最近、もともと痩せ形でダイエットする必要がない10代女子たちが、さらに痩せようとしているという。ネットやテレビで話題の「シンデレラ体重」だ。身長に対する理想の体重のことだが、標準体重に比べ軽すぎて健康を損なうと専門家は警鐘を鳴らす。

成人後の健康にも悪影響

シンデレラ体重の算出方法は「身長×身長×20×0.9」(単位はメートル)。158センチの人なら44.9キロが理想となる。文部科学省の平成27年度学校保健統計調査によると、17歳女子の平均身長は約158センチ、体重は53キロ。平均的な体形の10代女子も、「シンデレラ体重」なる理想の体形を追い求めると、約10キロも減量しなくてはならない。

テレビや雑誌、ネットでも最近「シンデレラ体重」のことがしばしば取り上げられている。たとえば5月19日に公開されたJ-CASTニュース「シンデレラ体重は痩せすぎだ!」の記事に対しても、男性目線、女性目線でさまざまなコメントがあがっている。

「何でこぞってそんなに痩せたいかね? はっきり言ってガリガリの女は魅力もなんもない。っていうか気持ち悪いだけ」

という男性目線の意見に対して、

「残念ながら、女性の美容は自分のため、もしくは他の女性の目を意識したものであって、男の評価など眼中にない」
「『10〜20代女子にとって、容姿は命よりも重要』だから専門家が痩せすぎだと警告しようが、彼女らの耳に入ることはない」

ど女性目線のコメントも寄せられている。

他には、

「10代で過度なダイエットを続けると将来的に健康で丈夫な赤ちゃんが産めないのでは」

と、将来の健康面を心配する声も上がった。

若いうちに無理なダイエットを続けると、後々体にどんな影響があるのだろうか。

栄養療法を専門とする新宿溝口クリニック院長の溝口徹医師は、
「10代は体をつくるのに大切な時期。体重ばかりを気にして無理にダイエットすると、食事の栄養バランスが偏りがちになります。成長期に行うと、成人後の健康にまで影響する可能性があります」と指摘する。

一番問題なのは、鉄の不足だという。
「体内の貯蔵鉄や組織鉄が減少すると、生理不順やうつなど様々な問題が生じる原因となります。また、ダイエットのために肉などを控えるとたんぱく質不足につながり、筋肉量が低下して代謝が悪くなってしまいます。すると、ダイエットしても逆に太りやすい体質になる。リバウンドしやすくなる可能性があります」。

免疫力も低下するため、風邪などにかかりやすくなるという。ほかにも、「20歳前のたんぱく質不足は、十分な骨量を達成することができず、将来的に骨粗しょう症のリスクを上げることになる」と溝口医師は警告する。

食べた直後の運動を習慣に

では、魅力的な体形と将来の健康までをかなえるには、どうしたらいいのだろうか。

「ポイントは、『高たんぱく+低糖質』の食生活。必要な栄養素が不足しないように徐々にダイエットすることが重要です」
と溝口医師。また、運動するなら食後がいいという。

「食後すぐに散歩をする習慣をつけましょう。食べ終わった直後の運動、『お箸を置いたら靴を履く』のタイミングで始めるのがポイントです」

食事によって血糖値が上昇すると、それを下げようとしてインスリンが分泌され、各細胞にエネルギー源として糖を送り込む。このとき、余分なブドウ糖は脂肪へ変えられ、蓄積されてしまう。つまり、インスリンが急激に、かつ大量に分泌されると、脂肪細胞に糖が運ばれ肥満の原因となってしまうのだ。

「食べた直後に運動すると、上昇した血糖値を、インスリンを必要とせずに運動によって消費することができます。つまりインスリンによる脂肪合成がされにくくなり、太りにくい環境がつくられるのです」
[監修:溝口徹 新宿溝口クリニック院長]

(Aging Style)