――この映画は「出会い」が大きなテーマになっていますが、お2人の共演も俳優として大きな出会いだったと思います。お互いの印象についてそれぞれ教えてください。
妻夫木:今までの作品を観て、役者としてストイックに役作りをする方なんだろうとは想像していましたが、役を離れた部分でも、僕を人として知ろうとしてくれるし、自分のこともオープンにしてくれる。それが彼の役の幅を大きくしているんだなあと思って、人間的にもとても魅力を感じました。ハ・ジョンウ:新潟のおいしいお酒や韓国料理の店を探してくれたりして一緒に過ごす時間も長かったので、自然と親友になるシチュエーションが揃っていたと思います。理由はわからないけれど、会うだけで気分がよくなる人というのがいますが、聡はまさにそういう相手です。
――だからこそ「アジアの純真」を熱唱するシーンで、あそこまで息ピッタリな演技が出来たのでしょうか?
妻夫木:あのシーンは当たって砕けろという感じでした(笑)。亨のやけくそ感を芝居としても出したかったので。歌いながら遊べればいいなと思って、振り付けもほとんどアドリブでしたね。――「ノーボーイズ,ノークライ」=「泣かない男の子はいない」というタイトルの通り、傷つき共鳴しあう2人の姿がリアルに描かれていますが、お2人が男泣きしてしまう瞬間というのはどういう時ですか?
妻夫木:何かが終わる瞬間というのはグっとくるものがありますよね。この撮影とか、終わりたくない気持ちがどこかにあって、最期は泣く演技をしていたので、その延長線で泣いてしまいました(笑)。ハ・ジョンウ:今まで泣いたことはあまりないかもしれません。ただ、聡が言ったように、僕もそのシーンの現場にいて胸がつまって。でもキャラクター上、そこで泣くわけにはいかなかったので我慢はしましたよ。
――では、これから映画をご覧になる方にメッセージをお願いします。
妻夫木:映画の中で亨とヒョングの2人が出会って人生が変わったように、僕自身、国境を越えてハ・ジョンウさんに出会えたことが嬉しかった。アジア映画ってこれからもっと面白くなるんじゃないかという可能性も感じています。ハ・ジョンウ:まったく同感です。新しいスタイルの映画作りができたと思う。一番の収穫は聡という親友ができたことだけどね。
「ノーボーイズ,ノークライ」ストーリー
韓国からオンボロなボートにひとり乗り込み、日本の闇組織のボス、ボギョンに「荷物」と手作りキムチが入った壷を運ぶヒョング(ハ・ジョンウ)。ボギョンの 手下でそのボートをいつも出迎える冴えない男、亨(妻夫木聡)。ある日、いつも通りに「荷物」を日本へ運んだヒョングが何者かに襲われ、「荷物」が消えて しまう。合流した亨と見つけた「荷物」の中身は…。家族を背負い、そこから抜け出せない亨と、母親から見捨てられ、1人で生きてきたヒョング。境遇も国籍も違う。敵でもなく味方でもない。ただ生きるために2人が手を組んだとき、運命の歯車が動き出す。
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