(台南 7日 中央社)与党・民進党所属の頼清徳台南市長が5日、市議会で「わたしは親中で、反中ではない。親中愛台だ」と発言し、波紋が広がっている。総統府は発言に対し、総統府がこれまで有してきた見方と一致していると理解を示した一方、野党・国民党の幹部は政治的誠実性が全くないと批判している。

頼市長の発言は、5日の市議会で国民党所属の市議から自身の反中、台湾独立思想の有無について質問された際の答弁で飛び出した。頼市長は6日、この発言の真意を報道陣に説明。台湾は本来、中国大陸と平和的に付き合いたいと考えているとし、中国大陸も台湾も互いに親しくなり協力していくべきだと述べた。

総統府の林鶴明報道官は6日、頼市長の発言を受け、健全な両岸(台湾と中国大陸)交流にはいかなる政治的前提も設けてはならず、不当な妨害があるべきではないと言及。地域の平和や両岸の安定維持に尽力する台湾の政策や立場は明確で一致しているとし、双方の良好なやり取りを通じ、対立と意見の相違を徐々に解決させられればと訴えた。

一方、国民党文化伝播委員会の胡文キ副主任委員は7日、頼市長が2015年に市議会で台湾独立を主張していたことに触れ、今になって「親中愛台」を叫ぶのは自分の顔に泥を塗るようなものだと非難した。(キ=王へんに奇)

頼市長の発言にからみ、6日の台北市議会で両岸問題に対する態度を質問された無所属の柯文哲台北市長は、「私は友中でいい」「友中、親米、日本頼り」だと語った。

(張栄祥、呂欣ケイ、謝佳珍、游凱翔/編集:名切千絵)