高速道路のSA・PAで、駐車場の空きマスを探して場内をぐるぐるする行為はNGです。場内での「逆走」は、重大事故につながるケースも。そうならないように道路会社も対策しています。

混雑エリアでは駐車整理員の誘導に従って

 高速道路のSA・PAで、進入した駐車場の区画が満車で停められなかった場合、その先まで走って隣の区画に移る、あるいは駐車場の入口まで戻る行為は、実はNGです。というのも、これは「逆走」行為にあたるためです。


SA・PAの駐車場が満車で停められないというケースも。写真はイメージ(画像:photolibrary)。

 高速道路は原則として一方通行で、これはSA・PAでも同じことがいえます。それら駐車場内における路面標示の矢印も出口方向へ向かっており、入口方向の矢印はありません。

「駐車場内を逆走することは危険です。停められなかった場合はエリアを出て、次の休憩施設に向かっていただくようお願いしています」(NEXCO西日本)

 空きマスを探すためとはいえ、SA・PA内での逆走は重大事故につながりかねません。NEXCO西日本は、逆走が起こりやすい場所のひとつとしてSA・PA周辺を挙げていますが、場内を逆走したクルマがそのまま入口ランプへ進入し、本線まで出ようとするケースが実際に起こっているそうです。

 たとえば同社がウェブサイトで公開している逆走防止の啓発映像では、駐車場で仮眠した人が、「寝ぼけや気のゆるみもあって、うっかり方向を間違えることがあります」として、エリア内を逆走し入口ランプでクルマと正面衝突する事例を紹介しています。また、SA・PAに併設されているスマートICからエリア内に入場し、方向がわからなくなり逆走に至るケースもあるといいます。

SA・PAで停められない問題、ドライバーができることは?

 ドライバーがSA・PA内で適切に駐車できるよう、もちろんNEXCO側も対策しています。

 たとえばNEXCO西日本では、本線上の電光掲示板で、その先のSA・PAにおけるリアルタイムの混雑状況を「空(空きあり)」「混(混雑)」「満(満車)」などと文字で表示しています。あわせて、ウェブサイトでは主要なエリア内駐車場のライブ映像を提供しており、これら情報を混雑状況の把握に活用してほしいと同社は話します。


2019年7月に移転オープンした東北道 蓮田SA上り線。区画ごとに駐車マスの空き状況が表示される(2019年7月、恵 知仁撮影)。

 また、利用の多いSA・PAでは、混雑時を中心に駐車整理員が複数人で連携し、駐車場の入口付近から1台1台、空いた駐車マスへクルマを誘導しているほか、エリアによっては、一定の区画ごとに駐車マスの空き状況を知らせる案内板を設置しています。2019年5月には圏央道の厚木PAで、駐車マスごとに舗装へライトを埋め込み、空いていれば緑、埋まっていれば赤い光を表示するというシステムが、全国のSA・PAで初めて導入されました。このように、エリア内でも混雑状況を可視化する取り組みが進んでいます。