8日間で3試合をこなす過密日程。男女合わせた全12試合を1会場で開催する劣悪なピッチコンディション。国際Aマッチデーではないため欧州組の招集に拘束力がない東アジア杯は、さまざまな悪条件との“闘い”にもなる。
故障者が続出する状況に疑問を投げかけたバヒド・ハリルホジッチ監督はJリーグの日程面にも苦言を呈した。25日、29日と連戦でJ1が行われ、翌30日に中国へ出発する強行軍。31日、8月1日と2日間のトレーニングで8月2日の初戦・北朝鮮戦に臨むことになる。
「大会までに1週間ほどトレーニングする時間が欲しかった」と本音を漏らした指揮官は「向こうに行けば、他にも難しい状況がある。4つのチームが一つのグラウンドで練習するということも聞いている。気温は40度、湿度は60〜70%。昨日はメディカルスタッフ、フィジカルスタッフも含めて『しっかり準備しよう』『さまざまなことを想定していこう』という話をした」と、表情を引き締める。
酷暑の連戦を踏まえ、「3つのオーガナイズ、3つのシステムを用意している」と、ローテーションで選手を起用するプランも明らかにした。「できるだけ多くの選手を使わないといけない。一人の選手が3つの試合に出るのは難しい。特に中盤と前線は頻繁に変えないといけないのかなと思っている」。8月2日の北朝鮮戦、5日の韓国戦、9日の中国戦。メンバーを入れ替えながら勝ち抜いていく覚悟だ。
「1週間、準備の時間があればありがたかった。解決方法がないので仕方がないが、うんざりするのではなく、言い訳を探すのではなく、このグループにとってこの大会は非常に重要だ。勝つためのトライをして、できればカップを持って帰りたい」
韓国で開催された前回13年の東アジア杯も国内組で臨み、やはりターンオーバー制を採用。総力戦で初優勝を飾り、そこで活躍したFW柿谷曜一朗やMF山口蛍、MF青山敏弘、DF森重真人らがそのまま翌年のブラジルW杯メンバー23人にも名を連ねた。
「まずは選手を発見したい」と、新戦力の発掘を目的の一つに挙げるハリルホジッチ監督は「国内組にとっては良いテストになる。彼らは見せないといけない。日本代表の『Aチーム』に入るための準備をしないといけない」と、9月3日のW杯アジア3次予選・カンボジア戦(埼玉)に向けた選手選考の場としても位置付けている。
「申し上げておきたいのは、練習を一回もできずに出発するということ、そしてグラウンドが本当にひどい状況だということ」。最後まで“恨み節”が続いたが、「トレーニングができない、グラウンドが悪い。そういった言い訳はしたくない。試合前には言い訳をする。『暑いよ』とか『グラウンドが良くないよ』とか、そういう話はする。しかし、試合のあとにそういう言い訳はしない」と断言。まずは指揮官自身がアジアの戦いに適応する必要がありそうだ。
(取材・文 西山紘平)
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