「やっぱり、この人が好きかもしれない……」

色々あって偽装結婚した元カレ・超治(沢村一樹)のことを、本気で好きになってしまったヒロ(天海祐希)。しかし超治は「I am ゲイ」ということでヒロのことを恋愛対象としては見ておらず、宅配業者のサワヤカ好青年(工藤阿須加)に熱を上げている。

で、ヒロと超治の関係はどうなっていくの? ……という図式が見えてきた『偽装の夫婦』(日本テレビ系・水曜22:00〜)。

第5話では、「オレたち親友だよね〜」と脳天気な様子の超治に、ヒロは「好き!」と思いを伝えようとするのだが……。


ずーっと内田有紀のターン!


ヒロに告白したものの振られてしまったレズビアンのしおり(内田有紀)、ゲイの超治が惚れているサワヤカ好青年の保くん、そしてその保くんは正義の味方の先輩としてヒロに憧れている。

第5話のハイライトは、そんな四角関係というか何というかな4人が集まっての謎すぎるホームパーティー。

そもそもパーティーを開くことになった目的は、超治が保くんを口説くため。でもヒロが超治のことを本当に好きになってしまったと、しおりは薄々気づいているという複雑っぷりだ。

保くんのシャワーシーンをのぞいてニヤニヤしたり、「泊まってく?」とお泊まりに誘ったりと、相変わらずゲイっぷりを丸出しにしてパーティーを満喫する超治に対して、何やら含みがある様子のしおり。

「元旦那には暴力を振るわれていた」
「私は女性しか愛せない」
「それを娘は知っていて応援してくれている」

たたみかけるように衝撃的なカミングアウトをしたかと思えば、超治に対して、

「隠してることがあるなら話した方がラクになりますよ」

と、ゲイ・カミングアウトを勧めるような発言をしたり、

「保くんはゲイの方とお付き合いできる?」

なんて、思いっきり核心をついた質問をぶつけて場を荒らす荒らす! さらには、

「(ヒロと超治は)どうやって結ばれたんですか? すごく興味があるんです、おふたりが結ばれた日のこと……」

と、超治が「自分はゲイだ」と気づく前、学生時代にノーマルなカップルとして付き合っていたヒロと超治の初セックスの様子まで聞き出そうとする始末。

フツー聞くか、そんなこと!? ……まあ、聞かれて答えちゃう方も答えちゃう方だけど。

ちなみにふたりが結ばれたのは、ヒロの誕生日&両親が火事で亡くなった命日。はじめて大ゲンカして、その後にセックスという、一番燃え上がるタイプのシチュエーションだったようで、ヒロも

「あれは、人生最高の夜だった……」

とウットリ思い返していました。

しおりの目的が、超治がゲイをカミングアウトして保くんに振られ、ヒロ&超治がくっつくことなのか? 超治と保くんがくっついて、その隙に傷心のヒロを自分がゲットすることなのか? 現時点ではイマイチ分からないのだが、とにかくマイルドな口調でズバズバと爆弾発言をぶっ放しまくる内田有紀の演技が非常によかった!

特に「元旦那には暴力を振るわれてた」と、アンニュイな表情で語る姿たるや……! いやあ、真に迫っていましたね。経験あるのかな?

欲求不満そうな天海祐希にグッときます


好きな男と一緒に暮らしているのに、相手はゲイだから性的関係は当然ナシ。しかしオネエ感覚でちょいちょいボディータッチはされるとなれば、そりゃあ色々な意味でモンモンとしてしまうのが人間というもの。

しおりにズバズバと切り込まれたヒロは「超治に好きという気持ちを伝えなければ……」という思いを強くするが、思いを伝えるだけじゃなくて、やっぱセックスもしたいっすよねぇ?

孫を待ち望んでいる超治の母親から、スッポンのスープ、スタミナドリンク、強力サプリメント、さらに「男性をその気にさせる」セクシーランジェリーをプレゼントされ「排卵日にはコレでがんばってね!」といわれると「……だから、その前提となる行為がないんだよ!」とイラついたり。

図書館に置かれている『anan』っぽい雑誌の「夫婦で作る最高のSEX 夫をその気にさせる方法」特集を凝視したりと、「思いを伝えるのもそうだけど、とりあえずセックスもしてぇ〜!」感をビンビンに漂わせていました。

しかしゲイの男を好きになって、その人と性的に結ばれる可能性ってあるのか?

登場人物、全員不幸ですよね


考えてみるとこの『偽装の夫婦』の登場人物って、みんな現時点では不幸だし、幸せにもなれなそうな人たちばっかりなのだ。

ヒロは超治が好きだけど、超治はゲイだから恋愛対象としては見られていない。

超治は保くんが好きだけど、保くんはノンケだから恋愛対象としては見られていない。

保くんは正義の味方にあこがれてるけど、そのせいでひどい目にあってばかり。

しおりはレズビアンだからヒロに告白したけど振られた。

引きこもり&マジシャンの天人(佐藤二郎)はヒロが好きだったけど、そのヒロは超治と(偽装)結婚、さらに性悪女に騙されて自殺未遂。

ヒロの務める図書館の館長(田中要次)も天人と同じような感じ。

ヒロのいとこ・八重子は「旦那は東大卒で年収2000万円!」などと、しきりに幸せアピールをしていたけど、実は離婚寸前で別居中。
ヒロがちょいちょいヒーローっぷりを発揮して、みんなを助けてはいるものの、自殺しようとしたところを助けたり、旦那をストーキングしているところをいさめたりと、思いっきりマイナスになっているのをゼロに戻している程度のことで、幸せにしているという感じではない。

こんな不幸な人たちが幸せになることができるのか? そしてヒロは超治と結ばれることができるのか!?

この辺が後半戦の見どころとなってきそうだけど、はじめて結ばれた時のことを「あれは、人生最高の夜だった……」と思い返すヒロに対して、「全然気持ちよくなかった」といってのけてしまう超治。このふたりが幸せに結ばれる予感が全然しない!

第5話の最後では「相手が自分を受け入れないって分かっていても、好きな人に好きっていうことのどこがいけないんだ!」ということで、超治に思いを伝えようとするヒロだったが、超治は超治で「オレも好きな人にちゃんと好きっていってくる!」と、保くんに告白しに行ってしまった。

保くんが超治の告白を受け入れるとは思えないけど、果たして結果は? そしてヒロは思いを伝えられるのか?

そろそろ誰か幸せになって欲しい『偽装の夫婦』6話は今夜22時から!
(北村ヂン イラストも)