[画像] インタビュー:いきものがかり「色んな気持ちにしてあげたい」

 昨年3月に発表したデビューシングル「SAKURA」がDENPO115 東日本エリアのCM曲に起用されて大きな話題を呼んだ、いきものがかり。水野良樹(ギター)と山下穂尊(ギター、ハーモニカ)が手掛ける、聴く者の心象風景を呼び起こす様なメロディと歌詞、それを体現する吉岡聖恵(ボーカル)の芯の強い伸びやかな歌声が今、注目の存在となっている。

■3人が知り合ったのはどんな切っ掛けだったんですか?

水野良樹(以降、水野):最初は山下と水野の男2人で路上をやっていたんです。それとは別に、椎名林檎さんのコピーバンドをやろうとして、バンド仲間で色々メンバーを誘い合っていたら、「女性ボーカルがいないね」となって。そしたらバンド仲間の1人だったコイツ(吉岡)の兄ちゃんが、「うちの妹が歌うから、紹介するよ」と言って、知り合ったんですよ。

吉岡聖恵(以降、吉岡):最初はこの2人(水野と吉岡)が知り合って、ちょっと遊びのコピーバンドみたいな感じでやって。

水野:山下に、「吉岡くんの妹が結構いいから、あの子をいきものの真ん中に入れてやろう」と。

吉岡:…結構いい(笑)。

水野:ちょうどその頃、早くも男2人に限界を感じていまして。どこを見ても男2人の路上グループがいっぱいいて、これじゃあ面白くないと。当時、男女混合のグループが少なかったので、「女の子を入れたらいいんじゃない?」と探したら、ちょうどいた感じですね。

■吉岡さんは、2人と一緒にやられる以前から歌われていたんですか?

吉岡:私はもう小さい時から歌しかやってなくて。合唱団やって、運動部に入らず合唱部に入って、ミュージカルをやって、バンドも遊びでやっていて。中学校の時にゆずさんを知って、路上ライブにすごく興味があったんですよ。でも、1人じゃ出来ないし、楽器も弾けないし。ちょうどその時に2人がやっていると聞いたので「一緒にやらせてよ」と言ったら、2人もちょうど探していたという。特にずっと一緒にやるとも考えていなかったんですけど、合わせた日からなんとなく、「じゃあ、次どうするか?」みたいな自然な感じで始まりました。

■お互いの第1印象は?

水野:この2人(山下と吉岡)は本当に、初めて路上ライブを一緒にやった時が初対面だったんですよ。山下と水野が2人でやっている所にたまたま吉岡のお兄さんが通って、「今、妹が近くにいるから、今度一緒にやるんだったら呼ぶよ」と言って、コイツが来て。

山下穂尊(以降、山下):ピンクな印象ですね。サングラスもピンクの物をしていて。

吉岡:赤ね(笑)。

山下:服は覚えてないですけど、全体的に非常にこう…ポップな(笑)。

水野:今、なんか気を遣ったね(笑)。

山下:もう本当に会ってそのままキーを合わせて歌い出したので、あまりよく分からない感じでしたね。ゆずさんの「夏色」を歌えると言うので、キーをオリジナルより大分上げて、「せーの」で一緒に歌って。その帰りにはもう3人で電車に乗って他愛もない話をして。

水野:僕は「猿岩石の有吉に似てる」と言われました(笑)。当時すごいブームだったので。

■それは、褒め言葉と受け取ればいいんでしょうか?

吉岡:率直な発言ばかりをね(笑)。

■吉岡さんは、割と思ったことをズバっと言うタイプですか?

水野:そんな感じですね(笑)。

■吉岡さんから見た、山下さんの第1印象は?

吉岡:ぱっと見て、もてそうだなと思って。最初2人が演奏していた時に女子高生が前にいて、いつも交流しているお友達というか、微妙な関係の女の子と男の子という所に私が突然入って歌ったから、女の子が「ちょっと、あの子は誰!?」みたいになっちゃって。

■貴重な女性ファンが離れていったと。

水野:サァーっと引いていきましたね(笑)。■吉岡さんは普段、女性らしい扱いは男性2人から受けていますか?

吉岡:いや、受けていないです。もう諦めていますね(笑)。

山下:非常に身内らしいというか、もう完全に家族的な、兄弟的な感じですよね。女性として扱ってしまうと、多分バンドとして成り立たない様な気がしますね。

吉岡:友達というか、普段3人で遊んだことが無いんですよ。

水野:コイツはライブもテレビも人前に出る時はジーンズを履くんですけど、たまぁーに撮影もない時にスカートを履いてきたりするんですよ。そうするとなんか…嫌な感じなんですよ(笑)。

吉岡:「よしなさい、そんな足出しちゃって!」みたいなね。

水野:もう親みたいな感じなので。全然、嫌なんだよね(笑)。

山下:象徴的だったのが、この間、良樹が「カラオケでMr. Childrenさんの『抱きしめたい』を本気で歌いました」と言ったら、聖恵が本気で鳥肌を立てていて(笑)。

■また聞きますけど、それはどういう意味の鳥肌なんですか?

吉岡:想像すると辛い…みたいな。

山下:お父さんが真剣になっているのが嫌だ、みたいな。きっと、そういう関係ですよね。

■吉岡さんから見た、水野さんの第1印象は?

吉岡:最初、静かな感じで、何を考えているか分からないと思った。

水野:人見知りするので。

吉岡:最初はバンドを組んで、一応リーダーだったんですけど。

水野:全然仕切らないからね。そのバンドは空中分解しました(笑)。

■その後、第1印象から変わったことはありますか?リーダーぶりを発揮してきたとか。

吉岡&山下:…(沈黙)。

水野:リーダーと言っているのも自称なんですよ。未だに認められてない。

■水野さんと山下さんは2人ともがギターで、吉岡さんをボーカルに入れて、今の3人の形でずっとやって行こうというイメージは最初からあったんですか?

水野:女の子を真ん中に入れて、3人というスタイルは、なんとなく自分達の中ではイメージとしてあって。そんなに真剣に考えてなかったんですけど。

山下:当時、穴だったんですよ。なんとなく、ギター2人で女の子ボーカルって無いなぁと思ってましたけど。

水野:地元の小ちゃいコミュニティーの中ですけど、小田急沿線何駅かの路上ミュージシャンを見ると、みんな男2人で、女性も少なかったし、男女混合がいなかったので。女の子を入れたら、今は女子高生しか集まらないのが、男子高生も、お父さんお母さんも来てくれるかな?と思っていたら、実際に聖恵が入ってからは、そうなったんですよね。

■ベースとドラムを入れてバンド編成でとか、路上でも発電機を回してアンプに繋いでエレキでやろうとは思いませんでしたか?

水野:当時はお金が無かったんですよね。アコギも親戚のおじさんからもらったヤツとか。アンプも買えないし、ライブハウスに行くお金も無いし。

吉岡:私もマイクを使わなくて、駅で「ウワァー」って。なるべく、たくさんの人に声が届く様にギリギリまでキーを上げてたよね。

山下:LOWは全然広がらなくて。改札を出て来た人にとりあえず、やっているんだということを教えたかったので。

吉岡:もうスピッツの様に歌ってましたよ。「キャンキャン」って(笑)。

水野:本心は多分、バンドとかをやってみたかったんでしょうね。色々アンプを使って、ライブハウスでやってみたかったんだけど、そんなお金も無く。練習も放課後にわざわざうちらの高校に忍び入って教室に集まって、たまに怒られたりして。

吉岡:お兄ちゃんのジャージを借りて行くんですよ、スカートは自分の高校の制服なのに。で、ピンクの自転車で(笑)。先生に「お前何組だ!?」と言われて、「2組です!」と答えたら、「そんな組はない!」って怒られました。

山下:うちの学校は「A、B、C」組だったのに(笑)。

■最初は、それほど先のことは考えていなかったんですね。

水野:全然考えていなかったですね。部活動みたいな感覚で。

■路上で続けていく内に、徐々にお客さんが増えていって。

山下:友達が増えて、お客さんが増えて、毎週楽しいなという。もうそれだけでしたね。■昨年3月に発表されたデビュー曲の「SAKURA」がCM曲として放送された時期が、ちょうど王ジャパンのワールドベースボールクラシックのテレビ中継と重なって、注目される切っ掛けになりましたが、その様子をご本人達はどの様に感じていましたか?

水野:スポーツ新聞で取り上げてもらって、それが広がって、ランキングも段々上がって。でも、それがデビュー曲だったので、この状態がミラクルな状態だということも分からなかったんですよ。別に生活は変わらないし、そんなに実感がなかったですね。で、今も実感がない。

山下:あまり今も生活変わってないですからね。普通に今日も小田急線に乗ってきたし。

■毎回、シングルの3曲目にはカバー曲が入っていますが、これはどういう理由で?

山下:最初はここまで大きな意味合いのものになるとは思わなかったですね、でも、やっていく内にその面白さとか意義に気付いて。音楽の初期衝動ってコピーだったりするじゃないですか。俺らも最初はオリジナルなんか全然無くて、あとはそういうちょっと古めの曲が大好きなので、カバーばかりをやっていたんですけど。いきものがかりって、最近は年下の子達とかも聴いてくれていて、そういう曲を知らなかったりするので、勿体ないというのもあって。せんえつながらご紹介出来ればと。音楽が消費される文化になってしまっているので、そこで埋もれていく名曲を自分達の好きな範囲で残せたら、意味があるかなと。

■選曲の基準はどの様に?

水野: 3人とも好きだということが1番重要ですね。何曲も挙ってくるので、今回「うるわしき人 / 青春のとびら」で入れた「春一番」も、本当はずっと前からやりたいと言っていて、やっと今回出来ることに。3人とも邦楽が大好きですね。

■邦楽と言えば、いきものがかりではなく横文字の名前にしようとか考えたことはないですか?

水野:高校生の時は、気取って色々と考えたりしたんですけど。

吉岡:私が入ってから1回、英語の名前とかに変えようとしたんですよね。

山下:その当時、3人で始めてもうちょっと経っていて、結構お客さんもいてくれていて、地元の身内周りでは浸透していたので。俺らが変えたいと言っても、聖恵が逆に気に入ってしまって、いつの間にか定着しちゃいましたね。

■バンド名もそうですが、曲のタイトルや歌詞についてすごく日本語を大事にされている印象を受けています。同じ日本語でも、漢字、平仮名、カタカナにするかもこだわっているんだなと。

水野:綺麗な日本語を使おうとかは思っていなくて、ただ、すごく柔軟な言葉で、しかも自分達が普段しゃべっている言葉だから使うんですよね。細かい所まで表現しやすい言葉だから、自分達が語感がつかめていない英語とか他の言葉とかは使わなくなっちゃいますね。

山下:日本語のポテンシャルを最大限、柔軟に使いこなせるといいと思いますね。超スラングでもいいんですよ。「マジ超ヤバくねぇ?」という歌詞がいつか入るかもしれない。それは分からないですけど、そこに含まれるニュアンスは「本当にすごく大変です」というのと全然違うのに、意味は同じという。なかなかそういう言葉って少ないので。

吉岡:要するに、メロディーが覚えやすくて、歌詞もぱっと聴いたときに想像できるものが好きというのが、この3人の共通点かなと思いますね。

■海外でレコーディングをしてみたいと思ったことは?

吉岡:海外は音がカラッとしてるから(笑)。

水野:それはないですね。いきものがかりをニューヨークで録ってもね。

山下:説得力が逆に無くなっちゃうんで。

■PV撮影とか。

吉岡:ハワイがいい!

山下:香港、台湾辺りだったら似合うと思うんですよ。

水野:いきものがかり、熱海レコーディングとか結構いいかもね。やろうか?

吉岡:ハマりすぎて嫌なんだけど(笑)。■サードシングルであり、インディーズ時代のサードアルバム「人生すごろくだべ。」の1曲目にも収録されている「コイスルオトメ」は個人的にも名曲だと思っていて。歌詞の内容はタイトル通りですが、歌詞を書かれているのが女性の吉岡さんではなく、男性の2人というのに驚きました。

水野:「コイスルオトメ」は特に自分の中できっかけになった曲で、いきものがかり3人として何を表現するのか、すごく迷った時期があって。自分が歌うわけではないし、男性だし、自分の気持ちを曲に書いて、いきものがかりで表現してもどうなんだろう?って。いきものがかりとして出すなら、女性の歌詞を書かなきゃいけないと思って、初めて正面から向き合って女性の歌詞を書いてみたんですね。それでライブでやってみたら、女性の方から「自分のこと歌っている様に思った」とか、「好きな人に告白する勇気をもらった」という言葉をもらって、すごく嬉しくて。それまでは、自分の気持ちを曲に載せなきゃいけないという変な先入観があったんですけど、そうじゃなくて、聴いている人のためになればいいんだ、自分はそういうモノをいきものがかりで作っていけばいいんだと。いきものがかりでの自分の置き場所を分からせてくれた曲なんですよね。

■そういう想いで書かれた歌詞を見て、女性の立場として吉岡さんはどう思いましたか?

吉岡:それまでは結構、「僕」という歌詞もあって、抽象的な感じが多くて。ここまで女になりきって書いてきたことはなかったので、最初見た時に「何を考えてるの!?」とビックリして。「運命の人よ、白馬の王子様よ」ときたので、私はこんなことを考えないし、歌えないと思ったんですよ。でも私の気持ちがどうであれ、女の私が歌って、みんなが聴いた時にどう響くかを1番に考えた曲だったので。キーを合わせてパッと歌った時に、みんなが「いいね!」と言ってくれて。私もよく分からないまま歌ったんだけど、「あ、そうなんだ」と納得して。歌詞と自分の共通点というのは、必ず歌っていく内に段々と見付かるもので、初めて本当に人を好きになった時の自分に似ているなぁ、と後で気付いたり。よく、自分よりロマンティックな詞を書いてくるから、普段の2人を知っているだけに、一体どこから出してきてるんだろう?と面白いですね。自分と似ている部分もあれば似ていない部分もあるけど、これでずっとやってきているので、持ってこられた物に対してはすごく受け入れることが出来ますね。

■楽曲の世界の中で、自分とは違う役柄を演じることも楽しめている感じでしょうか?

吉岡:自分そのものであっても全然いいと思うんですけど、そうではない歌詞を歌うこともすごく面白いことだと思っていて。「私はこう思っているの!」という歌を歌うと結構、内にこもってしまう場合があると思うんですよね。だけど、自分と距離があるものを歌うと、ちょっと客観的になれて、その物語や曲そのものを純粋に届けられる良さがあるから。いきものがかりというのは、そういう意味ですごく面白い。3人ともちょっと客観的なんですよね。2人も自分が歌う曲を作っているのではなく、私が歌ってどう届くかを考えているので。私も詞を見た時は色々と感じますけど、歌う時には、今をそのまま出す様にしていますね。アルバム「桜咲く街物語」もずっとそういう気持ちで録ってきました。■アニメや映画、CMなどのタイアップが付いていて、自分達の曲を耳にする機会が増えるのを嬉しく思う一方で、タイアップに対してプレッシャーなどは感じていませんか?

水野:タイアップとどうやってバランスを取っていくかについて考えるし、いい出会いにならなきゃいけないと思うので、お互いが消し合う様な状態ではどちらにとっても得はないはずだから。そのバランスを取る時にちょっとプレッシャーがあったりしますけど。

吉岡:それよりも、いい曲を作れるかどうかだよね。

水野:映画とかアニメのタイアップをやらせてもらいましたけど、自分の曲と一緒にアニメの絵が動いたり、決めの所でパッと変わったりすると、素直に嬉しいですね。実際に、いきものがかりの名前が出てくると嬉しいし、普通にミーハーな感覚は全然持っているから、親に見せてね、親が喜んで。

■割と、自分達を客観的に見られていますね。

山下:そうですね。いきものがかりという3人のスタンスがあまり他では見たことがないスタイルだとは思うんですけど。今のところ聖恵は一切、歌詞を書いてなくて、俺ら2人が書いている歌詞を聖恵が歌うということは、もしかしたら昔は1 番大衆的だったのかなと思って。例えば山口百恵さんの歌って、自分で歌詞も曲も書いていないじゃないですか、松田聖子さんしかり太田裕美さんしかり。でも「木綿のハンカチーフ」という曲を太田裕美さんが歌っているけど、別に誰も彼女のリアルな物語として受け取っていないし、あの物語自体が素晴らしいと思う共感があったから、あれだけいい曲だとなっていて。うちらは結構そういうスタンスに近いと思うんですよね。今、音楽業界を見渡すとそういうやり方をしている人達がたまたまいなくて、ちょっとイケルかも、と思ったのが4年前でした。

■「木綿のハンカチーフ」とか、皆さんのリアルタイムではないですよね。

吉岡:「木綿のハンカチーフ」は両親が。うちの親もギターが好きだったり、「懐かしのメロディー」とかが始まると必ず「チャンネル変えないで!」と言って、みんなで観る様な家だったり。一緒に「サボテンの花」を歌おう、「神田川」だ、いや「22才の別れ」だ、みたいな感じで。

山下:あの頃の曲は特に、3人ともそうだし、多分、日本人全員に染み入るメロディーだったんですよね。。それからどんどん音楽が細分化されていくんですけど、細分化している今だからこそ、何か見落としている物を作れるかもなと思うんですよね。

■神奈川の路上を出て、昨年は初の全国ツアーを回ってみて如何でした?

水野:メジャーデビューしたということを、ツアーで1番実感したかもしれないですね。神奈川を出たことがほとんどなくて、まさか北海道に行ってお客さんが待ってくれているなんて思ってなかった。待ってくれているんだろうけど、実感がないから。行ってみたらお客さんがいて、神奈川と変わらない位の熱さで曲を知ってくれている状態を全国各地で見られたので、受け取ってくれる人達がちゃんといることを実感した、すごく大きなライブでしたね。

■ライブ本数を重ねていく中での変化はありましたか?

山下:本当はいけないと思うんですけど、責任感の自覚というのは毎回積み重ねるごとには高まっていったんですよね。もちろん出来る限り全部同じ様に、特別にやるべきだとは思っているんですけど、それ以上に初めての全国でプレッシャーもあって。いきものがかりをテレビでしか観たことのない人の方が多いわけで、俺達が子供の頃もテレビで観たことがある人を見ると「本当に生きてんだ!」と思ったりしたじゃないですか。自分もそういう風に見られているんだと思って。だから、期待してくれているファンの人達を裏切れないな、それ以上のモノを届けてあげられたらいいなと、ずっと思ってやっていました。

■移動などは楽しめましたか?

山下:ツアー自体はすごく楽しかったですね。バックのサポートメンバーとか、一緒に付いてくれるスタッフさんも含め、みんなで1ヶ月くらい掛けて回ったので。それまでは全然、ツアーというものの意味が分からなくて、実は全国キャンペーンでどこかに行ってライブをするのと何が違うんだろう?という気がしていたんですけど、結構それなりの行程で色々と回ったので「あっ、これが全国ツアーちゅうもんなのか!」というのが初めて分かりましたね(笑)。
■ツアーを経験したことによって得たモノはありますか?

水野:デビュー前から色々なことをやってきて、ここ2年ぐらいで色々と試行錯誤して、CDも出して来たけど、果たしてどうなんだろう?このままで大丈夫なのかな?という迷いがあったのが、ちょうどツアーの頃で。それで、ツアーに行ってお客さんの顔を見たら、今までやってきたことが正しかったんだなと、初めて自信が持てましたね。そうするとライブに対しても、これから制作をしていく上でも、こうやって取材して頂く時でも、全然心の落ち着き具合が違うなと。ちゃんと確信を持ってしゃべれる様になったなと。多分、3人とも変わったんじゃないかなと思いますね。

■目には見えなくても、向こう側にいる、聴く人のイメージがしやすくなった。

水野:ブログを更新する時も見てくれている人がいるんだろうなとか。本当だったらごく当たり前なことなんだけど、そのことをちゃんと確認するかしないかが全然違うことなんだなと思いましたね、ツアーが終わってからは。

吉岡:聴いてくれている人がすごく近付きたがっていて、ギリギリの所までは来てくれるんだけど、私達が心を開いて自分をさらけ出さないと、付いて来てくれないと感じましたね。

山下:今までフリーライブで色々な地方に行ったりはしていたんですけど、それとは質が全く違う。無料だったら立ち止まって聴くこともあるけど、いくらかの対価を払って観に来るという行動をとらせるのはすごく難しくて。最初はなかなか分からなかったんですけど、今考えるともっと積極的に色んなことも出来たのかなと思いますね。

水野:ベーシックに“路上恐怖症”というのがあって、「人というのは聴いてくれないものだ」というのがずっとあるわけですよ。それをどう振り向かせよう、聴いてくれる人は何を求めているんだろう?というのが根本的な考え方なので、まさか向こうから歩いて来てくれるとは思っていなかった。でもそれが実際にツアーに行ったら、あっちの方から手を差し伸べてくれたのに、僕らは怖かったから最初はそれを握ることも出来なかった。前回のツアーでは何とか握ろうとしたんだけど、もっとこれからやっていかなきゃいけないと思わせてくれた。

吉岡:前回よりはもっと自信を持って出来るし、やらなきゃいけないという想いもあるし、実際にできると思うんですよね。自分達が曲を披露するんだけど、もっとお客さん達の胸にちゃんと飛び込んで行く、ちゃんと手を繋げる、触れられる。前回よりもっとそうしたいですね。。

■最後に、今後に向けて考えていることがあれば聞かせて下さい。

山下:もうちょっと柔軟に色んなことをやってもいいかなと思ってますね。前回は結局、曲をやってMCを挟んでという、あまりにもスタンダードだったので。何かもうちょっと遊んだり、お客さんとのキャッチボールだったり、企画を考えてもいいかなと思いますね。

水野:なるべく毎回いい意味でのサプライズを、いい意味での裏切りを。リリースにしても、ライブにしてもやっていけるようなグループでありたいですね。まだ出していない曲も、出していない色もあるので、それをどんどん出していって、「こんなこともやるのか!?」と好奇心を持ってもらえるような行動を、どんどんとっていきたいですね。

吉岡:色んな曲があるので、色んな気持ちになって欲しい、色んな気持ちにしてあげたい。1曲1曲、自信を持って届けたいですね。

いきものがかり - アーティスト情報

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