2019賞金女王も「ようやくスタートライン」 “水上のボンドガール”大山千広の現在地
ボートレース界に現れたニューヒロイン・大山千広。母親もボートレーサー(大山博美、2018年引退)だったが、2015年のデビューからわずか4年後の2019年、みごとに賞金女王にも輝いた。
弱冠23歳という若さと愛くるしい笑顔もさることながら、男子選手顔負けのレース運びで人気も急上昇。2019年5月のSG(ボートレースで最も格付の高いレース)「ボートレースオールスター」ではファン投票4位に入り、SG初出場も果たしている。そして8月のG1「レディースチャンピオン」では初出場初優勝。同レースでは史上最年少の快挙であった。
男子・女子が同じ舞台で戦うボートレースという競技だが、過去に女子レーサーがSG競走を制覇した例は一度もない。そんな中で大山は、女子初のSG制覇に最も近いとも目されるレーサーのひとりだ。彼女が自ら分析する自身の“現在地”と、「マイペース」と称する素顔とは?
応援してくれる方のおかげでチャンスを貰うことができた
- 昨年は23歳の若さで賞金女王に輝き、ファン投票でSG初出場も果たされました。すごく注目度も高まっていると思いますが?
- 注目されるのはありがたいんですけど、最初はそういう仕事じゃないのにな…と思うこともありました。負ければいろいろ言われる職業でもありますし(笑)。
ただ、応援してもらえることはとても素敵なことだなと感じるようになって。応援してくれる方が増えたことで大きなレース――SGに出られるようになったり、走れる舞台が変わってチャンスを貰うこともできました。
SGなんてまだまだ自分の実力では行けない舞台ですから、本当にファンのみなさんのおかげです。素直に感謝しています。 - 今後、女子初のSG制覇に期待される方も多いと思います。
- 期待していただけるのはありがたいんですけど、自分の中ではまだまだなんです。とくに男子レーサーに比べるとターンの技術はまだまだで…。
ボートレースではスタート・整備・旋回を「3S」といって、このすべてが完璧じゃないとSGを取ることはできないと言われています。どれかひとつだけあればA級(ボートレーサーのレベル4階級で最も上のレベル)にはなれる。私は……この3つの中ではスタートがまだ自信があるほうかなと思いますが、ターンは本当にまだまだ技術がない。その技量を磨いていかないといけないと思っています。
- そんなボートレースの世界ですが、レーサーは1日に2レース走ることも当たり前。 その上開催期間中はスマホとかも使えず、外界と遮断された環境で過ごさないといけないとか。そう伺うと、メンタル面のコントロールも大事になりそうですね。
- メンタルは大事ですね。私の場合はできるだけポジティブに考えるように意識しています。そうでないとどんどんしんどくなってくるんです。もし前半に負けてもそれは良い勉強だと思って、後半に取り返すつもりでやっています。
- プレッシャーもありますよね。
- 最後は自分がそのレースをどれだけ勝ちたいかどうかなので、プレッシャーは気にしない……と言っても、なかなかそうも行かないんですよね。自分にもプレッシャーを感じないように言い聞かせているんですけど。レース場にいる時間はずっとスイッチが入った状況になっているので、どうしても余裕がなくなっていっぱいいっぱいになってしまう。負けて悔しいなあと思っても、それを前向きに変えていくのに時間がかかることもありますし。
- 気持ちの切り替えですね。
- 「今のレースは仕方ない」と思って前向きに切り替えるのと、「もういいや」と投げやりになるのってぜんぜん違うじゃないですか。でも紙一重の違いでもあるんですよね。レースとレースの間にもエンジンの調整とかいろいろやるべき作業があるので、その中でうまく切り替えていかないと。そこは難しいですね。
ボートレーサー同士は、みんな普通に仲が良い
- お母さまもボートレーサーでいらっしゃいましたが、そうした気持ちの切り替えとかのアドバイスを貰うこともあるんですか?
- いや〜、それはないですね。気持ちの切り替え方は人それぞれ、性格によりますからね。実際周りを見ていても、勝っても負けても淡々としている人もいるし、悔しさを表に出さないとダメという人もいる。自分の性格の中で折り合いを見つけていくしかないですね。エンジンとかボートは開催ごとに抽選で決まるし、枠番も抽選できめるレースがある。それはもう100%運の世界ですから、そこを引きずってもしかたないですし。
- いかにメンタルをコントロールしてレースに向かうか、と。開催期間中は選手宿舎で寝泊まりしているんですよね。そこではどんな過ごし方をしているんですか。
- 宿舎に帰ったらようやく気持ちがオフになる感覚ですね。レース場にいるとやっぱり失敗したことが頭から離れなくてモヤモヤしたりしますから。だから宿舎に帰って少しホッとして。
ただ、別にやることはないんですよね。ご飯を食べてお風呂に入って、あとは漫画読んでテレビを見て、それで寝るくらいで。レーサーによってはトレーニングをしている人もいますけど。 - すごくくだらない質問なんですけど、 宿舎の生活って退屈になりませんか……?
- 大丈夫です(笑)。退屈ってことはないですよ。むしろ疲れているのですぐに眠くなる。だからレース場の宿舎は「睡眠をいっぱい取れる場所」という感覚です(笑)。レース期間中のリフレッシュは、レーサーの仲間とお風呂でいろいろおしゃべりしたり、ですかね。レースの話もいっぱいしますけど、普通に関係ないことも話してリフレッシュしています。
- レーサーの皆さんとの仲も良いんですね。
- ボートレーサーになって知ったのですが、みんなこんなに仲が良いものなんだって思いました。レースの勝敗には関係なくみんな普通に仲が良いんです。 宿舎のお風呂でおしゃべりするのもそうですし、開催が終わったらそのまま一緒にご飯を食べに行ったり、打ち上げをすることもあるくらい。ずーっとみんないっしょに戦っていくし、勝ったり負けたりもずーっと続くので、勝ち負けを気にしていたら続かないですよ。
- 自分が負けたレースでも勝ったレーサーに「おめでとう」と素直に言える?
- 普通に言えますし、自分も言ってもらえたら嬉しいです。ただちょっとは気にするんですよ。ボートレースは1号艇が有利なんですけど、自分が他のコースで優勝したときに、1号艇で負けたレーサーは素直に「おめでとう」って言ってくれてるのかなって(笑)。私も1号艇で負けたらすごい悔しいですから。ただ、その気持ちは心の中にしまって。外に出すのは絶対によくないですね。
自分の「素」が出るのは愛犬の前だけ
- レースが終わるとしばらくオフの期間があると思うのですが、そこではどう過ごしているんですか。
- オフのときは自分でもキャラクターがまったく違うと思います。個人的にはレース場にいる自分があまり好きじゃないんですよね。いっぱいいっぱいで。だからオフの自分の方が好きかなって。1週間もレース場にいると、やらなきゃいけないこととかやりたいことがたくさんあって、それをやっていくので大変です(笑)。
- やらなきゃいけないこと、とは?
- 部屋の掃除とか普通のことです(笑)。やりたいこともショッピングとか友達とご飯食べたりとか、そういう感じで。もちろんレースのこともずっと考えているし自分の状況を見返したりはしているんですけど、オフ期間はほとんどボートレーサーらしいことをしていないです(笑)。
- 全国各地のボートレース場に行くわけですから、開催後そのままレース場のある街で遊んだりも……?
- もちろんしますね。やっぱりその点でいうと東京は良いですね(笑)。ショッピングが好きなので! 地元の福岡も、都会すぎず田舎すぎずちょうどよくて良いんですけど。
あとは犬と遊ぶ! ちっちゃい頃におじいちゃんとおばあちゃんが寂しくないようにって飼ってくれたのでもうずっと何匹も家にいるのが当たり前なんです。パピヨンなんですけど、子供を生んでそのまま家で育てて、最大で10匹いたこともあるんですよ。もうとにかく犬と一緒にいるだけで幸せで……。自分の素がでるのは犬の前だけかな(笑)。 - ただ最近は活躍もあって出場機会も多く、オフも少なくなっているんじゃないですか。
- そうなんですよね。レース間隔が詰まっていると2、3日のオフでやらないといけないことをまとめてしないとダメだから、もう大変です。ただ、レースに臨むという点では間隔は詰まっている方が良いですね。
- それはなぜですか?
- レースが続くほうがコンディションが良くなるんです。なんでかは分からないですけど、成績もレースが続いているほうが良いですね。逆に間隔が開いていると良くないことが多い。要領も悪くなっているんですよ。開催中はエンジンの整備とかやらなきゃいけない作業が本当にたくさんあって、そのひとつひとつを効率よくやっていかないとダメなんです。
決められた時間の中で、自分で予定を決めて。それがうまくできる人ほどレースに向けて良い調整ができるので、結果にもつながる。ただ、久々のレースだとその感覚がいまひとつつかめなくて、手順が悪くなってバタバタしてしまうこともあったり……。
- そういう作業の効率もボートレーサーにとっては重要な資質になるんですね。いつも作業の段取りを考えているということは、普段から計画的に物事を進めるように……。
- ならないですねえ。オフのときはやりたいことがたくさんあるから予定も立てるんですけど、あまりしっかりしている感じではないのかも。マイペースな性格なんですよ(笑)。だから周りが自分をどう見ているのかとかも、あまり気にしないでできているのかなと。
- ボートレーサーの生活サイクルってちょっと特殊だと思うんですよ。だから大山さんは、同世代の女性とは少し違うオフの過ごし方なのかなあという気もしていたんですが……。
- そんなことないですね、ぜんぜん普通です。レース中とオフが交互にまとまってやってくるだけで。同世代のボートレースを知らない友達ともよく食事に行きますし、お互い変わらない感じで仲良くしています。友達から見ても、私がボートに乗っているとは思えないみたいですけど(笑)。まあそれだけオフのときは普通に過ごしているということで……。
最後まで諦めない姿勢を見てほしい
- 改めてですが、大山選手が思うボートレースの魅力は何ですか?
- いろいろあるんですけど、やっぱり男子レーサーと女子レーサーが一緒にレースをしているところだと思います。女子が男子に勝つのも珍しいことじゃない。だからこそ、そこを見てほしいというのはありますね。
- では、大山さん自身の魅力、ご自身のここを見てほしい というところはありますか?
- 最後まで諦めない姿勢ですね。ボートレースでは3周回るんですが、最後のコーナー、3周目の2マークまで諦めずに前を追いかけるということは大事にしています。ボートレースは比較的早くレースが決着してしまうことが多いのですが、後ろの方でも、少しでも着順を上げるように前を追いかけています。
- 諦めない姿勢はファンの方にも伝わりますね。
- ただ、今は前を追う気持ちばかりになりすぎているんですよね。前を追いかけると後ろに注意が向かずに抜かれてしまうこともある。前を後ろで意識を半分ずつというのが理想です。そこも私の課題ではあるんですが。
- そのために練習を繰り返して身につけていくわけですね。
- 練習ももちろん大事ですけど、本番のレースで何を学ぶかも大切なんです。
特にSGのような大きなレースでトップの選手と一緒に走ると、もらう刺激がぜんぜん違う。だから、ファンの方のおかげで大きなレースを経験させてもらえることが本当にありがたい。もちろん今でも良いターンができたなと思うこともありますが、毎回できないと意味がないですし、そこを目指していきたいですね。
- まだまだ課題はたくさんある、と。
- ただ最近は少し変わらないといけないなとも思っているんです。
ずっとレースに乗るのが純粋に楽しいという気持ちと、チャレンジャーとしての気持ちでやってきたのですが、賞金女王になって立場が変わってきているところも少しは自覚しないと。インタビューとかでも「まだチャレンジャーなんで勉強です」って言い続けてきましたが、周りからどう見られているか。そのギャップってあるじゃないですか。
自分自身としてはまだまだでも、外から見るとレディースチャンピオンで賞金女王じゃないか、という。だからある程度はプライドも持ってやっていかないとダメだろうなと。
ボートレーサーになってからは楽しい事しかない!
- 最後に、ファンの方や見ている人へのメッセージをいただけますか。
- 今は成長を見守ってほしいなという感じですね。賞金女王になってレディースチャンピオンになって、すごいねと言ってくれるのもありがたいですけど、まだまだそんなレーサーじゃないし実力も足りない。
去年、はじめてSGに行けてようやくスタートラインに立ったという感覚なんです。ここから結果を出していくというよりは、あらためて勉強がはじまるという感じ。だからすぐに結果を出したいという気持ちではなくて、長いスパンで考えて5年・10年経ったときに、本当にしっかりとした力を付けていたい。今年とか来年とか、そんな簡単には上手くなれないですから。
- 最後にもう一度、大山さんにとってのボートレースの魅力を教えて下さい。
- やっぱりボートレースはとにかく楽しいですね。勝ったり負けたり、いろいろありますけどなんだかんだ言って楽しいんです。
練習ももちろん楽しいですけど、レースは特に乗れば乗るほど楽しくなる。養成所時代はひとつも楽しいことはなかったですけど(笑)、ボートレーサーになってからは楽しい事しかありません。毎日がホントに充実していて、こんな楽しい仕事ができて、幸せだなと思っていますね。
私は他にできることはなにもない人間ですから、ボートレースに熱中できて本当に良かった。本当にボートが大好きなんです。そういう気持ちも、見ている方に伝われば良いですね!
- 大山千広(おおやま・ちひろ)
- 1996年2月5日生まれ。福岡県出身。O型。母親に憧れ、高校卒業後にボートレーサー養成所へ。2015年にデビュし、21歳で初優勝。2019年、23歳の若さで史上最年少賞金女王に輝く。
サイン入りポラプレゼント
今回インタビューをさせていただいた、大山千広さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。
- 応募方法
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— ライブドアニュース (@livedoornews) January 28, 2020
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インタビューはこちら▼https://t.co/LnSqoKfsTl pic.twitter.com/kcEb6WefDd- 受付期間
- 2020年1月28日(火)11:00〜2月3日(月)11:00
- 当選者確定フロー
- 当選者発表日/2月5日(水)
- 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
- 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから2月5日(水)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき2月8日(土)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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