[画像] 課題にAIを使用した生徒へ罰を与えた学校を保護者が提訴



AIで課題を作成したことがばれて罰を与えられた子どもの両親が、「生徒手帳に『AIを使うな』とは書いていない」という事実を根拠に、罰を下した学校に対して判断を撤回するよう求める裁判を起こしました。

Parents Sue School That Gave Bad Grade to Student Who Used AI to Complete Assignment

https://gizmodo.com/parents-sue-school-that-gave-bad-grade-to-student-who-used-ai-to-complete-assignment-2000512000

Hingham Public Schools face AI lawsuit - NBC Boston

https://www.nbcboston.com/news/local/hingham-parents-sue-school-district-claiming-son-unfairly-punished-for-ai-use/3520389/

マサチューセッツ州ヒンガムにあるヒンガム高校で、とある高校生がAIを使って歴史の課題を完成させました。ところが、AIを使った事実を知った学校側は生徒を処分し、当該課題に100点満点中65点を付け、さらに休日の居残りを命じました。

子どもが処分されたことを知った両親はこれに異議を唱え、処分が下ったことでスタンフォード大学をはじめとするエリート校への進学の道が狭まってしまったと主張。課題のためにAIを使うことを明確に禁ずる校則がないことを根拠に、連邦地方裁判所に訴えを起こしました。

訴状によると、生徒は文章の執筆等にAIを使用したのではなく、研究ツールとして使っただけだとのこと。両親は「それにもかかわらず不正と見なされてしまい、素行不良を理由に全米優等生協会からの排除などの処分を受けてしまった。大学への出願書類でも懲戒処分について詳述するよう求められている」と述べ、処分を撤回するよう求めています。



一方のヒンガム高校は「校則では、無許可のテクノロジーの使用および、他の著者の言葉や考えを無許可で使用したり似せたりすること、そしてそれらを自分の作品として表現することを禁じている」と主張し、訴えの棄却を求めました。

訴えを受理した裁判所は「生徒に対する懲戒処分は比較的寛大なものであり、これに反する裁定が下されれば、不満を持つ親や生徒が、日頃の懲戒処分や成績評価について州裁判所や連邦裁判所で争うことになってしまう」と困惑しています。



両親によると、処分を受けた生徒は成績優秀で、AP科目(上級科目)も履修してACT(大学共通テスト)でも満点を取るような生徒だとのこと。生徒の弁護士は「学校側がきちんと校則を定めていたら、私たちが法廷で争うことはなかっただろう。AIの利用に関する校則は、少なくとも学生向けに明確に示されるべきだ」と述べました。

なお、本訴訟ではAIを使って課題をこなすことを禁止すべきかどうかも問われています。マサチューセッツ州初等中等教育省はAIの使用について学校向けの規則やガイダンスを出していませんが、専門家によるとアメリカの州の半数は学校でのAIの使用について定めた規則を発行しているため、地域ごとに異なる規則のために教育機関と生徒の両方に混乱が生じる可能性があるとのことです。