■パスワークが拮抗するとの期待は裏切られた
勝ち点14で最下位のFC町田ゼルビアが、改修中のホーム野津田に7位の京都サンガF.C.を迎えたJ2第26節は、1-2で京都が勝利した。21位のガイナーレ鳥取が勝ち点3を加えて総勝ち点20で20位に浮上、20位だったカターレ富山は21位に順位を落としたが、勝ち点1を得て総勝ち点を18に伸ばしている。町田との差は少し拡がった。
いっぽうの京都は、1位の東京ヴェルディが「首位に立つと次節に負けるジンクス」を律儀に守って敗れたため、順位は変わらないものの新たに1位となったヴァンフォーレ甲府との勝ち点差を4とし、J1昇格戦線に復帰している。
数週間前にこの試合の取材を決めたとき、編集部との打ち合わせでは、パスゲームになるだろうから、双方の視点からのマッチレポートを書くようにオーダーを受けていた。しかしパスワークが拮抗するだろうという期待は裏切られた。
なかなか勝ち点を伸ばせない町田は、フォーメーションを3-3-2-2に変えていた。戦術はカウンター。3バックと両WBで最終ラインは5枚にできる。そこからロングボールを前線に入れ、ドラガン ディミッチのキープ力、平本一樹の高さや強さ、鈴木崇文の突破に期待する攻撃を試みるが、これらの攻撃は単発になりがちだった。前半11分から14分の四分間に4本のコーナーキックを獲得するなど、セットプレーのチャンスはつくることができていたが、言い換えるとそれ以外に得点の可能性は感じられなかった。
■町田の隙を突いて京都が先制する
失点したくない気持ちから守備の意識はあるものの、そちらに気が行くせいか、攻撃にかかったときの運動量が少ない。ひとことで言うと覇気がなかった。
失点を防ぐためになるべくラインを上げたくない町田のラインが、試合の流れで攻めにかかり、上がってしまった前半45分、宮吉拓実のゴールで京都が先制する。後半8分には、中村充孝が左サイドの奥に出したボールに途中出場の駒井善成が全力で走って追いつき、宮吉が要求したペナルティボックス内ニアに送ると宮吉がこれをスルー、ファーに走り込んだ中村がゴールに入れて0-2とし、勝利を決めた。
途中、足のつった宮吉を下げ、中村を上げて1トップとし、トップ下に原川力を入れて「京都流0トップ」に布陣変更。3点目を狙いながらも、支配力を高めて安全にゲームを閉じようとの狙いを、1-2の逃げ切りにつなげた。
状況を打開できない町田は北井佑季と勝又慶典を投入すると、彼らの運動量によって京都守備陣を崩し始め、試合終了間際には太田康介とのワンツーで北井がゴール、一矢を報いて試合を終えた。しかしそれは最下位という重い現実を動かすほどの材料にはなりえない。
町田はファン、サポーターも、ボランティアもスタッフも、選手個々もがんばっているとは思う。が、戦い方も含めてそれらが巧くオーガナイズされておらず、情熱が分散し、勝利に結びついていない。入場者数が少ないことも気にかかる。もちろんJFL降格も心配だ。
■町田のパスサッカーは消え去ってしまった
ピッチ外のことについては軽々には言えないので、ここではピッチ内に焦点を絞ろう。
町田が採用した3-3-2-2の三列目は、ワイドに拡がったウイングバックと中央のアンカーとのあいだに広大なスペースができ、ここを4-2-2-2布陣の京都の二列目が自由に使えるマッチングになっていた。そして3バックのあいだには京都の2トップが入り込む。残る6人はきれいにマッチアップするが、町田のアンカー、つまり太田の両脇にできたスペースの問題は最後まで解決されなかった。
2011年にランコ・ポポヴィッチ前監督が築いたベース、つい最近まで実践していたオズワルド・アルディレス監督流のパスサッカーは、いずれも消え去っている。かと言ってカウンターも不発で、中途半端なままだ。いったい町田はどうなってしまうのだろうか。
勝ち点14で最下位のFC町田ゼルビアが、改修中のホーム野津田に7位の京都サンガF.C.を迎えたJ2第26節は、1-2で京都が勝利した。21位のガイナーレ鳥取が勝ち点3を加えて総勝ち点20で20位に浮上、20位だったカターレ富山は21位に順位を落としたが、勝ち点1を得て総勝ち点を18に伸ばしている。町田との差は少し拡がった。
いっぽうの京都は、1位の東京ヴェルディが「首位に立つと次節に負けるジンクス」を律儀に守って敗れたため、順位は変わらないものの新たに1位となったヴァンフォーレ甲府との勝ち点差を4とし、J1昇格戦線に復帰している。
数週間前にこの試合の取材を決めたとき、編集部との打ち合わせでは、パスゲームになるだろうから、双方の視点からのマッチレポートを書くようにオーダーを受けていた。しかしパスワークが拮抗するだろうという期待は裏切られた。
なかなか勝ち点を伸ばせない町田は、フォーメーションを3-3-2-2に変えていた。戦術はカウンター。3バックと両WBで最終ラインは5枚にできる。そこからロングボールを前線に入れ、ドラガン ディミッチのキープ力、平本一樹の高さや強さ、鈴木崇文の突破に期待する攻撃を試みるが、これらの攻撃は単発になりがちだった。前半11分から14分の四分間に4本のコーナーキックを獲得するなど、セットプレーのチャンスはつくることができていたが、言い換えるとそれ以外に得点の可能性は感じられなかった。
■町田の隙を突いて京都が先制する
失点したくない気持ちから守備の意識はあるものの、そちらに気が行くせいか、攻撃にかかったときの運動量が少ない。ひとことで言うと覇気がなかった。
失点を防ぐためになるべくラインを上げたくない町田のラインが、試合の流れで攻めにかかり、上がってしまった前半45分、宮吉拓実のゴールで京都が先制する。後半8分には、中村充孝が左サイドの奥に出したボールに途中出場の駒井善成が全力で走って追いつき、宮吉が要求したペナルティボックス内ニアに送ると宮吉がこれをスルー、ファーに走り込んだ中村がゴールに入れて0-2とし、勝利を決めた。
途中、足のつった宮吉を下げ、中村を上げて1トップとし、トップ下に原川力を入れて「京都流0トップ」に布陣変更。3点目を狙いながらも、支配力を高めて安全にゲームを閉じようとの狙いを、1-2の逃げ切りにつなげた。
状況を打開できない町田は北井佑季と勝又慶典を投入すると、彼らの運動量によって京都守備陣を崩し始め、試合終了間際には太田康介とのワンツーで北井がゴール、一矢を報いて試合を終えた。しかしそれは最下位という重い現実を動かすほどの材料にはなりえない。
町田はファン、サポーターも、ボランティアもスタッフも、選手個々もがんばっているとは思う。が、戦い方も含めてそれらが巧くオーガナイズされておらず、情熱が分散し、勝利に結びついていない。入場者数が少ないことも気にかかる。もちろんJFL降格も心配だ。
■町田のパスサッカーは消え去ってしまった
ピッチ外のことについては軽々には言えないので、ここではピッチ内に焦点を絞ろう。
町田が採用した3-3-2-2の三列目は、ワイドに拡がったウイングバックと中央のアンカーとのあいだに広大なスペースができ、ここを4-2-2-2布陣の京都の二列目が自由に使えるマッチングになっていた。そして3バックのあいだには京都の2トップが入り込む。残る6人はきれいにマッチアップするが、町田のアンカー、つまり太田の両脇にできたスペースの問題は最後まで解決されなかった。
2011年にランコ・ポポヴィッチ前監督が築いたベース、つい最近まで実践していたオズワルド・アルディレス監督流のパスサッカーは、いずれも消え去っている。かと言ってカウンターも不発で、中途半端なままだ。いったい町田はどうなってしまうのだろうか。
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