ゴリッゴリのギャルたちと、話題沸騰の「へそまがり日本美術」展に行ってみた。
今、美術ファンをザワつかせている話題の展覧会がある。府中市美術館(東京)で開催中の「へそまがり日本美術」(3月16日〜5月12日)がそれだ。
展示内容を紹介するニュース記事が約2万リツイート、開始わずか10日で図録の重版が決定、関連グッズも早々に完売続出…。郊外の市立美術館としては、異例の大盛況となっている。
なぜそれほど人気なのか。 評判では、展示作品が「とにかく変な絵ばかりで面白い」のだという。なるほど。でも、それって実際どのくらい変で面白いのだろう? 「日本美術」って、地味で渋めなイメージがあるけど…。
その辺りを厳正にジャッジするべく、今回はガチで強めのギャルたちを連れて、現地へ行ってみた。なぜここで急に「ギャル」なのか? 理由はおいおい説明していこう。
撮影/水上俊介
文・構成/飯田直人
(livedoorニュース)
デザイン/桜庭侑紀
取材協力/府中市美術館
展示内容を紹介するニュース記事が約2万リツイート、開始わずか10日で図録の重版が決定、関連グッズも早々に完売続出…。郊外の市立美術館としては、異例の大盛況となっている。
なぜそれほど人気なのか。 評判では、展示作品が「とにかく変な絵ばかりで面白い」のだという。なるほど。でも、それって実際どのくらい変で面白いのだろう? 「日本美術」って、地味で渋めなイメージがあるけど…。
その辺りを厳正にジャッジするべく、今回はガチで強めのギャルたちを連れて、現地へ行ってみた。なぜここで急に「ギャル」なのか? 理由はおいおい説明していこう。
撮影/水上俊介
文・構成/飯田直人
(livedoorニュース)
デザイン/桜庭侑紀
取材協力/府中市美術館
- こんにちは! きょうの展覧会には変な絵がいっぱい飾ってあるそうなので、それを見てどう思ったか、正直に、好き放題に言い散らかしていただければと思っています!
- みりちゃむ へー、楽しそうだね!
- なぎ 好きホーダイって、なんでもあり?
- きぃりぷ 「これケータイのカバーにしたいわー」的な?
- いいですね! そんな感じのノリでOKです! 面白いなら面白い、つまらないならつまらないとハッキリ言っちゃってください。
- なぎ ありがたい! やりやすくていいわー。
- ところで、皆さんは徳川家光って知ってますか? 今回の展覧会に出ている家光の鳥の絵が、ネット上で「ぴよぴよ鳳凰(ほうおう)」ってあだ名が付いて、すごく人気になってるのですが。
- 一同 え、かわいいーーー!!!
- みりちゃむ 徳川だから、家康の親戚でしょ?
- きぃりぷ あれだ、江戸時代。ヘンノウジの変?
- みりちゃむ 「本能寺」の変でしょ(笑)。
- なぎ 寺を燃やしたやつだよね。
- きぃりぷ え、家光って寺燃やしたの? 超ワルじゃね?
- うーん、家康の親戚(孫)ってこと以外はちょっと違うね…。家光は江戸幕府の三代目将軍。鎖国や参勤交代を制度化したりして、約300年続く江戸時代の基礎を築いたエラい感じの人ですね。
- なぎ サコク?
- きぃりぷ サンキンコウタイ?
- (え?) 知らない? ちょっと、「鎖国」と「参勤交代」っていう単語を聞いたことがあるかないか、一斉に答えてもらってもいいですか? せーの!
- なるほど…(想像以上に手強いな)。じゃあ、今回の展示は伊藤若冲とか、有名な画家の作品もいくつかあるんだけど、そんな人の名前は、聞いたことないですよね?
- みりちゃむ ジャクチュー?
- きぃりぷ 伊藤ジャンキー?
- なぎ なんか強そうじゃん(笑)。
- きぃりぷ てか早く展示見に行こうよ!
- そ、そうですね! もう行きましょう!
なんか…ややこしい質問ばっかりして、すみませんでした! - なぎ ねえ! ちょっとこれ見てよ!
- きぃりぷ うお! なんだこれ!! かっけえな!!!
- 金子さん 美術って言うとなんだか「キレイなもの」「素晴らしいもの」って感じがするでしょう? でも私たちは、そうじゃないものもいいなって思ったりしますよね。形が崩れているものとか、変なもの、少し気持ち悪いものとか。そういう感覚って不思議じゃない? そういう人間の感じ方を「へそまがりの感性」という言葉でまとめてみたのが、今回の展覧会なんです。
- きぃりぷ え、深くねえ?
- 金子さん ありがとう(笑)。日本ではこれまでにいろんな美術が生まれてきました。形が整っていない、立派じゃない、変な絵たち。今回はそうした作品の価値を見直してみたいなと、そう思って企画をしました。
- きぃりぷ へー! ただのギャグなのかと思ってましたよ!(笑) でもホント面白いの多かったです。
- なぎ きょうみたいな美術ってフツーのより全然いいです。
- きぃりぷ フツーのは全部スルーしちゃうよね。
- なぎ 見てもなんっも思わない!
- 金子さん なにか変だなと思って、面白がってもらえたなら良かったです。きょうはみんなの感想を聞いていて、すごく刺激を受けました…。牛に乗ったおじいさんの絵に「ジワる」って言ってたでしょ? 私はその言葉にジワっちゃいました。
- きぃりぷ あ、ハマっちゃいました? じぃたんのケータイカバーとかあったら絶対買いますよ。ケータイ使うたびにジワんもんね。
- 金子さん いやー、図録の解説文を書き直したいです。まさに「ジワる」っていうのこそ、きっと作者が描きたかった感情だと思えてきて…。
- みりちゃむ そうなんですか?(笑)
- 金子さん そうなんです…。ちなみに、長沢蘆雪の作品は展示の最初のほうに、別の絵も展示してあったんですよ。見てみませんか?
ギャル、美術館に襲来!
今回の取材に参加していただくのはこちらの3人。全員、由緒正しきギャル雑誌『egg』の専属モデルたちだ。
きぃりぷ
2001年、茨城県生まれ。趣味特技はモノマネメイク。
みりちゃむ
2002年、埼玉県生まれ。趣味特技はメイク、ネイル。
なぎ
2002年、東京都生まれ。趣味特技は髪の毛を巻くこと、走ること。
※ 『egg』は2014年から休刊中で現在は「web版egg」のみの稼働だが、今年の5月1日に紙の雑誌として1号限りの復活をすることが決定。おめでとうございます!
2001年、茨城県生まれ。趣味特技はモノマネメイク。
みりちゃむ
2002年、埼玉県生まれ。趣味特技はメイク、ネイル。
なぎ
2002年、東京都生まれ。趣味特技は髪の毛を巻くこと、走ること。
※ 『egg』は2014年から休刊中で現在は「web版egg」のみの稼働だが、今年の5月1日に紙の雑誌として1号限りの復活をすることが決定。おめでとうございます!
今回の企画はこんな考えから生まれた。
ギャルというのは基本的に、下ネタでも何でも「ぶっちゃけ」て話す正直者たち。彼女らならきっと、「日本美術」という敷居の高そうなものに対しても臆せず、 率直で容赦ない批評をしてくれるはずだ。
また、ギャルは「激おこぷんぷん丸」はじめ、数々のパワーワードを世に送り出してきた民族でもある。特殊な言語感覚を持った彼女たちに「とにかく変だ」と評判なものを見せたなら、一体、どれほど面白いコメントが飛び出すやら…。
要するにこの企画、98%ただの悪ノリだ。怖いもの見たさの好奇心と言ってもいい。もしかしたら炎上するかもしれない。だけど、なんとなく、奇跡的な展開が生まれそうな予感がした。
思い立ったが吉日。さっそくダメ元で美術館に取材を申し込んでみると、“即レス”でOKが出た。意外だ。公共施設なのにノリが軽い。しかも「ギャルの皆さんには好き放題に言っていただいて構いません!」と、やたら強気な姿勢を示してきた。一体なんなんだ、この美術館…! まァそっちがその気なら、遠慮なくやらせてもらいますけど!
ギャルというのは基本的に、下ネタでも何でも「ぶっちゃけ」て話す正直者たち。彼女らならきっと、「日本美術」という敷居の高そうなものに対しても臆せず、 率直で容赦ない批評をしてくれるはずだ。
また、ギャルは「激おこぷんぷん丸」はじめ、数々のパワーワードを世に送り出してきた民族でもある。特殊な言語感覚を持った彼女たちに「とにかく変だ」と評判なものを見せたなら、一体、どれほど面白いコメントが飛び出すやら…。
要するにこの企画、98%ただの悪ノリだ。怖いもの見たさの好奇心と言ってもいい。もしかしたら炎上するかもしれない。だけど、なんとなく、奇跡的な展開が生まれそうな予感がした。
思い立ったが吉日。さっそくダメ元で美術館に取材を申し込んでみると、“即レス”でOKが出た。意外だ。公共施設なのにノリが軽い。しかも「ギャルの皆さんには好き放題に言っていただいて構いません!」と、やたら強気な姿勢を示してきた。一体なんなんだ、この美術館…! まァそっちがその気なら、遠慮なくやらせてもらいますけど!
企画の趣旨を説明をするため、ギャルたちにはいったん会議室に集合してもらった。3人とも非常に仲が良く、最初からずっとおしゃべりが止まらない。きょうは、にぎやかな取材になりそうだ。
▲《鳳凰図》(部分) 徳川家光
ギャル、いざ展示スペースへ!
展示室へ移動しがてら話を聞くと、3人とも中学校の授業にはあんまり出ていなかったのだという。なるほどな。こちらは安心させるつもりで「今回は教科書的な知識とかホント要らないので、自由に楽しんでください!」と伝えると、「そうしま〜す!」と底抜けに明るい返事が返ってきた。
素直で強い、いい子たちだ。
素直で強い、いい子たちだ。
さすが、モデルをやっているだけにポーズを決めるのが超早い。入り口での撮影をさっくりと終えた3人は、とりあえず順路を無視して家光の《鳳凰図》を探しにいくことにした。しかし、展示室に足を踏み入れた途端、別の変なものを見つけてしまったようだ。
いかにもギャルらしいノリの良さで、素早く仕事をこなす3人。ありがとうみんな。こういう勢いのある展開、ネット記事には大切だよね。素晴らしい。
だけど…筆者は少し心配になってしまった。
自由気ままな振る舞いを装っているけど、君たち、 大人の事情を察して、“ギャルらしさ”を演じてくれていないか…? 面白おかしく、なおかつ作家や美術館に失礼にならないように? そういうプロフェッショナルな気遣い、今回は要らないんだけどな…。
ギャルは歩みを先に進めている。
だけど…筆者は少し心配になってしまった。
自由気ままな振る舞いを装っているけど、君たち、 大人の事情を察して、“ギャルらしさ”を演じてくれていないか…? 面白おかしく、なおかつ作家や美術館に失礼にならないように? そういうプロフェッショナルな気遣い、今回は要らないんだけどな…。
ギャルは歩みを先に進めている。
いや、やっぱこの子たち“素”だわ! 安心した!
だけど、授業に出てないのに見飽きるほど教科書は読んだのかしら…?
こちらが細かい矛盾を気にしている間に、3人は家光の「ぴよぴよ鳳凰」の前にたどり着いていた。続けてもらおう。
だけど、授業に出てないのに見飽きるほど教科書は読んだのかしら…?
こちらが細かい矛盾を気にしている間に、3人は家光の「ぴよぴよ鳳凰」の前にたどり着いていた。続けてもらおう。
こぢんまりしたサイズがかわいらしくもあるんだけどなぁ。でも、そんなの彼女たちには関係ない。好き放題言ってOKのルールなので、ギャルの正直な感想をそのまま掲載する。正直というのは、残酷の別名なのだ。
想像以上の辛口批評で家光・家綱父子をあっさり切り捨てたギャルたち。だがしかし、次に視界へ飛び込んできた作品に、きぃりぷは思わずこう叫んでいた。
老子=じぃたんと出会って
ギャルの想像力に火がついた
ここまで5作品を見てきて、あれこれ言いながらも、ギャルたちが展示をかなり楽しめているようだ。そして次の作品で、3人は日本美術の深みにいよいよドハマりしていくこととなる。
明らかに、彼女たちの絵の見方が大きく変化している。描かれたものの背後に、勝手な設定を読み込み始めたのだ。「そうか、そういう路線もありなんだな…」と思い、次の作品をこちらから紹介し、問い掛けてみた。
続いて3人が目を留めたのは《百福図》。同じものを100個ならべる縁起物の画題で、「お多福」たちが所狭しと描きこまれている(実際に数えてみると145人のお多福がいるらしい)。
学芸員の金子さんに聞いてみよう
約1時間。展示をひと通り見終わった辺りで、ギャルたちはヘトヘトに疲れ切っていた。
廊下のベンチに座って休憩していると、「そういえば展覧会名の『へそまがり』って何なの?」という質問が出てきた。
コンセプトについては会場の入口に説明が書いてあるのだが、素通りして見始めてしまった。今から読みに戻るには、足が疲れすぎている。展示のどこがどう「へそまがり」だったのか? この日の取材を陰から見守っていた、学芸員の金子信久さんに説明をお願いすることにした。
コンセプトについては会場の入口に説明が書いてあるのだが、素通りして見始めてしまった。今から読みに戻るには、足が疲れすぎている。展示のどこがどう「へそまがり」だったのか? この日の取材を陰から見守っていた、学芸員の金子信久さんに説明をお願いすることにした。
一同は金子さんの言う、別の蘆雪作品を見に行くことにした。
じぃたんに手紙を書こう!
3人とも《老子図》が心底気に入ったようだ。そろそろ取材を終えようかというタイミングなのだが、「じぃたん」の前から離れようとしない。このまま終わりにするのも、少し寂しい気がしてきてしまった。どうしよう…。
悩んだ末に、次のように提案してみることにした。「かわいそうなじぃたんに、みんなで手紙でも書いてみましょうか?」
ギャルたちは大いに賛同してくれた。
「いいね!」
「書きたい書きたい!」
「やったー! じぃたん、じぃたん♪」
16歳や17歳には見えないほど大人びた彼女たちの、童心が垣間見えた瞬間である。会議室に戻って、ペンと紙を渡すと、各々静かに想いの丈を綴ってくれた。
悩んだ末に、次のように提案してみることにした。「かわいそうなじぃたんに、みんなで手紙でも書いてみましょうか?」
ギャルたちは大いに賛同してくれた。
「いいね!」
「書きたい書きたい!」
「やったー! じぃたん、じぃたん♪」
16歳や17歳には見えないほど大人びた彼女たちの、童心が垣間見えた瞬間である。会議室に戻って、ペンと紙を渡すと、各々静かに想いの丈を綴ってくれた。
▲みりちゃむ
▲なぎ
▲きぃりぷ 勝手な設定がまた追加されている…。
以上で今回の取材は終了。
「へそまがり日本美術」は、美術館に初めて来たというギャルのテンションもブチ上げるほど面白い展覧会だった。そりゃー人気も出るわけだ。
「へそまがり日本美術」は、美術館に初めて来たというギャルのテンションもブチ上げるほど面白い展覧会だった。そりゃー人気も出るわけだ。
へそまがり日本美術 禅画からヘタウマまで
[前期]2019年3月16日〜4月14日
[後期]2019年4月16日〜5月12日
会場:府中市美術館
休館日:月(4月29日、5月6日は開館)、5月7日
観覧料:一般 700円 / 大学・高校生 350円 / 小中学生 150円 / 未就学児無料
[前期]2019年3月16日〜4月14日
[後期]2019年4月16日〜5月12日
会場:府中市美術館
休館日:月(4月29日、5月6日は開館)、5月7日
観覧料:一般 700円 / 大学・高校生 350円 / 小中学生 150円 / 未就学児無料
==おまけ==
▲「あたし昔、県の美術展に選ばれたことあっからな〜」と得意満面のきぃりぷ
マーカーペンを持たせたら興に乗ってきたので、自画像も描いてくれた。メイクで日々鍛錬を積んでいるだけあって、みんな顔の特徴を捉えるのがうまいね!
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こんな悪ノリアート記事を最後まで読みきってしまったあなたには、こちらの記事も気に入っていただけるに違いありません。
「筋肉の狂宴!ボディビルダーのロダン鑑賞会に潜入し、アートの真髄を体感しよう。」
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美術に関するテーマで「他にもこんな取材を見てみたい」など、何かご提案をいただければ全力で検討いたします。
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ポラ&入館チケットプレゼント
ギャル3人のポラ写真と「へそまがり日本美術」の入館チケット(2枚)のセットを3名様にプレゼントします!
- 応募方法
- ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
\ギャルと「へそ展」行ってきた/
— ライブドアニュース (@livedoornews) 2019年4月5日
落書き入りポラ&展覧会チケット(2枚)を3名様にプレゼント!
・フォロー&RTで応募完了
・応募〆切は4/12(金)12:00
記事本文はこちら▼https://t.co/Bfk0vC905Y pic.twitter.com/VwY8rTpn6Y- 受付期間
- 2019年4月5日(金)22:00〜4月12日(金)12:00
- 当選者確定フロー
- 当選者発表日/4月15日(月)
- 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
- 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから4月16日(火)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき4月18日(木)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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