ニューヨーク・タイムズに、Slack(スラック=たるみ)に対して好意的な記事が出ました。
同社は1年前にサンフランシスコで創業されたスタートアップ企業です。同社は企業の電子メールにとって代わる、新しいメッセージング・アプリを提供しています。
スラックは、AOLインスタント・メッセンジャーを想起させる、昔なつかしいシンプルなチャット・アプリですが、根本的な点が異なっています。
それはそのアプリを使って交わされた、すべての会話や動画、ドキュメントのやりとりが自動的に記録、保存される点です。
たとえば証券会社の問題点として会社のメールがちゃんと存在するのにトレーダーがAOLインスタント・メッセンジャーのような外部のチャット・アプリを匿名で使って、インサイダー・トレーディングをするというような事が起こります。
つまり今までの企業のアプローチは「これが正式なわが社のメール・システムなんだから、他のメッセージング・サービスは使うな!」というやり方だったわけです。
でもメールは時としてかしこまりすぎているし、カジュアルな会話には向きません。その結果、たとえば地方支店に転勤した社員が、本社でどんなやりとりがなされているのか、そのコミュニケーションの輪から外れてしまい、結果として疎外感を感じるというようなことが起こりやすいです。
つまり社内外の正式文書としてのメールでは伝わりにくい、ニュアンスが全部抜け落ちてしまうわけです。
スラックは逆にチャット・アプリを全部保存、記録することで、ビジネスにふさわしくない隠れた会話や中傷、下品なやりとりをシャットアウトする一方で、わざわざメールをしたためるほどの重要性は無い社内のやりとりを、スピードアップします。
過去のやりとりは全て検索出来、しかも部署外の人間でも検索することが出来るので、極めて透明性が高いです。
企業が、ある経営上の決定に至った経緯をレビューする際などに、すべての、細かいニュアンスまで含めたやりとりが整理されて芋づる式に呼び出せるというのは、社内に蓄積された集合知という見地から、極めて利用価値の高いサービスと言えるでしょう。
しかもスラックはボックス(ティッカーシンボル:BOX)をバックエンドとしてオンライン上でホスティングされているため、スマホからのアクセスや企業ごとのカスタマイゼーションは極めて簡単です。
このサービスは無料ですが、より高度な機能を利用したい会社は、社員一人当たり月額6ドル50セントで、プレミアム・サービスを受けられます。
これまでにブルーボトルコーヒー、ニューヨーク・タイムズ、コムキャスト、ウォルマートなどが導入しているそうです。
同社はこれまでに1.2億ドルをベンチャー・キャピタルから調達しており、プライベート・マーケットでの時価評価は10億ドルだそうです。
わくわくメール
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