川上:当時はキリンカップとかでパラグアイとかメキシコ、ペルーなどと戦うと、日本はいつも僅差の試合をしていたんですよ。でも、コパ・アメリカっていうガチの舞台で戦うと、ここまで差があるのかと。現実はこうなんだって、当時すごく思ったんですよね。

鹿野:あの頃くらいの日本サッカーって、まだブラジルのスタイルをはっきりと踏襲していましたよね。それこそブラジル出身の呂比須ワグナーがコパ・アメリカでゴールを決めていたし(同大会で2ゴール)、日本も戦えるんじゃないか、これが世界への足掛かりになるんじゃなかって希望が芽生えたりもしたけど、その一方でこっ酷くやられた。その希望と現実の乖離をすごく痛感させられた大会だった記憶があります。
 
川上:そうですよね〜。「リアルな南米」の凄さをまざまざと見せつけられた気がしました。まだまだ遠いなと。
 

――その20年後に再びコパ・アメリカに参加するっていうのは、何かの縁を感じるし、日本と南米の距離感がどれだけ縮まったかを図るには最適かもですね。グループリーグで日本は、チリ、ウルグアイ、エクアドルの順に戦います。
 
川上:とくにウルグアイが強いかなと。去年の10月のキリンチャレンジカップは4−3で勝ちましたけど、あれはある意味で「偽物」のウルグアイですよね。コパ・アメリカでは「本物」が見られるはずです。
 
鹿野:あの時はいなかったスアレス、日本が先制点でも取ろうものなら、咄嗟に噛み付いてくるかもしれない。
 
川上:ガチだったらありえますね(笑)。
 
鹿野:ワールドカップの南米勢って、けっこう淡泊に見える時があるじゃないですか? とくにヨーロッパでやる大会だと。でもコパ・アメリカだと内弁慶なノリが良い方向に出ちゃうから、余計に怖いですよね。チリとかが連覇しているのって、案外そういうことも含まれている気がする。
 
川上:それ、すごくわかります。南米勢はヨーロッパでやるワールドカップより、コパ・アメリカのほうが絶対に強いと思います。気候も雰囲気も、全然違いますもんね。
 
鹿野:それでいくとウルグアイとチリはもちろん、エクアドルもかなり不気味ですよね。
 
川上:日本で知名度の高い選手は少ないですけど、まったくもって侮れないですね。
 
鹿野:勝ちに行くではなく、勝てると思って迫ってくる強さみたいなのがありそうな気が。なんとかグループリーグを突破して、ブラジルかアルゼンチンとの試合が見たいな。この2か国とガチで戦える機会なんてそうそうないですもんね。
 
川上:見たいですね〜。ブラジルはロシア・ワールドカップも優勝できるじゃなかって思ってたんですけどね〜。ネイマールが大袈裟に倒れてばっかりだった(笑)。オモシロ動画にされちゃったくらいでしたからね。
 
――ネイマールは今大会も主役の1人として期待されていましたが、6月5日の親善試合で足首を負傷し、コパ・アメリカを欠場することになりました。
 
鹿野:地元開催ですし、ネイマールにとっては本当の本気の正念場の大会だったはずですけどね……。さっきの川上さんの話じゃないけど、ブラジル人たちは心底はまだ彼を認めていない。ペレ、ジーコ、ロナウド、ロナウジーニョのような本当の意味でのセレソン・レジェンドになれるかどうかの、そろそろ瀬戸際だと思うんですよね。
 
川上:能力的にはレジェンドたちと大差ないわけで、あとはメンタルですよね、ホントに。コパ・アメリカで見たかったな〜。
 
――アルゼンチンだとやっぱり注目はメッシでしょうか。ワールドカップの後は代表活動を自粛していましたが、今年3月に復帰しています。メッシは実はA代表では無冠なので、意気込みも相当なものだと思います。