106位のダニエルに敗れたジョコビッチ、らしからぬミス続出にがっくり

 男子テニスのBNPパリバ・オープンの男子シングル2回戦は11日(日本時間12日)、世界ランク106位のダニエル太郎(エイブル)が元世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)をフルセットの死闘の末に7-6、4-6、6-1で撃破した。ATP公式中継サイト「テニスTV」は大金星の瞬間を動画付きで紹介。一方、右肘の故障から完全復活を目指すジョコビッチは金星献上を「とても奇妙だ」と嘆いている。地元紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じている。

 1-5でリードされた第3セット。ジョコビッチは最後のフォアハンドが外れ、初戦敗退が決まると、座り込んで喜びを噛みしめるダニエルに対して、右手の親指をサムアップ。握手と抱擁を交わしながら激励するなど、かつての王者は懐の深さも示した。

「テニスTV」はダニエルの歓喜の大金星の瞬間を公式ツイッターに動画付きで紹介。一方、記事によると、まさかの番狂わせを演出してしまったジョコビッチは、こう振り返っている。

「とても奇妙だ。私は完全にリズムを失っていた」

 序盤に本来の力強さを見せたが、らしからぬミスを連発。ATP公式サイトによると、アンフォーストエラーは61本を数えた。

得意のバックハンドがことごとくミスに ジョコはまだ本来の感覚を取り戻せていない

 同紙の記事では、ジョコビッチは「あまりに多くのアンフォーストエラーを犯してしまった。ベースラインからのリズムを見出すことができなかった。特にバックハンドで。これは自分のキャリアを通じて、盤石のショットだった。理解し難く、らしからぬエラーもあったが、これは今この瞬間に迎えている特有の事情によるものだと思う」と振り返っている。

 かつての「ビッグ4」の一角が、絶対の武器としていたバックハンドがいつもの精度を欠いていた。現在世界ランク13位のジョコビッチは1月の全仏オープン4回戦でチョン・ヒョン(韓国)に敗れた後、右肘の手術に踏み切っており、その影響を否定しなかった。

 故障再発の可能性については、「それはないだろう」と話したジョコビッチだが、一方で「ここ9か月間で何試合かこなしただけなので、自分はフィットしているのかどうか、自分の中で葛藤がある。痛みはなくても考えてしまう。ここ2年間引きずっていたものだからね」と説明しているという。

 ダニエルがランク20位以上の選手を倒したのはこの試合が初。自らのミスから、金星を献上したかつての王者。完全復活にはもう少し時間がかかりそうだ。(THE ANSWER編集部)