高橋健介「人見知りしている時間が損!」 持ち前のコミュ力で舞台「GANTZ:L」に臨む!

「今日はねぎ星人と戦って、やられてきたのでそれをやります!」と、攻撃を受けて倒れるまでの動きをカメラの前で見せてくれた高橋健介。『ウルトラマンX』(テレビ東京系)や、ミュージカル『刀剣乱舞』の出演で注目を集める高橋は、撮影の合間も周囲のスタッフと率先して会話をする。自身を「人見知りしない性格」と表現し、持ち前の明るさと人懐こさで自然と人との距離を縮めていく。そんな高橋のコミュ力が、彼にとって全員初共演のキャストが揃う舞台「GANTZ:L ACT&ACTION STAGE」でも発揮される…?

撮影/川野結李歌 取材・文/渡邉千智 制作/iD inc.

マンガ、アニメ、実写映画に続く4人目の加藤になりたい

奥 浩哉さんによるマンガ『GANTZ』(集英社)を原作とした舞台が「GANTZ:L」として1月26日から上演されます。過去には実写映画化、劇場アニメ化、TVアニメ化とさまざまな展開をしていますが、作品はご存知でしたか?
もともと映画を見ていて、知っていました。でもマンガは読んだことがなくて…。何でかと言うと、僕はグロテスクな表現や、おばけなどが苦手でホラー映画も薄目で見るタイプなんです。だから興味はあったのですが、なかなか踏み出せなくて。今回、舞台化のお話をいただいてマンガも読みました。
出演が決まり、原作をお読みになってみていかがでしたか?
最初は「怖いな」と思って読んでいたのですが、後半になるにつれ慣れてきて。『GANTZ』は絵が多いので、一巻分もスラスラと読み進められるんですよね。それでいて、その一巻のなかにものすごい熱の内容が詰まっている。とても面白いなと思いました。
高橋さんが本作で演じるのは、主人公・玄野 計(百名ヒロキ)の同級生で正義感が強い青年、加藤 勝です。マンガも加藤に注目して読まれたかと思います。
そうですね。でも、だいたい…マンガ原作ものだと僕は2、3回読み返すのですが、1回目は「僕がこのキャラを演じるんだ」という感じではなくフラットに読むんです。2回目で「ここではこんな気持ちなのか」と考えながら読みました。
加藤というキャラクターを、映画化された実写版では松山ケンイチさんが演じられました。高橋さんが演じるにあたって、ご自身にどう落とし込もうと思っていますか?
松山ケンイチさんが演じられた役のマネではなく、僕のオリジナリティを追求したいです。マンガ、アニメ、映画に続く、4人目の加藤になれたらいいなと思っています。
物語は、玄野と加藤が地下鉄のホームで線路に落ちた人を助けようとして死亡。しかし、ふたりはとあるマンションの一室におり、そこにいた謎の球体「ガンツ」から、星人を倒すミッションが下されます。ほかの仲間たちと協力し、現れる星人を倒していく…というもの。迫力満点のアクションはマンガでもダイナミックに描かれ、映画では3DCGを使って表現されました。舞台ではどう表現するのかとても気になります。
僕もマンガを読みながら一番に思ったのは、これを舞台でどう表現するのか、ということ。今回は映像演出も入るので、映像や音で表現することも多くなると思います。演出の鈴木(勝秀)さんとはじめてご一緒するので、どういった演出がつくのか、僕自身もとても楽しみです(※取材が行われたのは12月中旬)。
たしかに、生身の人間では表現しきれないシーンもたくさんありますよね。
ガンツの部屋に行くとき…テレポーテーションのような表現は舞台上ではなかなか難しいので、そういう部分に映像を使うのかな? と考えています。ただ、舞台だから映像に頼ったんだよねということではなく、「こういう表現の仕方もあるんだ」と感じていただけるようにしたいなと思っています。
加藤たちの標的となる星人は、とても個性的な姿かたちをしているので、舞台上でどう表現されるのか気になります。星人は役者さんが担当されるんですよね。
そうなんです。今日(※取材日)はアクション稽古だったのですが、さっきもねぎ星人と戦ってきたばかりで…。
ねぎ星人役の方とお稽古された…ということですね。
はい、ちょっくら戦ってきたんですけど、「わかる!」っていう感じのアクションで。今の段階でねぎ星人らしさを感じたのでスゴいな…と。アクションチームもとても気合が入っているので、サポートしてもらいつつ、うまく表現していきたいです。
アクションは、やはり一番注目するところだと思います。
Xガン(※星人を倒すため、ガンツから支給される銃)も使うけれど、肉弾戦も多いと思います。人間対人間でないので、アクションも特殊になりそうですし、そこは見どころとして面白くなればなと感じています。
高橋さんはこういったアクションはお得意ですか?
いやぁ、全然ですね。僕はもともと体幹が弱いので、もっと頑張らないといけないなと。武器の使い方もそうですけど、ガンツスーツ(※星人を倒す者たちが着用する特殊なパワースーツ)は体のラインが出るので、アクションひとつひとつもウソがつけないというか。来てくれるお客さんは『GANTZ』のファンの方が多いと思うので、そういう方にアクションシーンもしっかりお見せしたいです。
お話に上がったガンツスーツ姿のビジュアルも、とても印象的でした。着てみていかがでしたか?
着た時点で勝手に強くなった気がしました(笑)。男の子だからかもしれないですけど、こういう戦闘服ってテンションが上がるんですよね。この姿で舞台に立つと考えたら…すごくたぎります。ビジュアル撮影では、まだ僕が“着られている”って感じだったので、この稽古期間で、“俺が着る!”くらいを目指したいです。

役者仲間からも連絡が…改めて、作品の注目度の高さを確認

シリアスな内容、見た人が考えさせられる物語という点で、やりがいや難しさなどはありますか?
こういった作品は、「明日から頑張れます!」っていう感じじゃないと思うんです。だから、何でもいいから「スゴいな」って感じてもらえたらいいなって。
「スゴい!」と感じてもらえたら…?
はい。やっぱり舞台を見るのにはお金がかかるじゃないですか。地方から来る方がいらっしゃったら、交通費や宿泊費がかかる場合もある…。だからこそ、それ以上のものを見せたいなと。
公演場所は東京なので、遠方から足を運ばれる方も多いですね。
僕は東京生まれなので、どうしてもわからないんです。ひとつの舞台を見るのにどれくらいのお金がかかるのか…。頑張って働いたお金で見に来てもらっているし、今では海外から来てくださる方も多いからこそ、ガッカリさせたくない。また見に行きたいと思わせるものにしたいと思います。
人気マンガ原作、という点で注目度も高いと思います。
僕の出演が発表になって、いろんな関係者…役者仲間や演出家、業界の方々から「おめでとう」って連絡が来たのですが、今回は一番多かったかもしれないですね。業界のなかでも注目されていて、公演前からハードルが今までにないくらい高い。それをしっかり越えていきたいです。
役者さんからも連絡が来たんですね。
はい。役者仲間でもなかなかないことです。それだけスゴい作品なんだなと改めて感じました。
玄野を演じる百名さんとは、今回が初共演なんですよね。お会いになっていかがでしたか?
さっき、対談取材があってちゃんと話したのですが…そのときに判明したのが、すごく家が近所だということ! 物理的な距離が近いので、稽古を通して心の距離も縮まるんじゃないかな…? と。何の根拠もないですが(笑)。
(笑)。初対面の方とは、高橋さんから率先してコミュニケーションを取って、距離を縮めていくタイプなんですか?
そうですね。僕は人見知りをしないので。距離も「近い!」って言われることがあります。あと、僕は人の名前を覚えるのが早いってよく言われるんです。最近はちょっと遅くなってきているんですけど。
それはなぜでしょう…?
んー…歳かなぁ(笑)。昔は一発聞けば覚えられたんですけど、最近はちょっと遅いです。あとは相手によるかもしれないですね。僕は自分が「高橋」だからめっちゃ同じ苗字の人が多くて。特殊な苗字のほうが覚えやすいのはあります。その点、百名くんは、百名! って一発で覚えられますよね。
百名さん演じる玄野と加藤の関係性も注目ポイントなので、おふたりがどう関係を築いていくか楽しみです。お稽古場はどういう雰囲気になりそうでしょうか?
稽古の時点で、キャストの半分くらいがアクションができる人…というのが稽古着を見ればわかるんですよ。アクションできます! っていう稽古着を着ているので。
たとえば、どんな稽古着を…?
頭にタオルを巻いてたら「アクションが得意な人かな?」みたいな。絶対じゃなくて感覚なんですけど(笑)。そういったアクションも現場でしっかり教えてもらって、会得したいです。キャストの方とも…みなさん初共演なのでしっかり気を引き締めていけたらなって。
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