W杯アジア最終予選B組 日本 1―1 オーストラリア
(4日、埼玉スタジアム)

【90+1分、「緊張していた」という本田圭佑がど真ん中にPKを決め、日本は同点に追いついた。そのまま1-1でタイムアップ。日本は3大会連続で世界最速予選突破を決めた!!】

ザッケローニ監督はオーストラリア戦に、現時点まで最も重用したメンバーを起用。本田圭佑や岡崎慎司は合流したばかりだった。だが、これまで自分が構築してきた最も信頼できる形で勝負を賭けたのだ。

ザッケローニ監督にサプライズは少ない。この試合のフォーメーションも、戦い方も、そして試合展開まで、みごとにザック流だった。2011年、アジアカップを制したザックジャパンは、そのチームの発展形をこの試合で決勝の相手だったオーストラリアに見せた。

前半立ち上がり、オーストラリアがプレスを掛け、ティム・ケーヒルに素早くロブを供給する。だが、組織がしっかりとした日本は、柔らかくはじき返し続けた。攻めては18分、ゴール前で香川真司がこぼれ球を決定的な形でシュートする。これはGKマーク・シュウォーツァーに阻まれたが、日本は次第に攻勢をかけた。

攻撃の中心となったのは本田と香川。2人が絡むとペナルティエリアを簡単に突破していく。オーストラリアも35分、ロビー・クルースがGK川島永嗣と1対1になるが、川島の美技が日本を救った。

後半に入ると日本はさらに攻める。54分、香川の突破から本田が合わせるものの右にはずれる。59分、香川のループシュートはクロスバーに弾かれた。

オーストラリアは前半のハイペースがたたって動きが鈍った。日本が負ける要素は少なくなったと思われていた81分、日本には不運なゴールが決まる。トミー・オアーのクロスがそのままゴール隅に飛び込んでしまったのだ。

ヨルダン戦、ブルガリア戦とザックジャパンは最大の特長を発揮できずにいた。このチームの類い希なる力とは、試合終盤に強いこと。2011年のアジアカップでも終了間際の同点ゴール、延長戦での決勝点など、すでに特色は出ていた。ワールドカップ最終予選でも、本大会出場に大きく前進することになったアウェイのオマーン戦でも決勝ゴールが決まったのは90分だったのである。

その特長が、この大切な試合で蘇った。90分、警戒されていたショートコーナーをあえて使い、そこから送ったボールがファウルを誘ってPKを得たのだ。広げた手にボールが当たっており、少なくともアウェイのオーストラリア戦で取られた不可解なPKとは比べものにならないくらい、ハッキリした反則だった。

攻撃力再生の立役者、本田がど真ん中にPKを決める。その球筋は、奇をてらわず正々堂々と王道を歩んで予選突破を決めた日本にふさわしいと言えるだろう。

残念ながら引き分けだった。オーストラリアのシュート数10本に対して日本は19本のシュートを浴びせたにも拘わらず、スコアは1対1。不用意なミスもあったし、試合のリズムもなかなか変えられなかった。

だが、そんな不安の種もきっと解消されていくに違いない。なぜなら、ミックスゾーンに現れた選手たちは安堵の表情を浮かべながらも、反省しきりだったのだ。

「ゴールを取れなかったことで、自分の中で悔しい思いしかない」(岡崎慎司)

「自分の中でもピンチになるとしたら、失点したときの形かクロスしかないと思っていました。だから悔しいですね」(川島永嗣)

「チャンスが1回でもそのワンチャンスで点を取りたかった」(前田遼一)

本田に至っては、ミックスゾーンでコメントをしなかった。

選手たちの目標はまだまだ遙かに高い。本大会出場にも慢心せず、きっとこのまま王道を歩きつづけていってくれるに違いない。


▼ ホームでの試合。W杯出場を勝ち取った日本(撮影:岸本勉/PICSPORT)



▼ 本田圭佑)



▼ 香川真司



▼ 岡崎慎司



▼ 川島永嗣