昨年から、大きな社会的関心を集めている飲食店のドタキャンですが、最近では、その被害が他業種にも広がっているようです。4月14日には、東京・お台場にあるサバイバルゲーム施設がツイッターに「貸切のお客様が来ませんし連絡も繋がりません。今年2回目ですよ!?」「お客様に楽しんでいただけるように少しでも広く、面白くなるように工夫していますが、その分、毎月とんでもないお金がかかっています。お台場ですし。連絡ぐらいくれたらいいのに」と投稿。これを受けてSNS上では「前払い制にすれば?」「損害いくらになるのか」「憤りを感じる」「損害賠償を」などの声が上がっています。

3カ月で2回のドタキャン被害

 被害を訴えたのは、2017年7月にオープンした「Brave Point 台場店」(東京都港区、生田篤史社長)。ゆりかもめの古代遺跡をイメージした3Dスタジオや独房をイメージしたスタジオを備え、個人利用と貸し切り利用に対応しています。プランにより料金は異なりますが、個人利用は30分2400円(税込み)から利用可能。主な客層は20代前半で、4割は女性です。

 今回のドタキャン被害とはどのようなものだったのでしょうか。

 生田社長によると、貸し切りの予約日時は4月14日の午後1時半から午後4時まで。1カ月以上前に男性からサイト経由で予約が入りました。男性は、参加人数を変更する可能性があるとして「25人前後」で予約し、用具のレンタルを希望しました。レンタル料を加えた1人当たりの利用料は約5000円で、ドタキャンによる被害総額は約13万円に上ります。

 当日、約束の時間になっても客が来ないため、男性の携帯電話を何度も鳴らしましたが、つながらなかったといいます。そこで、同日午後2時すぎにキャンセル扱いにして施設を開放しましたが、午後4時までに施設を利用した客は10人程度だったそうです。

「キャンセルがあったのは休日で最も混み合う、書き入れ時の時間帯でした。4月14日の同時間帯の利用希望を何件も頂いていましたが、予約があったのですべてお断りしました。自社サイトで公表している施設の空き状況を確認してから来店するお客さまが多いので、当日ドタキャンが発生した場合、集客するのは難しいのです」(生田社長)

 同店では1月にもドタキャンが発生。今回と同様、休日の午後1時半から4時までの貸し切りで予約人数は約20人、被害総額は約10万円でした。大阪と埼玉にも店舗がありますが、3カ月のうちにドタキャンが相次いだケースは初めてといいます。

 SNSに投稿した理由について生田社長は「サービス業に対するドタキャンが軽く見られていると感じたためです。損失がないように見えるかもしれませんが、利用したくても利用できなかったお客さまに迷惑をかけてしまいました。用具の手入れや施設内の清掃など、サービスの提供には多くの人手がかかっています。おもてなしの気持ちが踏みにじられたようで悔しいです」と話します。

 SNS上では「前払いにすべきだ」との意見もありましたが、「検討しましたがお客さまを疑うような経営はしたくありませんので前払い制を導入する予定はない」(生田社長)とのこと。今回の件を受け、来店前日に予約客へ電話連絡を行うこととしました。

「悲観ばかりしていられません。気持ちを切り替え、お客さまにより良いサービスを提供できるように頑張っていきます」