怖いけど、自分から動かなきゃと思った――「女優・深川麻衣」を生んだ最初の一歩

乃木坂46の1期生として活躍し、2016年の卒業後は、女優として順調に活動の場を広げている深川麻衣。NHK連続テレビ小説『まんぷく』など話題作にも出演し、この秋からはドラマ『まだ結婚できない男』(関西テレビ系)に出演している。

前作の『結婚できない男』は、2006年に阿部寛主演で高視聴率を記録した人気ドラマ。偏屈で皮肉屋だが仕事はできる建築家・桑野信介の姿をコミカルに描き、「アラフォー独身男性」がメディアで特集されるほどの社会現象に。

13年前、深川は高校生になったばかりだった。いち視聴者として観ていた作品に出演できる喜びもある一方で、前作からのファンに受け入れてもらえるか、緊張も感じているという。

この作品にかける思い、そして高校生時代に踏み出した「一歩」について、語ってもらった。

撮影/すずき大すけ 取材・文/江尻亜由子

自分の好きなことに一生懸命になれる人は素敵

前作『結婚できない男』の大ファンだったと伺いましたが、続編に出演される感想は?
ものすごく、うれしかったです。続編が作られたドラマはこれまでもありますが、13年ぶりっていうのは珍しいケースだと思うんです。だから、あの『結婚できない男』の続編が13年ぶりに決まって、自分が桑野さんの未来に関わることができるなんて、本当に信じられなくて。

もちろん自分が出演していなくても、視聴者として当たり前のように観ていたと思うので、本当にうれしかったです。
家族や友人からも、祝福の連絡はありました?
そうですね、友達、家族や親戚からも連絡が来て。友達も、大好きなドラマだったから、私が出ることになって本当にうれしいと喜んでくれました。前作の頃はちょうど高校生だったこともあり、友達みんなドラマを観ていたので。
前作の場面やセリフで、印象的だったものはありますか?
なんといっても桑野さんの憎めないチャーミングな人柄や、テンポの良いやりとりは強く印象に残っています。あとはパグ犬のケンちゃんが、ものすごくかわいかったです。うるうるしてる目とか、ベランダからのぞいてる顔とか、きゅうりを投げられて追いかけていくシーンを観ては毎回癒やされていました。

今回もかわいいパグ犬が出ているので、ぜひ観ていただきたいです!
前作を観ていた当時は、「結婚」にどんなイメージを持っていましたか?
高校生だったこともあって、「結婚」というテーマに関しては、全然身近なものではなかったです。

でも、私も年を重ねてきて、周りでも結婚する友達が増えてきたり、どんどんみんながお母さんになったりするのを見ていて、当時よりは身近で、リアルなものになってきたな、と感じています。
当時は桑野を見て「こういう男性はちょっとな…」と思ったりも?
桑野さんってちょっとトゲがあることを言って、周りの人とケンカになってしまったりしますが、桑野さんのキャラクターだからこそ許せてしまうし、ひとりの時間を謳歌してるのがすごく素敵だなと当時思ったのは、覚えています。

料理をしたり趣味を楽しんだり、自分の好きなことに時間を使える大人ってカッコいいな、と思いました。
たしかに、桑野さんはひとりで「人生ゲーム」をしたり、クラシックを聴きながら指揮の真似をしたり、自分の時間を楽しんでますよね。今でも、そういう人は素敵だなと思います?
そうですね。男性、女性限らず、自分の好きなことを一生懸命やってる人とか、何かに熱中できる人ってすごく素敵だなと思います。そこに対しての価値観は、今でも変わらないです。

高校生のときは、20歳や22歳で結婚したいと思ってました

ちなみに高校生のときは、何歳までに結婚したいとお話されていたんですか?
たしか、20歳とか22歳とか言ってた気がします。でもいざその年代になると、全然まだまだだなって。

結婚願望はありますけど、何歳までにという気持ちはないですね。とにかく今は仕事が楽しいですし、がんばりたいです。
結婚より目の前のお仕事、という気持ちが強いんですね。
「仕事があるから」と自制しているわけではなく、今は本当に仕事が楽しい時期で。中高生のときみたいに、「何歳までに結婚したい」っていう理想がまったくなくなりました。「結婚したい」と自然に思える時期でいいんじゃないかな、って。
「こういう人が現れたら結婚したい!」みたいな理想像はありますか?
心が広くて一緒にいて楽しい人がいいなと思いますね。友達夫婦を見てても、同じ時間を楽しそうに過ごしてるのが、素敵だなと思います。

ずっと一緒にいるという決断をするわけだから、お互いにわかり合えるというか、「この人だ!」と思える人に出会えたらいいなと思いますね。
ここは絶対に自分と一緒であってほしい、という価値観はありますか?
それはあんまりないかもしれないです。お互いに違う部分を面白いと思えたり、フォローし合えたりする相手だったらいいのかなって。

寝ればリセットできるので、あんまりクヨクヨ引きずりません

前作を観ていた頃のお話も聞かせてください。高校1年生のとき、ダンススクールに入ってダンスを学び始めたんですよね。どういう思いから決断したのでしょう?
中学生の頃から、何か表現すること――それが「イコール、芸能界のお仕事」とは思っていなかったですが、表現することにはずっと憧れていました。

高校生のときに、地元にダンススクールがあるのを知ったんです。でも周りの友達には、そういうことに興味がある子がいなくて。興味がない子をむりやり誘うのも悪いし。

その頃は、ひとりで何か行動することが怖くて、苦手だったんですよね。でも、自分の意志で、「怖いけど、これを始めたいな」って思えたんです。なんだか、「自分から動かなきゃ」って気持ちになって。自分としてはすごく、勇気を持って踏み出した一歩でした。
そのときの決断が今につながっているんですね。美術系の高校に通われていたそうですが、授業と両立させるのは大変でしたか?
大変なことといえば、部活やバイトもある中で、絵の〆切もあって。絵を描くこと自体はすごく好きでしたけど、やっぱり…上を見たら、キリがないというか。自分の思うように描けなかったときは、すごく悔しかったです。
そういうとき、どのように自分を奮い立たせていたんでしょうか?
友達に会って話したり、ごはんを食べたり。そういう何気ない時間が気分転換になって救われていました。

基本的には、昔から、お風呂にゆっくり浸かって寝るとわりとリセットできるタイプで(笑)。なので、そんなにクヨクヨ引きずることは少ないかもしれません。

友達の言葉がうれしくて――焼き鳥屋で泣いた日

お友達からかけてもらった言葉で、印象に残っているものはありますか?
私、小学1年生からの友達がいて。もう20年以上の付き合いで、私もその子のことはなんでも知ってるし、その子も私のことをなんでも知ってるっていう間柄なんです。その子と、ちょっと前に焼き鳥を食べに行ったんです。
女性ふたりで焼き鳥、いいですね。
焼き鳥、好きなんです(笑)。そこで、「お互い、大人になったよね」みたいな話もして。

芸能のお仕事を始めてから、周りからはちょっと特別な目で見られることが多くて。前から知っている人の自分を見る目が変わって、自分は全然変わってないのにな、ってモヤモヤしていたんです。

でも、その子は「私にとってはずっと、深ちゃんは、深ちゃんのまんまだよ」って。

そう言ってもらったら、私、全然お酒も飲んでないのに泣いちゃって。そしたら友達も泣いちゃって、ふたりで笑い泣きしました(笑)。こんな友達がいてくれて、すごく幸せだなと思いました。

ドラマでは、台本を読むたびに発見があるのが面白い

改めて『まだ結婚できない男』についても聞かせてください。深川さんが演じる戸波早紀(となみ・さき)は、桑野のお隣に引っ越してきた女優という役どころです。
初回では“謎の女”として、マスクにサングラスですごく怪しい姿で出てきました(笑)。

話が進むにつれて、彼女の人柄が明らかになるんですが、監督からも演出を受けて基本的に「とにかく明るく」というのを意識してます。コメディですし、ドラマを観ている方がクスッと笑えるような時間になればいいなと思うので。
コメディのお芝居がいちばん難しいと言う俳優さんも多いですが、挑戦してみていかがですか?
本人たちがものすごく一生懸命だからこそ、空回りしていることが観ている方には面白く映るんだろうな、と思っていて。だから、わざと面白くしようとか笑わせようとか、そういうふうには考えないようにしています。ちょっと噛み合ってないやりとりでも、真面目にやるようにしています。

映画だとできあがった台本を最初にいただきますけど、ドラマは、クランクインの段階では後半の台本ができあがっていないことも多いので、毎回台本を読むたびに、「あ、こんな展開になるんだ」とか、「早紀ってこんな一面もあるんだ」と新しい発見があって。それが難しくもあり、面白いです。
主演の阿部さんとは、どんなお話をされていますか?
先日は、犬のお話をしました(笑)。

阿部さんが、今回のドラマのアイドル、パグ犬の「タツオ」とコミュニケーションをはかるために、お芋のおやつをすごく手慣れた手つきで差し出して駆け引きをされていて(笑)。まさに桑野さんそのものに見えて、面白かったです。
現場では、誰とお話することが多いですか?
稲森(いずみ)さんとか(吉田)羊さんとは、回を重ねるにつれて同じシーンが増えてきて、お話させていただく機会も多くなりました。この前、撮影の合間にぽろっと、少し不安に思ってることを相談したら、羊さんがすごく親身になって聞いてくださって、本当にうれしかったです。
深川さんは年上の方々に対しても、自分から積極的に話に行けるタイプですか?
今回の現場は自分にとっては大先輩ばかりですし、最初はものすごく緊張しました。でも出演者のみなさんも、スタッフの方々も、すごく気さくに話しかけてくださるので、撮影が進むにつれてたくさんお話させていただきました。貴重な時間を過ごさせてもらえてるなと思います。

不安もあるけど、将来のことを考えるのはすごく楽しい

朝ドラ『まんぷく』など注目作への出演も増え、順調に女優として活躍されている印象ですが、ご自身ではプレッシャーを感じるときもありますか?
プレッシャーはすごく感じています。今も「順調に」と言ってくださいましたが、そう見えているならきっと、私じゃなくて応援してくださる方やまわりのスタッフのみなさん、あとは作品に恵まれているおかげだなと思います。

今回も13年越しの続編で、楽しみにしている方がたくさんいらっしゃると思います。私も新しいキャストとして参加して、「楽しんでいただけているかな? 受け入れてもらえているかな?」という緊張感はありました。でも大変なことでも楽しんだほうがいいので、切り替えて作品と向き合っています。
前向きに取り組むことを心がけていらっしゃるんですね。
作品との出会いは本当に一期一会というか、タイミングや縁もすごくあると思います。だから、その作品で出会えたものすべてを大事に、吸収していきたいです。

「○年後の目標は?」って聞かれることも多いですが、とにかく今は目の前にある作品ときちんと向き合って、地に足をつけて進んでいきたいなと思っています。
30歳を前にして、これからの仕事に対して「期待」と「焦り」、どちらが大きいでしょう?
少し前までは焦ることもありましたが、今は、何かに集中して向き合っていると時間を忘れてしまうんです。

不安もありますけど、年齢を重ねるごとにいただく役も変わってくるし、「これから、自分はどういうふうに変わっていくんだろう?」とか、「どんな将来が待ってるんだろう?」というのがすごく楽しみです。

ただ、やっぱり今をがんばらないと先はないので。「がんばらないと!」という気持ちと、「楽しい将来であってほしいな」というドキドキと。そのふたつが入り混じってる感じですね。

最近は、土鍋でごはんを炊くようになりました

お忙しい中で、日々の息抜きになっていることがあれば教えてください。
犬の動画です(笑)。

ヨークシャー・テリア(ヨーキー)がすごく好きで、実家でも飼っているんですけど、(吉田)羊さんもヨーキーが好きっていうことが判明して。動画を検索して寝る前に観たり、かわいい子を発見したら羊さんに見せたり。犬にたくさん癒やされています。
過去のインタビューでは、「ぬか漬け」など自炊をがんばっているとお話されていましたが、今もお料理はしていますか?
がんばっています! 最近は土鍋でごはんを炊くようにしています。土鍋で炊くと、お米がすごくおいしいんですよ。食べすぎにはちょっと、気をつけなきゃいけないですけど…(笑)。
最近作った料理で、いちばんおいしくできたのはなんでしょう?
このあいだ、初めて油淋鶏(ユーリンチー)を作りました。一見難しそうなんですけど、レシピを見つけて作ってみたら、本当に簡単にできました。

ネギを刻んで中華風のタレをかけるんですけど、それがすごくおいしくできて、うれしかったです。パリっと揚がりました!
深川麻衣(ふかがわ・まい)
1991年3月29日生まれ。静岡県出身。O型。2011年に乃木坂46の第1期生オーディションに合格し、活動をスタート。2016年に女優業に専念するためグループを卒業。ドラマ『プリンセスメゾン』(NHK BSプレミアム)、『日本ボロ宿紀行』(テレビ東京)、NHK連続テレビ小説『まんぷく』、映画『パンとバスと2度目のハツコイ』、『愛がなんだ』、『空母いぶき』などに出演。

ドラマ情報

ドラマ『まだ結婚できない男』
毎週火曜21:00〜 カンテレ・フジテレビ系列全国ネットにて放送
https://www.ktv.jp/kekkondekinaiotoko/index.html

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、深川麻衣さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
受付期間
2019年10月29日(火)18:00〜11月4日(月・祝)18:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/11月5日(火)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから11月5日(火)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき11月8日(金)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
  • 賞品発送先は日本国内のみです。
  • 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
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