「GAFAの本質」は、積極的に使ってみないとわからない(画像:Urupong / iStock)

Google、Apple、FacebookAmazon――GAFA。
これら4社は、私たちの生活とビジネスのルールを根本から変えつつあり、これからも変え続けるだろう。「GAFA(ガーファ)」という言葉は、「2018ユーキャン新語・流行語大賞」候補にもノミネートされた。
GAFAの強さの秘密を明かし、その影響力に警鐘を鳴らす書籍『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』は、日本だけでなく世界22カ国で続々と刊行され、話題を集めている。
本書では、「GAFAが支配する世界で個人が成功する」ための23の秘訣を紹介している。そのうちの4つを、本書を一部抜粋のうえ再編集してお届けする。

「よい職」は何かをなしとげた人の特権になった

ある分野で目標を達成できた人は、すべての分野で目標を達成できる。フィールドホッケーの地区リーグで決勝に進む。小学校の綴りコンクールで優勝する。軍服に勲章を飾る。何かをなしとげることは、何度でも繰り返せる習慣だ。


『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』は、10万部のベストセラーとなっている(画像をクリックすると特設サイトにジャンプします)

そもそも競争に参加していなければ、勝者にはなれない。勝つためにはまずフィールドに出て、リスクを背負い(顔を殴られるかもしれない)、ときには失敗の屈辱に耐えなければならない。それでこそ何かをなしとげられる。競争には勇敢さと、行動する意志が必要だ。

スティーブ・ジョブズは2000年にアップルに戻り、自分はAランクの人間しか雇わないと発表して厳しく批判された。Aランクの人間はAランクの人間を雇い、Bランクの人間はCランクの人間を雇うと言ったのだ。しかし彼の言うことは正しかった。勝者は他の勝者を知っている。入賞レベルの人間を雇うだけではライバルに脅かされる。

競争に参加するには何事にもへこたれない根性がいる。持久力が必要なスポーツ(ボート、体操、水球、陸上)は、根性を育てる絶好の機会だ。

ボートの訓練にたとえるなら、800メートル地点で吐いて、1400メートル地点で意識が遠のき始めてなお、2000メートルを漕ぎきる経験を積むべきだ。そうすれば気難しい客にも対応できるし、意志の力で成果を「よい」から「すばらしい」のレベルに押し上げることができる。

GAFAを受け入れ、その本質を理解する

あなたがすでに中年ならば、どうするか。絶望して引き下がるしかないのだろうか。

いや、まだ大丈夫。私は52歳で、平均すると25歳は年下の社員たちと仕事をしている。私の会社にも何人かは私のような年配社員がいる。

その全員に共通していることが1つある。若い人たちを扱う方法を知っていて(明確な目標、指標、彼らに投資する、共感する)、GAFAとうまくつき合えること。つまりそれらを理解し、活用するよう努めていることだ。

55歳でソーシャル・メディアを使えないと(得々と)語る人間は、あきらめてしまったか、ただ怖がっているだけだ。

ゲームに参加しろ。アプリをダウンロードして使うのだ。あらゆるソーシャル・メディアのプラットフォームを利用しよう(わかった、スナップチャットは除く。あれを使うには年をとりすぎている)。さらに大事なのは、それらを理解しようとすることだ。

いくつかのキーワードを設定し、動画をグーグルやYouTubeに投稿する。「私はビジネスは嫌いだ」と言う管理職はいない。GAFAは大きなビジネスを支配している。影響を受けないものはない。それらを使いこなせなければ、ビジネスを営むことは(しだいに)できなくなる。

私は生まれつきテクノロジーが好きなわけではない(大学のプロフィール欄にそんなことは書かないが)。しかし世間で評価される存在になって、自分と家族の経済的安定を手に入れたいという気持ちは強い。

だから私はフェイスブックにも参加して、なんとなく理解もしている。好みとしては自分のフェイスブックのホームページにバナーをつけて(本当にそういう言い方をするかわからないが)「連絡をとらないのには理由がある」と書いておきたいところだ。

しかしそんなことはせずに"ダークポスト"とは何かを理解するよう努める。インスタグラムに移って広告をクリックする。そしてなぜブランドは(私が理解できる)テレビではなくインスタグラムに広告を出すのか、解明する努力を続ける。

GAFAを使うこと、そしてそれを理解することは、テーブルに賭け金を置くことだ。さあ、ゲームに参加しよう。

自分の名前で検索する「エゴサーチ」を大切にする

あなたは心理的に成熟していて、好奇心も根性も持ち合わせている。しかしそれはあなただけではない。どうすれば他の聡明な者たちから抜きんでることができるだろうか。第一に、自分の特技を強調して、自信を持ってできる仕事の限界を広げておく必要がある。

次の質問を考えてほしい。あなたを宣伝するメディアは何だろうか。ビールならテレビ、高級ブランドなら出版物だが、"あなた"を宣伝するのにいちばんよいメディアは何か。インスタグラム、YouTube、ツイッター、企業のスポーツチーム、スピーチ、本、青年社長会、アルコール(そう、うまく使えば酒もあなたの楽しさや魅力を伝えるメディアになる)、あるいは食事。

あなたには自分のすばらしさを広めるためのメディアが必要だ。よい仕事をしても、それを宣伝して自分のものだと主張しないと、正当な報酬は得られない。自分を宣伝するなんてみっともない、質の高い仕事をしていれば見てくれる人がいるはずだと思いたくなる。しかし現実はそうはならない。あなたのすばらしさに触れる機会のない人のほうが圧倒的に多い。

10人、1000人、1万人にあなたを伝える方法を考えてみてほしい。幸いなことに、いまはソーシャル・メディアという便利な手段がある。ただしそこで目立つためには、殴り合いくらい激しい競争を勝ち抜かなくてはならない。

私にはツイッターで5万8000人のフォロワーがいる。そこそこの数だが、すごいというレベルではない。それでもここまで増やすのに、1日15分かけた投稿を6年続けた。

私たちの週刊「ウィナーズ&ルーザーズ」の動画は、週に40万回視聴されている。しかし138週前に公開した1本目の動画の視聴回数は785回だった。これは私と9歳の子どもがふざけて、家庭用ビデオで撮影したものではない。アニメーター、編集者、調査員、スタジオ、メディア(そこで配信と視聴回数を買っているのだ)に、2年半にわたり継続的に投資をしてきた結果なのだ。

文章がうまい人もいれば映像表現がうまい人もいる。あなたの得意なものに積極的に投資して、弱みが足を引っ張らないよう工夫をする。

雇用主から同僚たち、将来の伴侶まで、みんながあなたのことを調べている。その人たちに自分のいちばんいい姿を見せていることを常に確かめる。

自分のことをググってみよう。出てきた結果が自分のよさを十分に伝えていないと感じたら、修正してもっといいものにするのだ。

GAFA時代の「セクシーな仕事」は儲けが少ない

人気業種の最先端企業には過剰なほどの投資が集まる。しかし人的資本の利益率(この場合、労働への報酬)は減少する。

もし『ヴォーグ』で働く、映画を製作する、レストランを開くことが望みなら、その仕事で得られるのは、主に心理的満足であると覚悟しておくべきだ。労力に対する報酬は最低レベルである可能性が高い。

競争は激烈だ。なんとか参入できたとしても、うしろから追いかけてくる実力のある若手にすぐ取って代わられる。

エクソンで働きたいという高卒の子はほとんどいない。しかし大企業の中核部門なら、急成長したホットな企業ではありえない定期的な昇進が望める。子どもがいるなら特に安定性は重要だ。

45歳になったとき将来の心配をしたくはない。週末にはバンドで演奏。夜間の写真学校に通う。少しずつ続けて、ある程度の貯蓄ができたら全力でそれに取り組む。早くから大金を稼げるようになれば、複利のおかげで、将来はそれほど稼ぐ必要はなくなる。

誰もが憧れるホットな業界は、家賃を払うだけで精いっぱいになる可能性がある。キャリアも安定した将来もなく、天才と呼ばれることもない。

私はスムージーのバーや新しいファッション、あるいは音楽レーベルには投資しない。私が手を出したものの中で最も成功したのは調査会社だ。

頭のいい人が、病院のスケジューリングを向上させるパッケージ・ソフトウェアについての恐ろしく退屈な話をしながら興奮していたら、そこに金の匂いを感じる。

(翻訳:渡会 圭子)