ACL浦和戦での乱闘騒動で済州に厳罰、クラブ側は不服として控訴へ

 浦和レッズとのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のゲームで、試合中、試合後と暴力行為を働いた済州ユナイテッド(韓国)には、アジアサッカー連盟(AFC)から3選手に出場停止や制裁金、クラブに制裁金の処分が科されたが、これを不服とする済州は最終的にスポーツ仲裁裁判所(CAS)に達するまで争う、徹底抗戦の構えを見せているという。

 韓国紙「スポーツ朝鮮」が報じている。

 5月31日に行われたACLラウンド16第2戦で、済州は衝撃的な蛮行に及んだ。浦和が延長戦に入り3-0として、2戦合計3-2と逆転した試合終了間際、両チームの選手が小競り合いを起こしたところで、済州の控えDFペク・ドンギュがビブスを着たままピッチに乱入。仲裁に入っていた浦和MF阿部勇樹にジャンピングエルボーを見舞うという、前代未聞の退場劇となった。さらに試合終了後には怒りを露わにした済州側が、浦和の選手やスタッフに対して暴行を働き、浦和DF槙野智章は済州の選手たちに追いかけられながらロッカールームに引き上げた。

 済州の合計3選手がレッドカードを受ける事態となったが、そのなかで最も重い処分となったのは、後半36分に2枚目のイエローカードを受けて退場となりながら、試合後にピッチに戻って乱闘騒ぎに加わり主審に危害を加えたDFチョ・ヨンヒョンで、6カ月間の資格停止と制裁金2万ドル(約220万円)、阿部に暴行を働いたDFペク・ドンギュは3カ月間の資格停止と制裁金1万5000ドル(約165万円)、DFクォン・ハンジンには2試合出場停止と制裁金1000ドル(約11万円)の処分が下され、済州はチーム自体にも4万ドル(約440万円)の制裁金が科されている。

 しかし、これらの処分を不服とする済州は、チーム代表のチャン・ソクス氏のコメントとして「私たちの間違えは認めるが処分は過剰だ。チームの名誉ではなく、選手のためにできることは試みる。CASまで念頭に置いている」と、AFCに対する控訴手続きから、最終的にはCASへの申し立ても辞さない構えを明らかにしているという。

「AFCは韓国勢に常に厳しい」という主張も

 済州の主張は、チョ・ヨンヒョンやペク・ドンギュは、過去にもっと酷い行為を行った選手よりも処分が重いことであり、さらにはAFCが韓国勢に対して常に厳しい判断を下すというものだ。

 また、8日に10枚にわたる浦和の挑発行為などを記した意見書をAFCに提出したにもかかわらず、9日の懲戒委員会でイエメン、サウジアラビア、イランの3人のメンバーが直接会合でなくオンライン上での話し合いで決定したとして、事前に処分が決まっていたのではないかとの疑いを持っているという。

 同紙は済州側の狙いを選手たちの出場停止期間の短縮にあるとしているが、済州は埼玉スタジアムのピッチで及んだ蛮行を、泥沼の法廷闘争にまで持ち込むことも辞さない構えを見せている。

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フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images