試着室内での撮影に関する投稿が先日、SNS上で話題になりました。投稿者は、SNS上で最近よく目にする写真として「試着室でのドヤ写真」を挙げ、購入前の服を試着した姿をスマートフォンで撮影して投稿する人が増加していることを指摘。「試着室だと店員さんがわからなかったりする」「買わなくても記念で写真撮る認識?それとも、売ってる物と自分の所有物の区別がついてない感じ?まじで?」「どうしてSNSに上げてしまうのか」と疑問を呈しました。

 これを受けてSNS上では「理解できない」「アクセサリーやぬいぐるみでも同じことしてる人いますね」「食品で言うと、買う前に食べてるのと同じこと」などの声が上がっていますが、試着室内での撮影やSNS上にアップする行為に法的問題はないのでしょうか。オトナンサー編集部では、芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

書店では「デジタル万引き」が問題に

Q.購入前の商品を試着した姿を無断で撮影する行為や、その写真をSNSなどにアップする行為に法的問題はありますか。

牧野さん「試着した姿を自分が楽しむために自分で無断で撮影する行為は、通常の場合は法律違反に問われないでしょう。以前、書店にて、本の気に入ったページの写真をスマートフォンなどで撮影することが『デジタル万引き』と呼ばれて問題になりましたが、このケースも同様の問題です。本のページの撮影行為も、自分で楽しむためであれば著作権の侵害にはあたらないため(ただしSNSなどにアップするのはNG)、書店では『撮影禁止』などの張り紙をし、来店者に契約上の義務を課して契約違反を問おうとするケースが多かったと思います。なお、試着した姿の写真をSNSにアップする行為についても、試着した服が例外的に著作権などの知的財産権で保護されていれば別ですが、通常は法律違反に問われないでしょう。自分で撮影した自分の姿をアップしている以上、他人の肖像権の侵害にもあたりません」

Q.「店内撮影NG」のお店の場合はどうなりますか。

牧野さん「『店内撮影NG』を明記しているお店では、来店者に契約上の義務を課して契約違反を問おうとするものと思われます。来店者の同意が認められ、契約が成立しているかどうかについては争う余地がありますが、お店とのトラブルを避けるためには控えた方がよいでしょう。『店内撮影OK』を明記しているお店は当然、店内撮影を承諾しているため問題ありません。お店も、写真をSNSにアップされることで店や商品の宣伝になる側面もあるので、撮影を好意的に捉えているお店があることは事実でしょう」

Q.その他、店内での撮影に関して法的問題となりうる行為はありますか。

牧野さん「試着室ではなく、店内で試着した自分の姿を無断で撮影する場合、ほかの客が写り込んでしまうと他人の肖像権の侵害にあたるため、注意が必要です」

(オトナンサー編集部)