■ 防ぐことの出来なかったシュート

間違いなくMFスナイデルのシュートはよかった。ブレ球気味のシュートで難しいシュートではあったが、それほどいいコースではなかったので、やっぱりGK川島には何とか防いでほしかったところである。後半の立ち上がりにやや受け身となった日本にとっては嫌な時間帯だったので辛抱したかったが、痛い失点となってしまった。

もし、後半8分というセカンドハーフの早い時間に先制ゴールを奪えていなかったら、もっと焦っていたはずである。1点リードしたオランダが少し引いたこともあって、その後は日本もチャンスを作ったが、もちろん、そのままの0対0で進んでいたらオランダはもっと攻撃的に来ただろう。いつかは先制ゴールを許していたかもしれないが、全般にオランダの守備が堅かったというわけではなかったので、日本が先制ゴールを奪う可能性もあった。終了間際にMFアフェライのシュートを防いだGK川島のプレーは得失点差を考えると大きなプレーであったが、何とも残念だった。

■ プランどおりの戦い

オーストラリアが初戦でドイツに0対4、韓国が2戦目でアルゼンチンに1対4。韓国は初戦のギリシャ戦は良かったが、同じアジアの2チームが4失点で敗戦する試合が続いて、「日本もオランダに大量失点で敗れるかもしれない。」という心配は日本人の多くの人が思っていたものだと思うが、スコアは0対1。ボールポゼッションは劣っていたが、シュート数はオランダの9本に対して日本は10本。オランダ相手に胸を張れる試合を見せたと言える。

カメルーン戦に続いて、岡田ジャパンの試合運びはほとんどパーフェクトであり、「強豪国を相手にしても、こういう戦いをすれば何とか試合になる」という見本のような戦いだったと言える。もちろん、オランダにはFWロッベンがおらず、コンディションも良好ではなかった。オランダの出来は100%ではなかったが、相手チームに100%の力を出させないこともサッカーでは大切なことである。サッカーとは相対的なものなので、オランダの出来がよくないように見えたのは、日本の戦い方が良かったことの裏返しといえる。

■ 機能しなかった交代要員

試合の進め方に間違いはなかったが、交代で投入したメンバーは十分に機能しなかった。結果的にはゴールにはつながらなかったが、試合終了間際にFW岡崎が狙い通りの形から決定機をつかんだのでFW岡崎の投入については評価できるが、MF中村俊とFW玉田の二人はイージーなミスもあって流れを停滞させた。サイドハーフに入るMF松井とMF大久保は広範囲な仕事が求められるので90分は持たないので、どこかのタイミングで交代させる必要があるが、この日はMF松井とMF大久保を代えたことでリズムは悪くなった。

まずMF中村俊の投入自体の意図はよく分かる。ゴール前の高さ勝負でDF闘莉王が多くの場面で相手に競り勝っていて、左足のプレイスキッカーとしての期待をかけたMF中村俊の投入だったと思われるが、肝心のパフォーマンスは今一つだった。もちろん、タメを作って攻撃にリズムを作るプレーもあったが、イージーな取られ方で相手のカウンターの起点となった。

そして、フォワードはFW玉田を投入。FW本田圭の出来がイマイチだったので、FW本田圭に代えてFW森本を投入するのが現実的かと思われたが、岡田監督はFW玉田を選択。しかし、これは明らかに失敗だった。どんな相手でも平常心でプレーできるのがFW玉田の特徴であるが、あまりにも試合の入り方が悪くて、テンションも低かった。正直に言うと、酷い出来だった。

■ リベンジの中澤

2 試合を終えて1失点のみということで、守備陣は最大級の評価はできるが、カメルーン戦に続いてDF闘莉王とDF中澤のコンビは素晴らしかった。後半にDF 中澤がFWファン・ペルシーに裏を取られて左足でシュートを打たれるというシーンがあったが、FWファン・ペルシーにもFWファン・デル・ファールトにもほとんど仕事をさせなかった。