穀物価格の高騰以来、食物と競合しないバイオ燃料を探す試みが各地で進められているようだが、アメリカのビバリーヒルズでもっとも身近にあったエネルギーに着目した医師がいる。医師の名はクレイグ・アラン・ビットナー、使った原料とはなんと人間の体脂肪だった。


ビットナー氏は米ビバリーヒルズで開業する整形外科医だが、彼は自分の患者から吸引した体脂肪を自分やガールフレンドの車の燃料として使っていたことが判明し、注目を集めている。彼は十年間で7,000人近い人に脂肪吸引手術を施したが、自身のHP上では「患者の多くは除去した脂肪を燃料として使うことを希望した。それで自分でも使い切れないほど大量の脂肪を持つことになった。」と無断使用でないことを強調している。また、「彼らは余分な脂肪を取り除いただけでなく、(それが燃料として有効利用されることで)地球を救うことに参加できるんだ。」とうそぶいている。

体脂肪が燃料に使えるとは初耳だが、要するに、動物性脂肪でもトリグリセリドという成分が含まれていれば、問題はないらしい。動物性の場合、遊離脂肪酸を取り除くという工程が増えるだけで、通常のディーゼル燃料と同じように使えるという。とはいえ、人間の医療廃棄物を車の燃料として使うことはカリフォルニアでは非合法であり、彼は現在公衆衛生局の取り調べを受けている。

ビットナーは、クリニック閉鎖についての問い合わせに応える形でこんなメッセージをHPに載せている。
「あなたたちに施術できて本当に幸せだった・・・あなたたちは新しい医者と医院を見つける必要がある。・・・今日に至るまでの私の道程は素晴らしかった。今、こう言えることを誇りに思う。『私の脂肪吸引手術の歴史には非の打ち所がない。何しろ合併症も感染症も1度もなかった。』・・・脂肪吸引は私の情熱そのものであり、とても幸せだった。しかし、今後はコロンビアの僻地で新しいボランティア活動を始めることにした。そこは必要な設備も満足に揃っていないが、10年前、私の医師としてのキャリアがスタートした場所にとてもよく似てるんだ。」

というわけで、美談の煙幕を張ってフェードアウトしていこうとしているビットナー氏ですが、彼がハリウッドを去ろうとしている背景には、複数の患者から訴訟を起こされているという現実があり、今回の脂肪流用事件もその訴訟の中で明るみに出たものだ。さらに患者の証言から助手やガールフレンドが無資格で手術を行っていた疑惑も浮上している。個人的には、体脂肪で走る車の排気ガスは吸い込みたくないものだ。

(編集部:こてつ)

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【参照】
Forbes.com