鹿野:ははははは、若干似てますしね。やっぱりブラジル人は先天的にノリが良いですよね。楽しみ上手というか。
 
川上:すぐに仲良くなれます(笑)。あと向こうの人と話していると、すごくクラブ愛を感じますね。リオのファベーラの女の子に「ブラジルのサッカー選手で誰が好き?」って聞かれて、咄嗟だったんで「ネイマール」って答えたんですよ。そしたらあっさり「シット」って言われました(笑)。
 
鹿野:ネイマールはサンパウロのサントス出身だから、リオでは不人気ってことか(笑)。
 
川上:そうそう(笑)。女の子でもそういう地元意識があるんだなって、すごく驚きましたね。
 
鹿野:根付いてますね。僕も5年前のブラジル・ワールドカップに行ったんですが、自分が現地に着いたのがちょうどブラジルが敗退した日だったんですよ。
 

川上:いわゆる「ミネイロンの惨劇」(準決勝でブラジルがドイツに1−7で大敗した試合)の日ですね。
 
鹿野:だから国としてはだいぶお通夜ムードだったんですけど、その一方でアルゼンチンは決勝まで勝ち上がるわけじゃないですか。だからアルゼンチンの各地からリオに、17万人くらいが一気に押し寄せてきたんですよ(笑)。
 
川上:地理的にわりと近いとはいえ、すごい数ですね(笑)。
 
鹿野:そう。車が10万台以上とか言ってたかな。だからもう、リオの道がどこも車中泊するアルゼンチン人だらけで。それでコパカバーナ・ビーチの横幅を使った20万人クラスの壮大なパブリックビューイングで、みんなで試合を観て応援するっていう。すごい光景でしたよ、あれは本当に。
 
川上:そのパブリックビューイングには、ブラジル人はいないんですか?
 
鹿野:たまにブラジル人が入ってくると、アルゼンチン人がファンキーに迫害してましたね(笑)。完全に場を支配していました。アルゼンチンって冬はそれなりに寒いし、メッシとかを見てもあまりアナーキーなイメージがないじゃないですか? でも、やっぱりあれだけ集まると立派な「ラテン」でしたね。
 
川上:(笑)。僕もアルゼンチンには2回ほど行ったんですが、ちょっと不思議な雰囲気がありますよね。ブエノスアイレスは空気が綺麗だし、アサード(アルゼンチン式バーベキュー)も本当に美味しい。でもやっぱりリーベルとボカのライバル意識は凄まじいし、治安もなかなか危険。現地の関係者に「日が暮れてからあのエリアには行くな」って脅されたこともありました(笑)。
 
――すっかりブラジルとアルゼンチンの話で盛り上がりましたが、日本代表がコパ・アメリカに出場するのは、1999年大会以来、二度目になります。
 
鹿野:2011年大会も声が掛かっていたんだけど、東日本大震災の影響で辞退せざるをえなかったんだよね。2015年は同じ年にアジアカップがあったから同じく辞退。今年もアジアカップがあったけど、参加という流れですね。
 
川上:いずれにせよ、基本的に南米と日本はすごいラブラブですよね。それはあっちでライヴをしていても感じます。とにかく盛り上がるし、お客さんから「わざわざ来てくれてありがとう」って感じがこっちにすごく伝わってくるんですよ。それこそ地球の裏側にある国を大陸別選手権に招待してくれるなんて、ホントにありがたい。
 
鹿野:いや〜、行きたいな、ブラジルまで。
 
川上:行きたい!(笑)。しかし1999年大会って、たしか開催国のパラグアイにボコボコにされた気が……。
 
鹿野:…………そうでしたね。
 
――パラグアイには0−4で大敗し、ペルーにも2−3で負け、ボリビアとは1−1。結果的に最下位でグループリーグ敗退でした。