数々のドラマ、映画、CMで活躍し現在も大河ドラマ「天地人」で主役を務める妻夫木聡と、韓国で観客動員数500万人を記録した映画「チェイサー」にて連続殺人犯を怪演したハ・ジョンウが共演した映画「ノーボーイズ,ノークライ」。「ジョゼと虎と魚たち」、「メゾン・ド・ヒミコ」など優しさと残酷さが同居する世界観を構築する、脚本家・渡辺あやが2つの孤独な魂の触れあいを描いた話題作だ。家族を背負いながら生きる男と、家族の愛を知らない男が出会う所からストーリーが展開するが、キャストの2人にとってこの映画自体が大切な出会いだったという。今回は2人に、お互いの印象や伝えたい事、私生活で“男泣き”する場面など、素顔に迫った。

――日韓合作映画ということで、妻夫木さん、ハ・ジョンウさん共に新しい経験が出来た作品なのではないかと思います。最初にオファーを受けた時の率直な感想を教えてください。

妻夫木聡(以下、妻夫木):数年前に釜山映画祭に行ったときに、韓国の方たちのパワーをすごく感じて、ぜひいつか一緒に仕事をしてみたいという想いがありました。このお話をいただいて、ようやくそれが叶ったと。それと、以前「ジョゼと虎と魚たち」でご一緒した渡辺あやさんの脚本も魅力でした。人と人との歩み寄り方って、何か大きなきっかけがあったから仲良くなるという単純なものではなくて、そこを丁寧に描く方なので、撮影が楽しみでしたね

ハ・ジョンウ:僕は、「ジョゼと虎と魚たち」を観ていたので、渡辺あやさんと妻夫木さんにはとてもいい印象を持っていました。その2人と、リアリズムの演出スタイルにこだわるキム・ヨンナム監督とが組む作品と聞き、最初はアンバランスな印象を持ちましたが、監督がどんなふうに撮るのか考えたら気になって仕方がありませんでした。

――今までに無いキャラクターだったと思います。

妻夫木:色々な責任を背負っていて、やつれている雰囲気を出したかったので、ジョギングは熱心にしてだいぶ体重はしぼりました。

――妻夫木さんは劇中でとても上手に韓国語を話していますが、練習はどのようにましたか?

妻夫木:日本語以外のセリフで演じるのは初めての試みでした。韓国語でセリフを言った時に、自分の中に役の感情が生まれてくるのか、最初はそれが不安でした。とにかくセリフを覚えて、覚えて。現場に入って亨としてヒョングに向き合うと、イメージがちゃんと湧き出て新しい感情が生まれてきたので、すごく刺激的な経験でしたね。

――ハ・ジョンウさんは実際にその韓国語を聞いて、いかがでしたか?

ハ・ジョンウ:妻夫木さんの演技は韓国語の意味を100%理解しているからこその感情が伝わってきました。まったく違和感がなかったですね。

妻夫木:ありがとう(笑)。