28日に春節を迎えた中国は新年の祝賀ムードに包まれている。安倍晋三首相をはじめ各国の首脳がお祝いメッセージを発表しており、中国が常任理事国を務める国連も中国版ツイッター・微博(ウェイボー)のアカウントを通じて発信している。しかし、その中には中国国民の反感を買うものもあったようだ。

 中国メディア・鳳凰網は28日、「国連が大晦日の夜に発表したツイートが、中国のネットユーザーを怒らせた」とする記事を掲載した。記事は、春節の大晦日である「除夕」の夜は世界の中華系市民にとって最も重要な日であるとしたうえで、微博の国連公式アカウントが「このような2つの新春祝賀メッセージを続けざまに発した」と伝えた。

 そのうえで、画像を張り付ける形で国連アカウントが発した2つのメッセージの内容を紹介。1つ目は、2分割された画面の片側は花火が上がり、もう片側は爆弾が爆発する映像で始まる動画メッセージだ。「花火側」では幸せそうに生活する人びとの映像が流れ、「爆弾側」では難民の辛く苦しい生活の様子が流れる。そして、
最後に「選んで難民になる人はいない」というメッセージで締めくくられる。

 2つ目は文字と1枚の写真からなるメッセージ。「大晦日のごちそうは食べ終わったかい? さぞや豪勢だったことだろう。しかし、知っているかい? 世界には8億人近い人がなおも毎日飢餓に苦しんでいるのだ」という文言の最後に、飢餓によってガリガリに痩せうつろな目をした少年の画像が張り付けられている。

 記事は、これらの「お祝いメッセージ」を見た中国のネットユーザーから、「どうしてクリスマスの時にこういうメッセージを米国に送らないのだ」、「フェイスブックやツイッターで発信して米国人に見てもらえ。これは中国が引き起こしたことじゃないだろう」、「紛争を引き起こしているのは欧米だろう、なのに中国に見せておもしろいか、と問い詰めたい」など、憤慨を示すようなコメントが多く寄せられたことを伝えた。

 発信されたメッセージは決してふざけたものではなく、難民や飢餓の問題については世界全体で真剣に考えなければならない。しかし、中国人や中華民族にとって非常に大事であり、祝賀ムードが最高潮に達する春節に際して発信するメッセージとしては、いささか配慮が不足しているものという印象が否めない。新しい年の始まりに際し、難民や飢餓の問題を考えてみようという呼びかけ自体は悪いものではないが、もう少し表現の仕方があったのではないだろうか。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)