ハトが「答えはひとつじゃない」と教えてくれた ──「ゲームさんぽ」出演の心理学者にハトの話を聞こうと思ったら、常識にとらわれないものの見方について学ぶことになった 【東洋学園大学准教授 中村哲之氏インタビュー】

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 ゲームは単に娯楽であるだけではなく、ゲームを通して「自分の知りもしなかった世界」を体験することができる。バーチャルと現実の世界、両方を行き来してよく観察していくと、徐々に見えるものが変わっていく。見えないものが見えてくるようになっていけば想像力も膨らみ、「世界にはこんなにも多様なものの見方がある」ことに気づくことができるだろう。

 「ゲームさんぽ」はそのようにゲームを通して得ることができる知的な快感を、全力で提供する動画シリーズだ。今回は東洋学園大学で准教授を務め、比較認知心理学を専門とする中村哲之先生にご出演していただき、大学での活動についてのインタビューを行った。

「ゲームさんぽ」動画は、東洋学園大学オンラインオープンキャンパスサイトで公開されている

 中村先生は「動物心理学」というユニークな切り口から人間を科学する研究もしており、「ハトの気持ちがわかる」というほどハトに詳しいという。今回の「ゲームさんぽ」ではプレイヤーがハトとなるゲーム『Pigeon Simulator』をプレイしながら、中村先生にゲーム内のハトの生態についてご解説いただいた。

 インタビューや動画で中村先生が繰り返し語ったのは、「答えはひとつではなく、さまざまな見方をすることができる」ということだ。たとえばゲームでハトから見える世界のあり方を体験することは、「ヒトがいつも見ている世界だけがすべてではない」ということを教えてくれる。

 中村先生自身もかつては「世界に正解はひとつしかない」という固定観念にとらわれていたが、大学院生のころにハトとヒトの錯視実験を行ったことで、その常識が覆ったのだという。

 たとえば「ハトならどう感じるだろうか?」と考えることは、ハトだけでなくさまざまな多様なものの見方を理解する際の助けになる。あるいは、ゲームのバーチャル空間のなかでハトとなって自由に大空を飛ぶことによっても、より多様なものの見方を身につける示唆が得られるのかもしれない。このインタビューが、その新たな想像力のヒントとなることを願いたい。

東洋学園大学 中村哲之准教授

ハトの研究者からみたハトのシミュレーションゲーム

動物心理学の観点からみた先生のゲーム解説、とても面白かったです。「ゲームさんぽ」に出演してみて、率直にどう思いましたか?
中村哲之氏(以下、中村氏):
 ひとことで言うとすごく楽しかったです(笑)。

 最初はどういう感じでゲームが進んでいくのか想像がつかなくて漠然とした不安があったんですけども、バーチャルの動物たちと実際の動物との類似点を発見していくのが楽しく、学問的にも興味深かったです。
ハトを操作するシミュレーションゲーム『Pigeon Simulator』の中で印象に残ったハトの動きってありますか。
中村氏:
 そうですね、ふたつありました。まず、「食パンに挟まったハト」はかなり衝撃的でした。

 あれは、現実にはありえないハトの動きだったんですけどね(笑)。「食パンのせいで視野が狭まり、あんな動きになってしまったのではないか」と自分の中で理由付けして、納得しました。

 もうひとつビックリしたのが、ハトが人を倒しているところですね。あれは、さすがに現実的ではないかなって思いました(笑)。
ですよね(笑)。
中村氏:
 ハトの力はそこまで強くないんですよ。軽いハトだと300gから500gくらい、海外の大きなハトでもせいぜい1㎏くらいなんです。さすがにあの怪力はゲームならではなのかなと。
動画前編より。視聴は、東洋学園大学オンラインオープンキャンパスサイトにてこちらから
「普通のハトの力では枝すら持てない」という話を聞いたのですが、本当にその程度の力なのでしょうか。
中村氏:
 そうですね、基本的にはそのくらいの力です。例えばカラスの実験をするときは怪我を防止するために軍手をするのですが、ハトの場合は素手で触って大丈夫なんです。
逆にゲームを見て、すごくよくできているなと思ったところはありますか。
中村氏:
 そうですね、空を飛んでいるときの周りの環境の変化が興味深かったですね。

 実際に私はハトみたいに飛んだことがないので分からないんですけど、本当にこんな感じなのかなって思いました。まあ、実際はちょっと違うかもしれませんけど(笑)。

 普段、私たちが体験できないような環境の変化を見せてくれたのがすごく新鮮で面白かったです。
ハトの気持ちがちょっと想像できた感じですかね。動画の冒頭でハトと話せる、というか気持ちがわかるという話をされてたと思うんですけど、研究をしていくと段々と理解できるものなのでしょうか。
中村氏:
 全てのハトとなると少し難しいですね。ただ、人間同士でも親しい人とか、よく会う人っていうのは何となく「今こういうこと感じてるかなー」って慣れで分かってくる部分もあるじゃないですか。

 そのような観点では、個々のハトの気持ちはわかっています。「今ちょっと機嫌が良くないかな」とか、「おなかが空いてるのかな」とかってのは分かる場合があります。

 初めて会った野生のハトが今何考えてるのかは、初対面の人が何を考えているのかがちょっと分かりにくいのと同じで、なかなか分かりにくい場合もあります。
じゃあ、ハトも人間と似たような感じなんですね。親しくなるというか、継続して観察していくことによってわかるというか。
中村氏:
 そうですね、それはヒトの学習の特徴だと思うんですよ。さまざまな対象に慣れてくると、同じものの中でも細かい違いに気が付けるようになるじゃないですか。

 あとは、研究者としてはやっぱりハトという動物が持っているものの見方や知覚、一般的な思考や認知能力がわかるという点で、ハトの考えていることが少しは分かるはずです。理解できるというとおこがましいですが、少しハトの考えに近づけると思います。
ゲームでハトになって空を飛んでいる景色を見て、よりハトに対する理解が深まったみたいなことはあるんですか。
中村氏:
 そうですね。私は知覚が専門分野なのでハト全般の認知能力に興味があるんです。「このような世界の見方をしながら移動をしているんだと」か、「遠いところからでも目的地を探して戻ってこれる」みたいなハトから見た世界のあり方を、ほんの少しだけわかった気がしました。
ゲームと学問がこのように接続していく感覚があるんですね。
中村氏:
 一般の方はなかなか野生のハトと触れ合う機会はないですからね。人によって、ゲームの好き嫌いがあるかもしれないですが、好きな人にとっては本来接することができなかったものを手軽に触れることができるわけじゃないですか。

 「普通は体験するのが難しいことを疑似的に体験できる」というのは、学問にとっても非常に大きな要素になるはずです。それは、ゲームの持っている魅力かなと感じますね。

人狼ゲームをプレイすることで、気づかなかった自分の特性に気づけるかもしれない

心理学の観点から掘り下げることのできるゲームとかあるのでしょうか。
中村氏:
 ジャンルによりますが、結構ありますね。心理学のなかでも、社会心理学という対人関係の分野ではゲームの話がされることがよくあります。

 いわゆる「駆け引き」だとか「ゲーム理論」だとかについてですね。駆け引きみたいなものの中でも、相手がだましてくるとかだまされたときに人間はどうするのか、などの心の動きを分析していく研究があります。
なるほど、駆け引きのあるゲームは心の動きの分析に向いているんですね。
中村氏:
 私のゼミでも人狼ゲームをプレイしたりしますよ。

 これにはふたつの目的があって、まずひとつはアイスブレイクのため。3年生のゼミの最初の方では、まだ全然知り合っていない人もいますので。

 もうひとつ重要なのが、人狼ゲームは「相手がどういうふうに考えるのか」ということをコミュニケーションをとりながら、社会心理学という分野を実践的に学べるツールであるからですね。
人狼ゲームって、人をだましたり、嘘をついたりだとか、人間が生活する普段の場とはかなり違いますよね。
中村氏:
 確かに特殊ですね。そういう場面において、学生さん自身も知らなかった能力を発揮する場合もあると思います。
それもまた人間の新しい一面ですよね。学生さんのほうでも、自分の中の新しい側面を発見できるというか。
中村氏:
 そうかもしれないですね。何か自分を見つめ直す発見のきっかけになれば良いと思ってやっています。
人狼ゲームって、「嘘をつくのがうまいか下手か」がゲームの勝敗に関わってくるじゃないですか。自分もなかなか面と向かって嘘をつくのが苦手なんですが、心理学的に人狼ゲームがうまくなる方法ってあったりするのでしょうか?
 「嘘はついてはいけないという常識があるかないか」というのは大きいかもしれません。とはいっても、人狼ゲームの上手さが日常生活でプラスになるかどうかはちょっと微妙なところですよね(笑)。

 人狼ゲームが下手だからといって人間関係で損をするというわけでもないですし、人によっては相手が嘘をついているかどうかが敏感にわかる人もいますよね。

 だからどうして人狼ゲームをやるかというと、嘘をつくみたいな能力を鍛えるというより、「自分の特性を知る」という意味あいのほうがも大きいかもしれないです。
非日常の中から自分の特性を知るということですね。
中村氏:
 実際のところ私のゼミの学生って、みんな嘘をつくのがあまりうまくないんですよね(笑)。それは人狼ゲームでは不利になるかもしれないけど、現実の人間関係において「嘘をつくのがうまくない」というのは、言い換えれば「素直さがある」ということでもあると思います。

ハトの錯視実験が、中村氏を縛る固定観念を打ち破ってくれた

心理学の実験の中には対人関係でも役立つものがあって、それによって対人関係がうまくいく割合があがったという話が動画の中にあったと思いますが、中村先生の授業でもそういう話はあるのでしょうか。対人関係に悩んで心理学を学びたいという学生さんも多いのかなと思うので。
中村氏:
 私はどちらかというと個人の認知系なので「こういった考え方とか見方があったんだ、自分が見てた世界がみんなも同じように見えてると思ってたけどそうじゃないんだ」ということを考えていければと思っています。

 例えば、私の授業は「色の見え方」という話から入るんですよ。同じ色を見ても人によって見え方が違ったり、赤と緑の区別がなかなかつきにくい人がいたり、逆に人よりもたくさんの色の区別ができる人がいたりとか。

 それをさらにヒト以外の動物に広げていくと、ヒトっていう動物が必ずしも「色を見わける」という能力に長けているわけではない、ということがわかるんです。

 で、さらにそれが形の見え方や、錯視の見え方も違うという話になってくる。「自分自身の常識が必ずしも正しいわけじゃない」というのは多様性を考えるうえで大事な考え方ですが、それを認知心理学や、動物心理学といった観点から考えることができるんですね。例えば「この場合、ハトならどう感じるだろうか?」と考えることは、さまざまな多様性を考える際の理解の助けになるのではないかと思います。
なるほど、そういうふうにものの見方を多様に考えることができるようになるんですね。中村先生は、学生に向けて授業をする際に気を付けていることや、工夫していることはありますか。
中村氏:
 学生からすると勉強って「教科書や参考書に向き合って、ひとりで頑張る」みたいな硬いイメージがあるみたいなんです。だけど、心理学というものは日常の心の変化を取り扱うものですから、彼らの中で遊びだと思っていたことが学びにつながるというようなことも多くあります。

 大学の学びでは複雑な実験や論文の読み込みなどと高度なこともやりますが、勉強のやり方自体はいろいろあって、もっと日常に近いゲームなどから心を学ぶっていう方法もあるのかなと思います。
「勉強=座学だけではない」って重要なことですよね。先生が動画の中で「正解だと思った世界がひとつじゃなくて、違う側面もあるんだっていうことも発見できる。」とおっしゃっていたように、授業のなかでそういった考え方を教えたいということなのでしょうか。
中村氏:
 はい、まさにそうです。ただ少し補足すると「教えたい」というよりは「気が付いてほしい」なんです。なんでそこに一番こだわるのかというと、私自身も「答えはひとつしかない」と思って生きてきた時期があったからなんですよ。
先生にもそのような時期があったのですね。
中村氏:
 そうなんです。大学院の途中まで常識にとらわれていた性格だったんですよ。でも、初めて「世界には正解はひとつしかない」という見方がちょっと違うなと感じた出来事が、ハトの錯視実験だったんですよね。

 最初、この実験をしたら「ハトもヒトと同じ錯視がでるだろう」と心のどこかで思っていたんですよ。でもいざ実験してみたら、ハトとヒトで全然違う結果が出てしまって。そのときに、「これはどういうことなんだ、怒られるんじゃないか?」と思いました(笑)。けど、そのときの教授が「すごく面白い結果が出たね」とほめてくださったんです。

 もちろん、どうしてその結果が出たかをしっかり考察していかなくてはいかないのですが、そういった実験のなかで、「自分はヒトと同じ見方を探しているのではないんだ」、「というか結果がヒトと同じだったら、そもそも実験する必要ないじゃん」って思えたんです。

 ヒトが見ている、常識だと思っている世界とは違う世界をハトが見ていても不思議ではないっていうことに気が付いて。「そうか、答えはひとつじゃないんだ!」って思ったときに、ほっとしたというか、肩の荷が降りたんですよね。
自分を束縛していた先入観みたいなものから解放された感覚ですよね。
中村氏:
 そうなんです。そのときまで、「本当にひとつの答えを探さなければいけない」って強迫観念が私を縛っていたんです。

 「答えはひとつじゃないんだ」ということに気がついてから、周りの人が自分の理解できない行動をしていたりとか、うまく作業をこなせない場面に遭遇したときに、「そういうこともあるよね」と思えるようになりました。

 原因はよくわからないけど自分とは見方が違うから、例えば何かやることが遅かったりしたときに、「さまざまな可能性を探っているからこうなったんだな」って考えたりして。こう考えることによって、周りの人に対して柔らかく接することができるようになりました。
自分の感覚とは異なることを受け入れることができるようになるって、すごいことですよね。
中村氏:
 「多様性が大事だ」と言われても、実感としては「じゃあどう大事にすればいいの?」と難しく思えてしまう部分があると思います。人間って、どうしても「自分が見ているものが正しい」って思いがちなので、自分が見ているものとは違うものを認めていくというのは大変な作業です。

 幸い、私は錯視の実験で気づくことができましたが、「正解はひとつだけじゃなくて、いろいろな答えがあるよ」ってことを自分の得意な分野や好きな分野で見つけていくっていうのは、自分自身にとってもプラスですし、周りの人にとってもプラスなのかなって思いますね。

新しい価値観を取り入れていくためには

最近の学生さんのほとんどは、いわゆる「デジタルネイティブ」の世代になっているかと思います。インターネットやSNSなどでいろいろな考えに触れる機会は多くなっていると思いますが、そうした状況の中で常識や固定観念というものは強くなっているのか弱くなっているのか、どちらなのでしょうか。
中村氏:
 私個人の感想なのですが、東洋学園大学で教えているとけっこう常識にとらわれている学生は多いと思いますね。

 もちろん個人差があるので、わたしがびっくりするような考えを示してくれる学生もいます。けど、多くの学生が「こうしなきゃいけない」という常識にとらわれているように感じます。

 たとえば、卒業論文のテーマを持ってくるときに「教科書みたいにすごく硬い感じだな」と思うことも多いです。そういうときは、「もっと好きなテーマはないの?」と聞いたりして、学生が本当にやりたいことを一緒に探すようにしています。
でも、わかります(笑)「卒業論文」となると、普通の勉強以上に硬い感じじゃないといけないのかな?というイメージはありますよね。
中村氏:
 実際そのとおりで、卒業論文の実験っていうと「教科書からもっていかなければいけない、硬くやらなければいけない」って思っている学生が多いです。

 逆に成績が良くなくても柔軟な発想を持ってくる学生もいて、いい意味でそこに関しては解放されているんだと思います。
なるほど。デジタルネイティブであることと、固定観念の形成にはそこまでの因果関係はないんですね。インターネットやSNSにたくさんの情報があるからといって、「こういう考えもあるんだ!」と自分から気づくことは難しいのでしょうか。
中村氏:
 基本的にヒトって、「自分のベース」を持って生きていると思うんですよね。一番最初のベースは大雑把に言ってしまうと言語の獲得になるかと思います。

 本来ヒトって、生まれたときの脳はどんな言語にも対応できるようになっているんですけど、日本で育っていると日本語に特化するように処理されます。そして、成長していくと他の言語を習得することが難しくなる。

 他の言語を習得しにくくなると聞くとマイナスのイメージがあるかもしれませんが、それよりも日本語という「言語のベース」をちゃんと獲得できた、ということのほうが重要なんです。

 というのも、ヒトって自分のベースがない中で情報がたくさん入ってくると、判断基準がないのに情報を処理しなきゃけなくなって、ちゃんとした判断や処理をするのが難しくなってしまうんです、なので自分のベースを持つことは非常に重要です。

 個人差はあるんですけど、ベースが不安定な状態で、次から次へと新しい情報が来てしまうとなにがどうかわからなくなってしまいがちなんです。そこで、よりどころになるのは自分のベース。だから固定観念みたいなものにとらわれてしまうんですよね。
なるほど。そのような現象に陥った時はどうすればよいのでしょうか。
中村氏:
 「ほかの考え方や意見を取り入れた方が良かった」っていう経験をすれば良いんです。つまり学習の話になってきます。

 基本的にヒトを含めた動物は自分の起こした行動に対して、「返ってきた結果がプラスだったら、同じことをする」っていうのが学習心理学の一般的な考え方です。「なにか自分の常識とは違うことに出会ったとき時にいいことが起こった」という経験を重ねると、「新しいことを取り入れた方がいい」と判断できるようになります。
「これを知ったからいいことが起こった」みたいなことを生活の中で学んで気づいていってほしい、ということでしょうか。
中村氏:
 そうですね。私の授業では、そういう心理学の理論の説明に加えて、できるだけ日常生活で今回学んだ心理学の概念を考えてみましょうという時間を設けています。そこで自分の経験として新しい考え方を取り入れて、それが日常生活の中で試せる瞬間に遭遇したら、「やっぱりそうしたほうがいいんだ」と思えるチャンスも増えると思います。

 そういう積み重ねによって、心理学の概念をリアルな実感として吸収することができるのかなって思っています。
「教科書にこう書いてある」っていう認識になってしまうともったいないですもんね。

心理学をこれから学びたい学生に向けて

最後に、この記事を読んで「授業を受けてみたい!」と思ってくれるかもしれない学生さんたちにメッセージをお願いします。
中村氏:
 心理学というと「人の心を読める」というイメージがあると思うのですが、人の心はとても複雑です。

 その複雑な心のあり方を研究するために、心理学はいろいろな切り口から考えていくのですが、私の分野ですと、個人の心の特徴や癖をいろいろな観点から見ていく動物心理学というものになります。「動物の心理から観察するヒトの心」というものを授業では紹介できればいいなと思います。

 もちろん、私の授業には動物心理学以外の切り口もたくさんあるのですが、「自分自身の心についてもっと知りたいな」と思った方はぜひ受講してみてほしいです。(了)

まとめ

 今回のインタビューでは、「多様性は大事だ」というだけではなく、それを実践的に理解するためにはどうすればよいのか、中村先生はひとつのやり方を提示してくれたと言えるだろう。

 「こういった考え方や見方があったんだ」「自分が見ていた世界がみんなも同じように見えてると思ってたけど、そうじゃないんだ」ということを実感するための入り口は、日常世界のなかにさまざまに存在している。それはゲームからでもいいし、ハトの実験からでもいい。
動画後編より。視聴は、東洋学園大学オンラインオープンキャンパスサイトにてこちらから
 あるいは、そのように固定観念にとらわれない自由な想像力を身につけるためには、中村准教授のような先生の指導のもとで心理学を実践的に学ぶことが、最も近道となるのかもしれない。

 なお、中村先生に出演いただいた「ゲームさんぽ」ハト編の後編はより中村先生の多様性の考え方に迫った内容になっている。動画は東洋学園大学のオンラインオープンキャンパスサイトにて公開中なので、心理学に興味のある学生のみなさんは、ぜひ後編もご覧いただければ幸いだ。

文・編集/tnhr、実存(電ファミニコゲーマー編集部)
提供/東洋学園大学