中国の集合住宅では、1階の窓に不審者侵入防止用の鉄格子が取り付けられてあるのが常識だ。景観は損なわれるが、財産や人命には代えがたいのである。一方、日本の集合住宅にそんなものは存在しない。取り付けようものなら、「この辺は物騒なのか」という疑念を抱かせかねず、入居者が集まらなくなってしまうかもしれないのだ。

 中国メディア・今日頭条は6日、日本のすごいところを紹介する記事を掲載した。そのなかで、日本に住む友人の話として、集合住宅の防犯柵についてのエピソードを紹介している。

 記事は、この友人が入居する集合住宅の1階の窓に、防犯用の鉄格子を取り付けようとしたところ、物件の警備員がやって来て、「われわれの仕事に不満があるなら直接言ってほしい。われわれもちゃんと努力する。お願いだから防犯用の鉄格子を付けないでくれ。それは、われわれの仕事に対する不満ということになる」と言われたと伝えた。

 「1階には鉄格子」に慣れている中国の人にとって、「無防備」な日本の集合住宅の1階に住むというのは、どうも落ち着かないのだろう。それが日本にやってきたばかりだとすればなおのことだ。しかし一方で、その部屋だけものものしい防犯対策が施された光景というのは、傍から見れば奇妙である。友人の話が本当かどうかは分からないが、防犯警備のプロたる警備員からしてみれば、「自分たちがいるのにそんな物騒なものを取り付けて」と言いたくなる気持ちも分かる。

 また、建物に勝手に手を加えれば、管理上の問題も起きるかもしれない。中国ではしばしば、住民がマンションなどの集合住宅を勝手に改造し、屋上などに「増築」したりといったトラブルがニュースになる。そんな住民は一握りなのだろうが、もしかしたら集合住宅に手を加えることに対する考え方も、日本と中国ではやや異なるかもしれない。

 とはいえ、日本では日本の習慣やルールが存在する。気持ちは分かるが、やはり「郷に入れば郷に従う」精神で徐々に慣れていってもらうしかないのである。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)