福原:私が育った場所が北海道なので、小さい時に大地に触れたり、そういう経験をすることがすごく大切だなというのは、東京に来て思いました。今回の震災を受けた子供たちって色々考えてるんじゃないかなと思って。難しいんですけど、どっちが良いとか悪いとかではなく、調和だと思います。個人的にはすごく田舎が好きですし、今でもちょっと悩んだりすると、そういう景色を見たいと思ったりするんですけど。どっちもあって成り立っているので、プラスとマイナスの調和は、きっとどの時代もあるんじゃないかなと思いますね。

――主人公は幼い頃に亡くしてしまった父親の生き方に対して疑問を抱いていたけど、自身の成長と共にその考え方にも変化が生じますよね。福原さんの実体験でも共感する経験はありますか?

福原:いつも両親に「親の気持ちなんて、親になってみないと絶対に分からないよ」と言われてて、今でも親になっていないので、子供に対する気持ちとかは分からないですけど、本当にそうだなと思います。今回の『The Soul Extreme EP』の中で、1曲目の「O2 featuring AI」も結構ガシガシ強い女性のイメージを作ってるんですけど、それをすごく連想するのは母親で。母は黙々となんですけど、今でもバリバリ仕事しているような人で、「辛い」とかあまり言わない母の生き方を尊敬しているんです。「どういう風に苦労してきたんだろう?」って、なかなか聞けないので母親の気持ちは分からないですけど、「お母さんみたいになりたいな」という理想はずっとありますね。

――映画を観た感想に加えて、福原さんが伝えたいメッセージを歌詞に書かれているかと思いますが、「STARLIGHT」というタイトルはどんなイメージから付けられたのですか?

福原:人って、すごく儚いものを美しく思ったり、愛おしく思ったりするなと思って。私がイメージしたのは戦闘機なんですけど、空を飛んでいる時って、それを美しくも思ってしまうような。

――「戦闘機」の他、「愛されなった子供たち」といった、映画から派生した、独自の部分を感じたのですが、どんなメッセージを伝えたいと思ったのですか?

福原:この曲を作ったのは年をまたぐ時だったんですけど、海外の色んなニュースで、何が真実で誰が本当のことを言っているのかも分からないし、同じ世界なのに自分とは遠い所で起こっている恵まれない国の問題などを見た時に、自分も「何か変えたいな」と思うんですけど、無力過ぎることもすごく感じたんですよね。「世界を変えたい」とか「誰かのために歌いたい」と思ったら、まずは大切な人を抱きしめて、大切な人に歌を届けないと始まらないなと思って。この曲は、そういう世界に対しての疑問から、「じゃあ、自分はどうなんだろう?世の中に対して愛情とかを表現しているのかな?」と向き合った所で出てきた言葉だったり。その中でも「生きていくんだったら、あなたを抱きしめたい」という、そばにある大切な人を思って作りました。

――「守りたい」というのは、大切な人を?

福原:そうですね。守りたいけど、守れないし。自分じゃない人を守るというのは難しいことだなと思います。

――「強く」という歌詞も何度か出てきますが、福原さんがイメージする強さとは何ですか?

福原:やっぱり母親なんです。あまり人に言わずに、自分の中で解決して、自分で考える人は強いなと思いますね。ぶつかり合いがいっぱいありますけど(笑)。

――言葉にしないと、なかなか思っていることが伝わらなかったりもしますからね。

福原:父がすごくしゃべる人なので、いつも母がしゃべれない状況になるんですよね(笑)。父のことはよく知ってるんですけど、20何年生きてきて、お母さんのことをあまり知らないなと思って、ちょっと寂しいんです。

――きっと、良いコンビなんだろうなとは思いますけどね。

福原:そうなんですかねー。でも、母親の気持ちとか想いって、瞬間瞬間であまり聞いてないなと思って。これからは、父はちょっといいやと思って、母と向き合っていきたいなと(笑)。