僕らはもっと頑張れる。莉犬×ななもり。が振り返る、制作に打ち込んだ怒涛の日々

新世代の動画配信エンタメユニット“すとぷり”こと、すとろべりーぷりんす。そのメンバーのひとり、莉犬(りいぬ)は、天真爛漫な明るい性格で、リスナーからは「可愛すぎる」と大人気の歌い手だ。

しかし、莉犬が21歳の誕生日にあわせて投稿した動画「生まれてから、」では、家族との確執や愛に飢えていた幼少期、病気で亡くなった親友から託された声優の夢、性同一性障害で苦しんだ過去が明らかに。動画は400万回再生を超えるなど、大きな反響を呼んだ。

思い出したくないほどツラい記憶の扉を開けるしんどさは、容易に想像ができる。そうまでして、自分の壮絶な過去をリスナーのみんなと共有すると決めたのはなぜか? 12月11日にリリースのアルバム『タイムカプセル』を通して、莉犬がリスナーのみんなに伝えたいメッセージとは?

11月中旬。スタッフが事務所を訪れると、莉犬とすとぷりのリーダー・ななもり。が笑顔で出迎えてくれた。まずは動画「生まれてから、」を配信するに至った経緯について話を聞いた。

取材・文/花村扶美

リスナーさんと正面から向き合うには過去を話さなきゃ

最初にお話をうかがいたかったのが、莉犬さんが2019年5月26日に「生まれてから、」というタイトルでアップした、これまでの壮絶な過去を振り返った動画についてです。
莉犬
 はいっ。
家庭環境や家族との関係などが赤裸々に語られていましたが、言葉にして伝えることは勇気がいりませんでしたか?
莉犬
 そうですね……普通は言いたくないことだと思うんです。でも、リスナーさんたちの中にも、いろいろな悩みを抱えてる子がいて……。そういう人たちへ“ひとりじゃないんだよ”“自分もツラかったけど、頑張るから負けないでほしい”っていうことを伝えたいと思ったんです。

そのためには、まず自分がどういう人間かを知ってもらってからじゃないと、気持ちは届かないんじゃないかなって。
そうだったんですね。
莉犬
 よく知らない人から「頑張れよ!」って言われても、「うるせぇよ!」って感じになると思うんです。自分はひとりの人間として、ちゃんとリスナーさんと向き合いたいなと思ったので、そのためにはやっぱり……過去のことを話さなくちゃって。
ななもり。
 じつは2017年の夏の終わりに、生放送で本人が話したことはあったんですけど、最近僕らを知った方もいるし、改めてちゃんと伝えたほうがいいんじゃない?っていう話になったんだよね。
莉犬
 (うなずく)
ななもり。
 残念なことに、憶測でいろいろ言われたりすることもあるんです。その結果、僕たちを応援してくれているリスナーさんが心ない言葉や噂で不安になったり、傷ついたり、僕たちのことを信じられなくなったり。すとぷりの言葉が届かなくなる瞬間があったんですね。
莉犬
 いつも放送を聞いている方たちはわかってくださってると思うんですけど、聞けない方のためにも動画に残しておきたいなって。動画をアップする前は不安もあったけど、リスナーさんから「話してくれてありがとう」っていう言葉をたくさんいただいたので、今は話してよかったなって思ってます!

伝えたいことが多すぎて、気づけば6曲作詞していた!?

12月11日に全曲オリジナルのフルアルバム『タイムカプセル』が発売になります。すでにメンバーのさとみさん、るぅとさんがそれぞれソロアルバムをリリースしていますが、おふたりの制作準備の様子や発売後の反響を見て、どう思っていましたか?
莉犬
 メンバーが頑張ってる姿を見ると、誇らしい気持ちになるのと、自分も頑張ろう!ってすごく燃え上がりますね。だから、早くレコーディングしたい!って思ってました。
アルバムの準備はいつから進めていたんですか?
ななもり。
 今年の3月からだったかな? すとぷりの1stアルバムリリースと全国ツアーもあったので、その合間に打ち合わせをしながら進めていきました。
莉犬
 しかもそれに並行して、夏は自分のソロツアーもやってたし(笑)。
よくぞ超多忙なスケジュールの中、制作できたなと。驚きしかないです。
ななもり。
 いやー、大変でした(笑)。僕たちは生放送をメインで活動しているんですね。生放送だと、自分たちの言動にリスナーさんがすぐリアクションしてくれるので、どんどん楽しい気持ちになってくるんですが、曲を制作しているあいだは反応をいただけないので、これで喜んでもらえるんだろうかとか悩んだりして。
莉犬
 投げたボールを誰もキャッチしてくれないみたいな状況の中、不安になりながら制作してました(笑)。
ななもり。
 暗闇の中をとにかく歩き続ける怖さはあったよね。
莉犬
 ありましたね(笑)。
莉犬さんは初の作詞にも挑戦しています。しかも6曲も。
莉犬
 ?(きょとん)
ななもり。
 ん? 3曲だと思います。あ、4曲か。(指を折って数えながら)『君の方が好きだけど』と『Since 1998.』、『Now or Never』、『ノスタルジーの窓辺』と……。
莉犬
 あと『恋のつぼみ』と『タイムカプセル』。
ななもり。
 あ! え、6曲!?
莉犬
 本当だ! 6曲だ! 俺、けっこう書いてますね!?(笑)
ななもり。
 莉犬くん、めちゃくちゃ頑張ったやん! スゴいじゃん!
莉犬
 あれれれ〜!? 何か、頑張っちゃった気がする(照笑)。
莉犬さん自身も気づかないうちに、言葉があふれ出てきたんですね?
莉犬
 書き始めたらもっと書こう、もっと書きたいって気持ちが盛り上がっていって、気づいたら6曲になってました(笑)。
突然、詞を書いてみようって思い立っても、すぐ書けないと思うんです。人には見せていないけど、じつは今まで詞を書いていたとか?
莉犬
 いや、全然! 初めてです!
ななもり。
 莉犬くんは中高のときに演劇部で、高校のときは自分で台本を書いたりしていたんです。今でもYouTubeに投稿している紙芝居のようなアニメの動画があって、ひとりで4役をこなしたりしてるし。
莉犬
 たしかに(笑)。
ななもり。
 だからストーリーを考えたり、書いたりすることが得意なんだと思う。もしかしたら、小説とかも書けるんじゃないかって僕は思ってるんですよ(笑)。
次は作家デビュー?
莉犬
 いやいや(照笑)。でも舞台の台本とか書いてた頃、まわりから「小説家になる」って思われてました(笑)。「声優か小説家がどっちかになるんじゃない?」ってよく言われていたのを思い出しました。
ななもり。
 やっぱり!!

作詞に煮詰まった夜。ひとりで公園の滑り台へ

制作の段階で苦労したことやツラかったことはありますか?
莉犬
 やっぱり作詞に慣れていないので、表現の仕方がわからないし、メロディと文字数が合わないっていうことも多くて。“これ、前も使った表現だなあ”と悩んでしまうこともありました。
作詞に煮詰まったときはどうしましたか?
莉犬
 深夜にひとり、近所の公園の滑り台で遊びました……(笑)。
ななもり。
 気分転換になるんだ?(笑)
(笑)。基本は家で詞を書くタイプですか?
莉犬
 そうですね、家で曲を流しながらずーっとパソコンとにらめっこしてました。あとは思いついた言葉があったらメモするようにして、その言葉から詞の世界を広げていくという感じですね。
完成する前にななもり。さんに見てもらうことも?
莉犬
 はい。「なーくん、書けました!」って見てもらってました(笑)。
ななもり。
 でも、詞に関して僕からこうしたほうがいいんじゃない?って言うのは1回もなかったですね。僕が「いいね、いいね!」って言いすぎて、「本当に見てんのか!?」って疑われたくらい(笑)。
莉犬
 なーくん忙しいから、適当にいいねって言ってんのかなって(笑)。
ななもり。
 そんなことないよ。本当によかったから「いいね!」って返事していたんだけど。
莉犬
 「なーくん見てない疑惑」は少しありましたね(笑)。
るぅとさんがアルバムリリース時のインタビューで、「制作中、ずっと支えてくれた、ななもり。さんの存在は大きかった」ってお話をされていたんですが、莉犬さんはどうでしたか?
莉犬
 俺も同じです。ずーっとなーくんがそばにいてくれて、アルバムだけじゃなくてソロツアーも一緒にまわってくれて、本当にありがたかったです。いやー、この半年を思い出しますねぇ。
ななもり。
 怒涛の半年だったよね。
制作中のふたりの思い出というと? あの日、ファミレスで朝まで語りあったねとか、意見が対立して喧嘩になったね、みたいな。
ななもり。
 僕たちすごく仲がよくて、喧嘩することがまずないんですよね(笑)。あーでも僕、1回だけキレたことがあるんですけど。
莉犬
 何だっけ……?
ななもり。
 ジェルくんが放送中に汚いものをイラストでしつこく書き続けていて、僕が放送終了してからガチで怒ったんです。
莉犬
 よりよってそれかー!(笑)
ななもり。
 それ以外、本当に怒ったことないし喧嘩もない。普段から意見がぶつかって対立するってこともなくて。どっちかっていうと、意見を出しあって共有してよりよいものにするみたいな感じなんです。

莉犬くんのアルバム制作中もそうで、もっともっといけるんじゃないかって期待は高まるばかりでしたね。というか、もっと欲しくなっちゃいますよね(笑)。6曲とは言わずに、次回は全曲作詞でお願いします!
莉犬
 いや、それはマズいです(笑)。

先生に100点満点のテスト用紙を見せている気分

レコーディングはいかがでしたか?
莉犬
 緊張しました。普段はグループのレコーディングが多いので、6人の中で自分はどう歌おうって考えるんですけど、ひとりとなるとどうしよう!ってなっちゃう(笑)。ディレクターの方に相談しながら進めました。
レコーディングで大変だった曲は?
莉犬
 1曲目の『よくできました◎』は、最初のほうのレコーディングだったので気持ち作りから始まって。で、歌ってるうちに煮詰まってわからなくなっちゃって、マイク前から離れて1回静かに座るっていうシーンがありましたね(笑)。
ななもり。
 るぅとくんがレコーディングに立ち会ってくれた曲もあるよね。
サウンドプロデューサーとしての、るぅとさんはいかがでしたか?
莉犬
 けっこう厳しくてスパルタなんですよ(笑)。俺とるぅとくんのコラボ曲は、しんみりした中に情熱がある曲なんですけど、「莉犬、もっといけるよ! 足りないよ!」って言われて。身振り手振りもすごく激しくて、いつもと違うくらい(笑)。

こんな感じで(腕を使ってジェットコースターみたいな曲線を描く)、「こうだよ! こうだよ!」ってるぅとくんがやってる姿が目に入っちゃって、1回笑ってレコーディングが中断しました(笑)。そんな感じで、るぅとくんも一生懸命頑張ってくれました。
ななもり。
 るぅとくんも楽曲作りに気合いが入っているようでしたね。
莉犬さんは2018年4月にアルバム『「R」ealize』をリリースしていますが、1年半以上経って自分の成長を感じましたか?
莉犬
 はい! 全曲オリジナルっていうことで、自分の伝えたい思いを込められたことがすごく大きいです。前回はカバー曲ということもあって、ジャンルが似てる曲もあったんですけど、今回はいろんな楽曲が揃っていて、それに合わせて歌い方を変えたりできたのでいろんな表現に挑戦できました。
ななもり。
 初めて莉犬くんが作曲した曲が『君の方が好きだけど』なんですけど、初めてとは思えないくらい素晴らしい楽曲で、そのときからスゴいアルバムができるんじゃないかっていう予感がありました。ファンの方たちに届いてどんな反応をいただけるのか、僕もすごく楽しみです!
莉犬
 なーくんに褒めてもらえると、くすぐったいですね。先生に100点のテスト用紙を見てもらってるような気分です。「見てー、見て―、100点満点だよ!」みたいな(笑)。
(笑)。ななもり。さんのお気に入りの楽曲を1曲教えてください。
莉犬
 教えて!
ななもり。
 個人的に言えば、『タイムカプセル』がいちばんグッとくるんですけど……うーん、『ルマ』も好きなんだよなぁ。莉犬くんとかすとぷりとか知らなくても引き込まれる曲になっていると思います。

リスナーさんだからこそ思いが伝わる楽曲もあるし、すとぷりのことを知らなくても喜んでいただける曲もあるし。うーん、そうですねぇ、オススメの曲は……全曲です(笑)。
莉犬
 うれしいです(笑)。

リスナーさんがいるから、僕らの活動は成立している

ななもり。さんは、莉犬さんの作詞そして歌の才能をどう見ていますか?
ななもり。
 文章を考える力はもちろん、リスナーさんとの距離感や関係、愛情をどう表現すればいちばん伝わるのかをすごく考えていて、悩みに悩んで、もっともっと気持ちを伝えたい!という強い思いが重なって今の莉犬くんがいるんだなと、すごく感じましたね。ソロツアーに同行させてもらって、それはさらに強く感じました。
ツラい日々を送ってきた莉犬さんが、挫けずに前を向いて突き進むことができているのは、やはりリスナーの存在が大きいのでしょうか?
莉犬
 はい、本当にそうです。俺、実際はめちゃめちゃネガティブな性格なんですよ(笑)。でも、ネガティブじゃいられない状況だなと思っていて。ツラくても頑張らなきゃいけないっていうか、頑張りたいと思えるのはやっぱりリスナーさんがいてくれるから。

あと頑張ってるメンバーの姿を見ていると、自分も頑張らなきゃって思えるんです。だから、すごくまわりの人たちに支えられてるなって思いますね。
莉犬さんのポリシーは何ですか?
莉犬
 ポリシーですか!? え〜、……何だと思います?(と、ななもり。さんを見る)
ななもり。
 僕が思う莉犬くんの理念みたいなものは、すとぷりってみんなそうなんですけど、つねに“リスナーさん第一”だということ。リスナーさんが楽しんでくれるなら、どんな努力も惜しまない。莉犬くんは昔からずっとそういう気持ちで活動してきたと思いますね。
莉犬
 そうですね。リスナーさんがいてくれたから救われたし、こうして活動を続けられてるなって思います。それは活動を始めた頃からずっとそう。自分たちの活動って、受け取ってくれる方がいるから成立するものなんですよね。リスナーさんがいるから前に進めるし頑張ろうって思える。みんなにはこれからも“ありがとう”の気持ちを伝えていきたいです。
莉犬(りいぬ)
1998年5月24日生まれ。B型。人気動画配信エンタメユニット・“すとぷり”(すとろべりーぷりんす)のメンバー。担当カラーは赤。2018年4月にソロアルバム『「R」ealize』を発表。2019年12月11日、全曲オリジナルのソロアルバム『タイムカプセル』をリリース。2020年2月1日、2日にアニメイト池袋本店にてアルバム発売イベント開催予定。
    ななもり。
    1995年6月23日生まれ。A型。人気動画配信エンタメユニット・“すとぷり”(すとろべりーぷりんす)のメンバー兼リーダー。担当カラーは紫。すとぷりとしては2020年1月15日に2ndアルバム『すとろべりーねくすとっ!』のリリースが決定。3月にはナゴヤドームでのライブも開催予定。

      CD情報

      『タイムカプセル』
      12月11日リリース!

      左から初回限定DVD盤[CD+DVD]、初回限定ボイスドラマCD盤[CD+ボーナスCD]、通常盤[CD]

      初回限定DVD盤[CD+DVD]
      ¥3,300(税込)
      初回限定ボイスドラマCD盤[CD+ボーナスCD]
      ¥3,300(税込)
      通常盤[CD]
      ¥2,750(税込)

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