2000年4月に発売したシングル「LADY MADONNA〜憂鬱なるスパイダー〜」でのデビューから、今年で10周年を迎えるLOVE PSYCHEDELICO。1月13日には前作「GOLDEN GRAPEFRUIT」以来、約2年半振りとなる待望のニューアルバム「ABBOT KINNEY」を発売。「自然体でいられる音を作ろう」と同作に込めた想いを語る彼らは、終始穏やかな雰囲気でアルバム制作に費やした日常について語った。

――まだアルバム発売前の2009年11月からYouTubeに開設された「LOVE PSYCHEDELICO ch」で楽曲の先行試聴やレコーディング風景の様子が見られるようになりましたたね。

NAOKI:今はこういう時代なので、LOVE PSYCHEDELICOはファンクラブもネットのファンクラブなんですけど。僕らはなかなか雑誌とか、ラジオもやっていないので、新しい発信の拠点が必要じゃないかというので。別に、僕が考えた訳じゃないです(笑)。

――お二人が普段、インターネット以外にもテレビ、ラジオ、雑誌など、日常的に触れたり情報を得るのは、どのメディアですか?

KUMI:…メディア?時々、テレビ観たり、パソコン開いたりはするけど…。

NAOKI:あまり情報は仕入れないですね(笑)。

KUMI:おかしいでしょ?仕入れないということも無いと思うけど(笑)。そんなにテレビを見る方じゃないけど、自然と受身でいて入ってくるのはテレビだとは思う。たまに見ても情報量が多いし、あんまり意識していなくても入ってくるから。インターネットは自分が興味もったものを調べにいくという感じで、ネットサーフィンもあんまりしないかな。

NAOKI:インターネットの時代になって便利なこともいっぱいあるんだけど、需要と供給の完全な一本道じゃないですか。何か検索したいキーワードがあって、例えば「LOVE PSYCHEDELICO」と検索するとLOVE PSYCHEDELICOの情報とか、LOVE PSYCHEDELICOについてブログで語っている人がいっぱい出てきて、昔とちょっと変わりましたよね。LOVE PSYCHEDELICOを好きな人は「LOVE PSYCHEDELICO」と検索した中での情報をみんなで共有していて、なかなかその外には行きにくい状態になりやすいと思うから、村社会になりやすい危険もあるじゃないですか。ネットが発達していくのはすごいいいことだけど、一方でみんなで情報を共有できる楽しみは減ってきているのかな。

――前作「GOLDEN GRAPEFRUIT」のタイトルにもなった、GOLDEN GRAPEFRUIT STUDIOという自分達のホーム・スタジオを作る際に、こだわったのはどんなポイントですか?

NAOKI:いっぱいあるね。設計する時に、KUMIはまず内装にこだわったよね。

KUMI:雰囲気かなー。ちゃんとレコーディングをして、音を録れる所というのはもちろんなんだけど、日本だと自分の家で楽器を弾くとかってなかなか難しいから、アトリエみたいな場所にしたかったんだよね。とりあえず、楽器を弾いて遊べる場所みたいなものがあったから。

NAOKI:リラックスできる場所ね。

KUMI:都内だし地下に作るしかなかったんだけど、いわゆるスタジオの、黒張りで音にストイックになるような場所じゃなくて、色も明るくして、白っぽくして開放的というか、プレイルーム的な要素の強い雰囲気にはしたかな。音も一応それなりにはこだわっているけど、厳密にはそんなストイックな作りにはなっていなくて、ミックスまでするにはちょっと音響的には足りないんだけど、もう音は十分録れるし。

NAOKI:あと、手を伸ばせばすぐ楽器がある、楽しい空間というのが夢だったので、とにかく楽器が多い(笑)。もうギターから、マンドリン、ペダルスティール、バンジョー、シタール、ドラム、なんでもござれってな感じで楽しいよね。