【ベラルーシに敗れて連敗となったザックジャパン。ベラルーシに見下されたザックジャパンにあったのは閉塞感だけだった】
試合後、ベラルーシのジョジナにある慎ましいスタジアムに漂ったのは、期待感ではなく閉塞感だった。
その予感は試合前からあった。日本のスタメンに名を連ねたのは4日前のセルビア戦と同じ顔ぶれ。ザッケローニ監督は今回の欧州遠征に向け、齋藤学や山口螢といった東アジアカップの新戦力を招集し、清武弘嗣、酒井高徳、細貝萌などこれまで控えとしてチームを支えてきたメンバーも揃えていたが、彼らに先発のチャンスを与えることはなかった。
試合前日、ザッケローニ監督は「できるだけ多くの選手を見たいという考えに変わりはない。明日の試合でもそういったことを考えないといけないが、同時にチームの基盤というものをどれだけいじっていいのかという問題もあるので、そこを考えながら明日のフォーメーションを決めていきたい」と話していた。ところが、蓋を開けてみれば新たな化学反応の発見よりも安定感を第一に求める形となっていた。
成熟を図ってきたメンバーで試合に臨んだザックジャパンは立ち上がりからボールを支配し、主導権を握った。守備ラインから丁寧にビルドアップし、ボランチの遠藤保仁を中心にパスを回しながら本田圭佑を起点にフィニッシュワークに持っていくという黄金パターンを繰り返した。
ベラルーシはワールドカップ予選のスペイン戦やフランス戦と異なり、積極的に前からボールを奪いにきた。それはつまり「日本はスペインやフランスではない」という彼らの当然とも言える品定めの結論だったが、日本はベラルーシのプレスをうまくかわしてみせた。
もっとも、そこに驚きはない。コンフェデレーションズカップのブラジル戦こそ一方的な展開になったが、ザックジャパンはこれまでも強国相手にパスでリズムを作れる時間帯はあった。セルビア戦でもボールをつないでアタッキングサードまで侵入することはできていた。ベラルーシを相手にパスを回すことができてもまったく不思議ではなかった。
そして、ボールを回せても最後に行き詰まるというのもこれまでと同じだった。ゴール前までパスでボールを運んでも、ペナルティエリア付近からの仕掛けが相手の守備に引っかかる。まったくチャンスが作れないわけではなかったが、攻勢をかけてもチャンスに結びつく回数は少なく、中途半端なボールロストからカウンターを受けて失点を許すというパターンもお馴染みだった。3-4-3へのシフトチェンジが今ひとつ機能しないというのも、いつもの光景だった。
この遠征で日本は立ち位置を修正できたはずだ。欧州組が増えワールドカップでの躍進が期待されていたが、とんでもない。これまで作り上げてきたチームでは、ワールドカップに出場できないヨーロッパのチームにすら勝てない。これではベスト16どころかグループリーグ突破すら難しい。連敗からその現実が認識できたと考えなければ、この2試合は無駄な失望感をもたらしただけの失敗となる。
日本 0−1(前半0−1、後半0−0)ベラルーシ
(取材:サッカージャーナル編集部 橋本明、撮影:千葉格/PICSPORT)
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