中国は現在、かつての日本と同じように「大量生産、大量消費」の段階にあり、都市部では大量に出る生活ゴミの処理が問題となっている。ゴミ問題を解決するためには、住民1人1人が極力ゴミが出ないよう心がけ、分別とリサイクルを徹底することのほか、自治体としてはゴミ処理場における処理能力の確保が必要になるだろう。

 運搬コストの点から考えれば、都市から出たゴミはその都市の近くで処理することが望ましいが、都市の近くに設置する場合は焼却処分などを行っても有害な物質が撒き散らされないよう住民や環境への配慮も必要になってくる。

 中国メディアの環衛科技網は5日付で、ゴミ処理の方法やゴミ対策を学ぶために日本を視察で訪れたという中国人による手記を掲載し、中国が日本から学ぶべきことは多いと伝えている。

 記事は東京都のゴミ処理を視察する目的で実際に日本に足を運んだという中国人が、東京都内に存在する清掃工場(ゴミ処分場)の数の多さに驚嘆したことを紹介している。東京23区の面積は北京の半分以下であるにも関わらず、21もの清掃工場が存在すると説明、これに対して北京市には焼却処分場がわずか3つしかないと指摘した。

 さらに中国のゴミ処分場は居住区との間に通常300-500メートルの距離を設定するよう要求されるが、日本の場合は大きな公園や室内プール、熱帯植物園などの施設を配置するなどして、住環境に溶け込ませる配慮が見られたと説明。また、これができるのも、有害物質の排出を低減させる技術があるためだとしたほか、清掃工場の周辺には汚染物質の排出レベルを示すモニターが設置されているとし、東京における清掃工場の運営は近隣住民にとって「透明度が高い」ものだったと称賛した。

 大量生産、大量消費の中国社会において、モノをどれだけクリーンな方法で廃棄し、処分するかは、モノをどれだけ生産できるか、またどれほど付加価値の高い製品を生産できるかと同じくらい重要な価値を持つ。この点で日本はまさに先進国の名に恥じない国だといえるだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)