志尊 淳「隙あらば振り向かせたい」男気あふれるアプローチ法
「無理です!」――志尊 淳に、自分の好きな人に別の好きな人がいた場合、恋の応援はできるか? と尋ねると、そう即答した。この質問は、映画『覆面系ノイズ』で、志尊が演じた杠 花奏(通称:ユズ)の状況と重なる。ヒロイン・有栖川 仁乃(通称:ニノ/中条あやみ)に恋心を抱くも、ニノは幼い頃からの思い人・榊 桃(通称:モモ/小関裕太)に気持ちを寄せていて…。志尊自身、映画『帝一の國』やドラマ『きみはペット』(フジテレビ系)で演じた、可愛らしい役のイメージが強いが、本人は男気あふれる恋愛観を持っているようだ。
撮影/平岩 享 取材・文/渡邉千智 制作/iD inc.ユズとニノの身長差や、ふたりの見え方に意識した
- 11月25日に公開の映画『覆面系ノイズ』。志尊さんが演じるのは、ニノに幼い頃出会い、その歌声にずっと惹かれていた青年・ユズ。志尊さんはユズをどういうキャラクターと捉えましたか?
- どういう…と言われると言葉で説明するのが難しいですね。というのも、僕が原作モノをやらせていただくときは、自分のなかのキャラクター像のイメージに感覚的にはめて演じるんです。言葉でどうかというより感覚的な部分が多くて。
- 今回で言えば、マンガをご覧になってユズのイメージを膨らませたのですか?
- はい。マンガを読んでイメージを膨らませていきました。自身の音楽に対してプライドを持ちつつ、アリス(ユズが呼ぶニノの愛称)に対しては素直に自分の思いを言えない…ピュアで、アリスのことを一途に思う青年というイメージで…。自分がマンガを読んで感じた、ユズのファーストインプレッションを大事にしようと思いました。
- なるほど。
- そのキャラクターの雰囲気を出すというか…。本当に説明するのが難しいんですけど、僕は言葉で考えて理論的になるより、自分のなかで描いたイメージのまま演じて、自然と出るものを大事にしたくて。『きみはペット』(フジテレビ系)をやっているときもそうだったのですが、イメージをはめつつ、あとは自然体でいることを意識しました。
- そのときどきで演じるキャラクターらしいところを、自分のなかで自然と探している…ということですかね。
- そうですね。自然と自分に似た部分は作っているかもしれません。いただくキャラクターが抱えているものはそれぞれ違うので、そのキャラクターごとに自分とリンクさせて、共通するところを自然と探している部分はあると思います。
- そういった感覚的な部分に加えて、役作りとして目で見てわかりやすいところで言えば、ユズを演じるために減量されたと聞いたのですが。
- 4キロくらい減量しました。ユズは身長が156cmなんですが、僕は178cmあって。原作が好きな方にとっては、ユズとアリスの身長差ってすごく大事な部分だと思ったので、僕の身長を低くすることはできないけど、それならば少し華奢に見せようと思って体重を落としました。
- ユズの体型に近づけるというより、ニノと並んだときの見た目や対比、見え方を意識して減量されたんですね。
- はい。座ってギターを弾いているときも、肩を寄せて体を小さく見せようとしていました。カッコ悪くならない程度に、ユズの雰囲気を保ちつつ、低く、小さく、というのは意識したところです。
- 勝手なイメージですが、志尊さんが演じる役は、ご自身の身長より小さいキャラクターが多いような気がします。
- そうなんです。身長が低めの役が多いんです。だからこそ、今回のユズは、これまでの経験で培われたものを存分に発揮できたかなと思います(笑)。
好きな人の恋を応援することは…「普通に無理!」
- ユズはニノのことが好きですが、ニノは幼い頃からの思い人・モモに片思いをしていますね。この三角関係についてはどう思いましたか?
- 自分の気持ちと裏腹に素直になれない姿は…小学生の頃に、気になっている子にイタズラをしちゃう感覚と似ているなと思いました。
- 志尊さんも小学生の頃、気になっている子にイタズラしていたんですか?
- (周りの男性スタッフを見まわして)男性だったら、みんなしますよね…?(笑) 「好き」って言うのは恥ずかしいから、僕はイタズラしまくってました。わざとスカートをめくったことも(笑)。イタズラって言っても、可愛いやつですね。そういう感覚に似ていて、微笑ましいなと思いました。
- 演技面ではいかがでしたか? このもどかしい関係や、ユズの複雑な心情を表現するために意識したことなどはありますか?
- 普通、好きな人の恋愛を応援するなんてできないけど、そういう場面に陥ったときにしか見せない表情というのがあると思っていました。とくにユズの場合は、そういった複雑な感情を表情で残すカットが多かったので、表情から彼が抱えている葛藤や思いを感じてもらえればいいなと考えていました。
- ユズは、ニノのことが好きながらも、モモのことを思うニノを応援してあげますね。志尊さんは好きな人の恋愛を応援することは…。
- 無理です!(即答) 普通に無理ですよね。好きな人の恋愛は素直に応援できないですよ。もしかしたら表面上は応援しているように見せるかもしれないけど、隙あらば振り向かせてやる! って気持ちです。
- 相手に好きな人がいようと、「俺に振り向かせてやる」って?
- はい。それでダメだったら、次また頑張ろうって思います。
- それは、どうアプローチするんでしょうか?
- ストレートに言います。というか、「僕はあなたが好きです」っていうことをストレートに見せますね。
- すごく男気にあふれたアプローチですね!
- あはは。そうなんですかね? 自分の恋愛を客観視したことがないし、そんなにたくさん恋愛しているわけじゃないけど、自分が好きになった人には「好き」ってストレートに伝えたいです!
ワガママを“可愛い”という目で見てくれる人がいい
- ちなみに2年前、映画『先輩と彼女』で取材をさせていただいた際も志尊さんの恋愛観についてうかがっていて、そのときに「恋愛に年齢は関係ない」とおっしゃっていました。2年経ってみても、そこは変わらずですか?
- 変わらないです! 全然関係ない…というか、僕は好きになる、ならない以前に気にしないですね。もちろん、モラルを守ったうえで、年上だとか、年下だとかっていうことは考えません。
- では、志尊さんが惹かれやすい人というと…?
- 僕は献身的な人が好きで…。
- 支えてほしいタイプ?
- 支えてほしい! この仕事をしていると、考えすぎていろんなことをひとりで抱え込んでしまうことがたくさんあって。いろいろ打ち明けたいなと思っているんですよね。そのときに、否定から入らず、まずは肯定して話を聞いてくれる人がいいですね。
- 恋人として、という以前に人として魅力的に感じます。
- 最初から否定されちゃうと、自分のすべてを否定されていると感じてしまって…。一番近くにいてくれる人は、そういうことを考えてくれる懐の深い人がいいですね。自分はワガママを言うタイプなので、それも「可愛いな」ってくらいの目で見てもらえたらいいな(笑)。
- (笑)。本作にはユズとモモ以外にも、バンドのリーダーでオネエ系男子の悠埜 佳斗(通称:ハルヨシ/杉野遥亮)、和歌山弁の黒瀬 歩(通称:クロ/磯村勇斗)と、さまざまなタイプの男性キャラクターが登場しますが、志尊さんから見て、魅力的な男性は?
- んー…ユズも一途に人を思い続けるっていう気持ちを持っているところは、カッコいいですよね。言葉にできるかできないかは別として、下心なくまっすぐな気持ちで…しかも、相手には自分ではない別の好きな人がいるなかで、ずっと思い続けられるというのはなかなかできないことだと思います。
- たしかに。ユズは一途でまっすぐ。すごく純粋な気持ちで、ニノのことを思っていますもんね。
- はい。でも、女性からすると……ハルヨシが一番グッとくるのかなぁ…。
- 珠久里 深桜(真野恵里菜)とのシーンのハルヨシには、グッと来る女子は多そうです…!
- ですよね! ギャップ萌えって言うのかな。普段のときと、ふたりきりのときのハルヨシの違いはズルいですよね。絶対、心が揺らぎますもん。しかも、カッコいい杉野のハルヨシに言われたら…ね?(笑) おかしいな〜、僕も普段からあんな感じでいようかなぁ(笑)。