■エグゼクティブはいかに外見を磨いているのか?

総じて「エグゼクティブ」と呼ばれる人たちは見た目の印象がよい。彼らは外見をどのように磨いているのだろうか。

「前提として経営層などのエグゼクティブは、自分自身と向き合う機会が一般社員に比べはるかに多いです。その結果、自然と外見にもその意識を行き渡らせるのです」(予防医学研究者 石川善樹氏)

会社の舵取りをするマネジメント層は、一般社員やメディアから「今後の目標・方針」などを頻繁に聞かれ、また日々の細かな案件に関して速やかに決断をしなければならない。その際、「自分は、どうありたいのか?」とエグゼクティブたちは自問自答する。もしくは自分を振り返る。多くの人から注目される中で、エグゼクティブは当然「見た目」を意識せざるをえない。「露出度の高い彼らは効果的な発信力を備えるには、見た目も重要だということを十分に認識しています」(石川氏)。

石川氏は、先日、アメリカのフロリダの「ヒューマン・パフォーマンス・インスティテュート」を取材した。

■参加費5000ドル!「外見」劇的変化

これは、アメリカのトップアスリートや優良企業の経営者などが参加している研修プログラム。スポーツ心理学の権威、ジム・レーヤー氏が主宰しており、強いプレッシャー(ストレス)の中で最大のパフォーマンスを発揮するための講義と実習を泊まりがけでする。2泊3日で参加費はおよそ5000ドルだという。

そのカリキュラムの中には、最新の心理学や大脳生理学を踏まえた食事栄養学、睡眠学、運動学、エクササイズ法などが含まれているが、「自己はどうありたいか」を考えるプロセスもある。これにより、自分の外見に関して劇的に意識を改めることができるのだ。

石川氏によれば、P&Gでは日本支社を含め、グローバルにこのジム氏のメソッドをベースにした「コーポレート・アスリート」プログラムをマネジメント層だけでなく、一般社員も実践している。

「このメソッドは、ストレス&リカバリーという考えが基本。ストレスやプレッシャーの中で1日の仕事の疲れをどれくらい回復し、翌日に備えるか。そのための日々のエクササイズや食事などに注意を払うことで、心や体の調子、そして体形も次第に整ってくるのです」(予防医学研究者 石川善樹氏)

その結果がボディラインや顔の表情などの見た目にも反映されるのだろう。

また、こと運動に関してはグラフを見てもわかるように、年収の高い人ほど「運動習慣なし」の率が低い。

つまり、習慣的に体を動かしているということがわかる。運動を日常の中に取り入れれば、自然と、肥満などネガティブな印象を持たれやすい見た目になることは減るというわけだ。

年収の高い人は、仕事も忙しいはずだ。しかし、しっかりエクササイズの時間をつくり、実践している。要は、運動を習慣化することによる体力増進や体形維持の重要性とメリットに気づいているということだろう。

 

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石川善樹
予防医学研究者。医学博士。瞑想(マインドフルネス)や食事、睡眠など最新科学をわかりやすく解説した最新著『疲れない脳をつくる生活習慣』(弊社刊)が大好評発売中。

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(プレジデントオンライン編集部 大塚 常好)