[画像] Forbesの検索ランキングの高さに乗じてアフィリエイト記事を作成しまくり年間500億円を稼いでForbesの買収まで検討している企業が存在している



経済誌のForbesは一般的に高品質な記事を掲載するメディアとみなされており、Googleの検索結果でも上位に掲載される傾向にあります。ところが、Forbesのウェブ記事の一部を担当している「Forbes Marketplace」がForbesのページランクの高さに乗じてGoogle検索の上位に「質の低いアフィリエイト目的のページ」を大量に配置して荒稼ぎしており、本家本元のForbesの買収まで検討していることがウェブサイトの運営に詳しいラーズ・ロフグレン氏の調査で明らかになりました。

Forbes Marketplace: The Parasite SEO Company Trying to Devour Its Host

https://larslofgren.com/forbes-marketplace/

Googleで「best cbd gummies(ベストな大麻グミ)」というワードで検索すると、「5 Strongest CBD Gummies Of 2024(最強の大麻グミ5選:2024年版)」というタイトルのForbesの記事が最上部に表示されます。



記事は「大麻グミは痛みや不安の緩和に役立つ」という効能アピールから始まり、「編集部が選んだ最強の大麻グミ」を5種類紹介するというものです。記事内には「25%オフのクーポン付き大麻グミ広告」も含まれています。



ロフグレン氏によると、Googleの検索結果の最上部に記事が表示されると月間10万ドル(約1400万円)以上の広告収入を得られることもあるとのこと。また、Googleは大麻関連の検索結果ページに広告を挿入しないため、Forbesの記事のクリック率が非常に高くなっている可能性もあります。

一昔前のForbesなら「最強の大麻グミ5選:2024年版」といったアフィリエイト目的の記事を掲載することはなかったように思えますが、ここ数年で同種の記事が大量に作成されGoogle検索の上位に頻繁に表示されるようになりました。実は、これらのアフィリエイト目的の記事はForbes本体が作成したものではなく、Forbesとは別の企業である「Forbes Marketplace」が作成したもので、収益もForbesではなくForbes Marketplaceが受け取っているとのこと。

Forbes Marketplaceは、当初はForbesのB2Bカテゴリや金融カテゴリのアフィリエイト記事を掲載するサブブランド「Forbes Advisor」をメイン事業として活動していましたが、事業を拡大して住宅関連記事を掲載する「Forbes Home Improvement」や健康関連記事を掲載する「Forbes Health」といったサブブランドも管理するようになりました。Forbes Advisorのプライバシーポリシーには「Forbes Marketplace Holdings Limited」という社名が記載されています。



Forbes Advisorのトラフィック数の推移が以下。2020年以降にトラフィック数が急増していることが分かります。



Forbes Marketplaceの詳細を調査していたロフグレン氏は、アメリカ証券取引委員会に提出されたForbesを巡る株式取引の資料の中にForbes Marketplaceの名前を発見しました。資料の中には、「ForbesはForbes Marketplaceに商標の使用権を与えた」「ForbesはForbes Marketplaceの株式の39.53%を所有している」「ForbesはForbes Marketplaceの取締役会議の1議席を確保しており、Forbesの筆頭株主も1議席を確保している」といった情報が記されています。



また、同じ資料には「Forbes Marketplaceは2019年9月に設立された」「Forbes Marketplaceの2021年1月〜2021年9月の収益は2540万ドル(約36億2000万円)だった」といった情報も記されています。ロフグレン氏は資料提出後のForbes Marketplaceのトラフィック数増加などから2024年の年間収益が3億〜4億ドル(約430億円〜570億円)と見積もっています。



さらに、ロフグレン氏が調査を続けた結果、Forbes Marketplaceの親会社であるMarketplace Platforms Limitedの役員を務めていたアキル・カルラ氏のLinkedInアカウントが見つかりました。記事作成時点ではカルラ氏のLinkedInアカウントは削除されていますが、カルラ氏はMarketplace Platforms Limitedと何らかの確執を抱えていたようで、「大手新聞社の記者に送信したテキストのスクリーンショット」としてMarketplace Platforms Limitedの内部情報が投稿されていました。

カルラ氏が投稿していたスクリーンショットの一部が以下。カルラ氏の生い立ちや経歴が記されており、最下段には「Marketplace Platforms LimitedがForbesの買収を計画している」と記されています。つまり、Forbes MarketplaceはForbesのページランクの高さに乗じてアフィリエイト記事をGoogle検索結果の上位に配置し、年間3億〜4億ドルの収益を得るまでに急成長して、Forbesの買収を検討できるほどの財を蓄えたというわけです。



Googleは「ファーストパーティーの監視がまったくない状態でサードパーティーのページを公開する」という行為を「サイトの評判の不正使用」とみなしています。ロフグレン氏は「ForbesはForbes Marketplaceの一部の株式を保持している別会社にすぎず、Forbes Marketplaceが作成している記事をForbesが精査しているとは考えられない」と指摘し、Forbes Marketplaceの行為が「サイトの評判の不正使用」に該当すると主張しています。



なお、ロフグレン氏はForbes Marketplaceの調査結果を報告する記事の末尾で「私はForbes Marketplaceに対して悪意を抱いているわけではない」「本当の悪者はGoogle」「GoogleはForbesをあらゆる物事の権威だと決めつけている」「Googleのランキングアルゴリズムは制御不能に陥っている」と述べてGoogleを痛烈に批判し、「我々は毎日クソをかき分けることを強いられている」と締めくくっています。