むのがベストかもしれない。

 一方右SBの後任候補は菅原由勢、橋岡大樹、室屋成らになるが、もともと酒井自身が警告を受け易いタイプでもあり、このポジションの競争もチーム全体が安定するカギになる。他にも谷晃生がフル代表でもスタメンに、左SBに中山雄太が、遠藤航のパートナーには田中碧が定着するのか、などが焦点になる。

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 最終予選は、帰化選手を多数組み込んでいる中国とのアウェー(2戦目)から、サウジアラビア(A)、オーストラリア(H)と続く3連戦が大きな山場。中国戦は日本陣営が帰化選手に力を発揮させない戦い方を十分に検討済みだと思うが、ほんの少しでも隙を見せると波乱が芽生える。サウジアラビアとオーストラリアも含めて決して相性は悪くないので、前半の4連戦で一気にリードを広げ、ラスト2試合は余裕を持って新戦力のテストに使えるような展開に持ち込みたい。

文●加部 究(スポーツライター)
【日本代表のアジア最終予選スケジュール】
※H=ホーム A=アウェー
▼2021年
1)09.02 vs.オマーン(H)
2)09.07 vs.中国(A)※カタールで開催
3)10.07 vs.サウジアラビア(A)
4)10.12 vs.オーストラリア(H)
5)11.11 vs.ベトナム(A)
6)11.16 vs.オマーン(A)

▼2022年
7)01.27 vs.中国(H)
8)02.01 vs.サウジアラビア(H)
9)03.24 vs.オーストラリア(A)
10)03.29 vs.ベトナム(H)