2試合で3人。今回は左サイドでプレーした酒井高徳の前のパートナーは変わり続けた。UAE戦では清武弘嗣から宇佐美貴史へ、タイ戦では原口元気から再び宇佐美へ。特に、この日左サイドMFとして起用された原口とは、他の選手よりもコンビを試した時間は短いはずだ。
試合の序盤はぎこちなかった。サイドには縦2列の廊下があると言われるが、2人が同じ廊下で待っていたり、あるいは別の廊下にいても距離が近かったりとお互いの良さが出せなかった。そのうち、酒井高が原口と何か話をした。それからは2人の関係が改善され、やっと左サイドが効果的に動き始める。
酒井高に「ぎこちなかった」と言うと、「そうですか?」という反論が返ってきた。「いや、(原口)元気はやりやすかったと言ってくれたし、動き方を工夫したので。サイドチェンジのボールにも反応できたのはよかったと思います」。実際、出来がよかったと確信しているのだろう。こういう話をしていても酒井高に笑みが絶えない。
そのうち原口と試合前にどんな打ち合わせをしたのかという話になった。酒井高は「元気の動きにオレが合わせる」「オレのことを見ずに元気のプレーをしてくれ」と語っていたそうだ。
そしてしばらくすると、原口が中に絞り気味になるのに気付いたという。
「裏に抜けろという監督の指示もあり、ゴールに近いほうがいいだろうと思う選手の考えもあって、外の選手はどうしても中に入っていく。ですが、そこを我慢して外に開くことで(香川)真司君のスペースもできるし、外にボールが出たとき、中のコンビネーションを使うスペースもできる。だから元気には定期的に我慢して外に張ってろと言っていました」
「ただ、そうなると元気に渡るボールが減るのですが、そのぶん中の選手がボールを触れる。そこを元気と話し合いながらやっていました。それがうまくいったと思います」
試合途中で修正できるから、酒井高はいろいろな選手とコンビネーションが取れるのだろう。「まず相手がどうするか探らなければいけないし、最初からすべてうまくいくというのはなかなか難しい。それを時間とともに修正していけたからよかった」。そう語りながら、酒井高は人なつっこそうな笑みを絶やさなかった。この笑顔もコミュニケーション上手の表れなのかもしれない。
【日本蹴球合同会社/森雅史】
(撮影:岸本勉/PICSPORT)
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