[11.13 練習試合 U-16日本代表候補 2-2 C大阪U-18]

「支える」から「前に立つ」へ意識変化。U-16日本代表候補のゲーム主将を務めたMF大貫琉偉(鹿島ユース、1年)が戦う部分やリーダーシップで存在感を放ち、攻め上がりからポスト直撃のシュートを撃ち込んだ。

 戦うことは、“当然”のプレーだ。「そこはもう基準で、当たり前でやっているので。そこが抜けると自分はもう何もないので。もう鹿島ユースでは普通のことですし、自分は当たり前としてやってるので、そこに関してはいつも通り、良くできてたかなと思います」。特別な高さやスピードがある訳では無いが、C大阪U-18相手に戦うこと、走ることで対抗した。

 スペースへのスプリントやプレースキック、ボール奪取など攻守で奮闘。そして、1-1の後半41分には中央でパスを受けると、左へのドリブルからDFの股間を抜く形の左足シュートを放つ。素晴らしい一撃だったが、ボールは右ポストを叩き、PA側へ跳ね返った。

 大貫の目標は、点を取れるボランチになることだ。だからこそ、ゴールで試合を決められなかったことを悔しがる。「そこで決めれるかが次のステージへレベルアップできるかどうかの差だと思う」。チームはその2分後に失点。後半終了間際にMF岩崎亮佑(横浜FCユース)のゴールで追いついたものの、「自分がそこを決めていれば勝てたので悔しい」と首を振った。

 大貫は、鹿島ジュニアユースに所属していた昨年の全日本ユース(U-15)選手権で日本一に輝いている。今季はプレミアリーグEAST首位の鹿島ユースで1年生レギュラー。リーグ開幕3戦目で初先発すると、中盤でのボール奪取やセカンドボールの回収、正確な右足キックを武器にチームを支える役割を果たしてきた。

 この日は、鹿島ユースの前主将でU-19日本代表MF小倉幸成(現法政大)のような振る舞いとプレー。同じボランチの小倉は昨年、プリンスリーグ関東1部で2桁得点をマークするなど攻守で活躍し、チームをプレミアリーグ昇格へ導いている。

 大貫は「(得点力も含めて小倉)幸成君はマジでほんと凄くて、あの人がいれば負けないなとも思っているし、そういうところもお手本にしてるので、そういうところではもっと見習っていきたいなと思っています」。小倉のようにゴールを決め、背中でチームに示せるような存在にならないといけないと考えている。

「ジュニアユースの頃は、自分は『下から支えてあげよう』っていう気持ちも大きかったんですけど、ユースに入ってからは『自分が前に立って』、やっぱ点を取って、その背中でみんなに示してあげたいなって思ってもいるので。『自分がいれば、勝たせられるんだぞ』っていうように」。この日、U-16日本代表候補では決めて勝つことができなかったが、ここからの戦いで自分がチームを勝たせるプレーをする意気込みだ。

 この後、鹿島ユースはプレミアリーグEAST優勝をかけて、リーグ戦残り3試合を戦う。「(自分は)まだどこかでその2、3年生に頼っちゃったりしてる部分もあると思う。(優勝して)ファイナルに向かっていくために、もう残り3試合で全部勝たなきゃいけないと思ってるので、そこからはもう自分が点取って勝たせてあげたりしたいし、守備の部分でも『コイツがいたら失点しないな』って思われるような存在になっていきたいと思っています」。元日本代表MFの小笠原満男テクニカルアドバイザーのように鹿島を勝たせる。

「キャプテンシーもそうですし、やっぱキックのところはもう本当にワールドクラスだと思っている。やっぱ(小笠原)満男さんは結構自分でも(プレースタイルが)似てるなと思っていて、戦うところだったり、チーム救うところだったり、そういうところは意識しています」

 将来の目標は鹿島でプロになり、日本代表や海外で活躍すること。「今までお世話になってきたスタッフとか、親に恩を返せるようにしたいと思ってるので。まずは絶対プロになって、そこからどんどんレベル上がって行くうちに、選手としても、人間としても成長して、最終的には親にいい形で恩返しができたらなと思っています」。同じ1年生で鹿島ユースの先発を担うFW吉田湊海(1年)やMF福岡勇和(1年)が先に年代別日本代表で活躍。今回、待望の初選出を果たしたボランチが、チームの前に立って鹿島ユースや年代別日本代表を勝利へ導く。


(取材・文 吉田太郎)