[9.19 練習試合 U-19日本代表 7-2 流通経済大 稲毛海浜公園球技場]

 持ち味の攻撃参加で得点に絡んだ。U-19日本代表DF高橋仁胡(C大阪)は後半45分間で左サイドバックとしてプレー。攻撃の起点としてチーム6点目を演出した。「(持ち味は)攻撃的なところ。出せなくてもファイトするのが好きなので、それを出したい」。バルセロナで育った異質SBがチームをけん引した。

 来週キルギスで開幕するU20アジアカップ予選を前に、国内合宿最終日に練習試合を実施。前後半でメンバーを入れ替えるなか、高橋は後半から起用された。後半21分には高橋の縦パスがゴールを演出。反応したFW横山夢樹が左サイドからクロスを上げると、ファーサイドのMF廣井蘭人がゴールに流し込んだ。

「みんないいプレーをしたと思う。得点はもっと取れたと思うけど、予選に向けてこの試合でここもっと強くなれるとかみんなで話せばいい」。そう語る高橋は自身の出来も総括。「パスミスがけっこう多かった。前に攻めるとき、自分もそういうパスミスをなくすために何をすればいいか。自分で見てまた考えられなあかん」と振り返った。

 日本人の母とアルゼンチン人の父を持つ高橋は、幼少からスペインで育った。2019年にはバルセロナのアカデミーに加入し、昨夏にはフベニールA(U-19)でプレー。この夏にはJリーグ入りが決まると、セレッソ大阪加入が発表されていた。

 ドルトムントとの親善試合には出場したが、いまはチームに少しずつ順応中だ。「来てからだんだん(調子は)上がっている。日本のサッカーもちょっと違うので、そこもちょっとずつ慣れてきている。毎日がんばっている」と現状を語った。

 日の丸を着けた戦いでは、チームをけん引する立場だ。2年前に飛び級で冨樫剛一監督(現横浜FMユース指揮官)が率いたU-19日本代表に選ばれており、昨年のU20アジア杯やU-20ワールドカップメンバーにも飛び級選出。母国アルゼンチンで行われたU-20W杯で世界を体感した経験がある。

「自分が前に行けたことは、みんなに、冨樫監督に感謝している。いろんなものを学べた。そこからみんなに、このトーナメントはこんな感じと、どうやるかを伝える。みんなすばらしい選手だけど、完璧なプレーをせなあかんと思うし、集中も100%にするので、それを伝えられればいいかなと」

 アジアの戦いも熟知する。厳しい環境のなかで「もしかして自分たちのサッカーはできんかもしれん」と試合をイメージ。「だけど、一人ひとりは自分のマーカーに絶対勝つことを考えていかなあかんと思う。パスサッカーはできんかもしれんけど、クロスサッカーをして、セカンドを拾って、ミドルを打っていけたら」。グループリーグ敗退に終わったU-20W杯の舞台に戻るべく、高橋の再挑戦が始まる。

(取材・文 石川祐介)