大会前は、DF中澤は衰えを指摘されていて、DF闘莉王も判断力やスピード不足を指摘されていたが、この2 試合で見せているパフォーマンスは素晴らしいものである。カメルーンにもオランダに本格派のセンターフォワードがいないのは大きいが、ほとんど空中戦を制しており、あまり相手のセットプレーでも怖さを感じない。

DF中澤は前回のドイツ大会ではコンディションもあまりよくなくて、チームも2敗1分け。3試合で7失点に終わった。今回はリベンジの大会であるが、見事なプレーを続けていると思う。

■ 闘莉王の熱いプレー

そして、そのパートナーのDF闘莉王も素晴らしかった。日本チームの中で、この試合のベストプレーヤーを選ぶとしたら、DF闘莉王だろう。試合後に本人が語っていたように、MFスナイデルのミドルシュートにつながったクリアは「難しいクリア」になってしまってFWファン・ペルシーに渡ってしまったが、それ以外ではパーフェクトに近いプレーだった。

思い出してみると、前回のドイツ大会ではオーストラリアやクロアチアのロングボールに苦しんで、制空権を握られたままのしんどい試合が続いたが、今回は、全く違っている。年齢を考えると、DF中澤とDF闘莉王のコンビは今回のワールドカップ限りであり、次回のワールドカップまでに新しいコンビを見つけなければならない。賛否両論もあるが、この二人が日本で、�1のセンターバックと�2のセンターバックであり、新しい監督は次の世代のセンターバックを探すという難題をかかえて活動をしなければならない。

1点ビハインドの終盤はMF 阿部が最終ラインに入ってDF闘莉王が前線に入ったが、期待通りにFW岡崎の決定機につながる素晴らしい落としでチャンスを作った。長身ではあるがFW矢野はポストタイプではないので、「パワープレーの出来る選手がいないのでは?」という不安はあったが、MF阿部を最終ラインに下げてDF闘莉王を前線に上げるという作戦も十分に練られていた。

■ 悔しい試合

オランダ戦の前は、グループリーグ突破を考えると、「引き分けでもOK。1点差負けでもOK。」と思っていたが、実際にいい勝負になって、チャンスも作っただけに悔しい試合となった。もし、FW岡崎のシュートが決まっていれば最高の展開だったが、何とも残念だった。

ただ、これも経験である。オランダのサポーターで埋まったスタンドの中で、完全にアウェーの環境。昨年9月の戦いでは後半に失速して0対3の敗戦を喫したが、その試合を糧に最後まで勝ち点獲得のチャンスを作ったことは立派だった。

たぶん、ベルギーやロシアやトルコやクロアチアのようなトップクラスではない中堅国は、こういう戦いを繰り返してチーム力を挙げてきたのだろう。「これがいい経験だった。」といえるように、このオランダ戦をまた次に生かしていきたいところ。

■ 立派な戦い

大会前は、カメルーン、オランダ、デンマークという厳しいグループになったことで、「グループリーグ突破は難しい。」と思われていたが、2試合を終えて1勝1敗。得点「1」で失点「1」。懸念された守備陣は2試合を終えて1失点のみと見事な守備を見せている。

アーセナル、バイエルン、レアル・マドリード、リバプール、ACミラン、アヤックスといったオランダ代表の選手が所属するクラブ名は見ているだけでうらやましい限りであるが、実際に試合を行ってみると、0対1の敗戦。スペシャルコメンテーターのオシム監督が試合後に語っていたように、オランダ代表をリスペクトし過ぎていた部分はあったかもしれない。そして、思っているよりも、日本の選手と海外の有名選手との差は大きくはないのかもしれない。

2戦目に敗れたことは残念だったが、今の時点で日本代表が出来ることを精いっぱい見せてくれた立派な闘いだったと言える。次はデンマーク戦である。グループリーグ突破をかけた大勝負となる。

記事をブログで読む