今はご近所付き合いも減り、隣に住んでいる人の「顔も名前も知らない」というのも珍しくありません。そんな中でも、今回は筆者の友人H子がアパートの隣に住んでいる高齢のご夫婦の異変に気づき、ご夫婦の息子さんに感謝された心温まるエピソードをご紹介します。
高齢ご夫婦の玄関前に、テレビ通販の段ボールを発見
ご夫婦は耳が遠く、一日中爆音でテレビやラジオを流しています。
特に夏場はエアコンも付けず窓を全開にするので、アパートの外までテレビの音が聞こえてきます。
ある日H子は、ご夫婦の玄関のドアの前にテレビで有名な通販番組の名前が載った段ボール箱を見つけました。
この時は「置き配かな? テレビ通販好きなんだろうなぁ」と微笑ましい気持ちだったのですが……。
自治体の行事に姿を見せなくなったご夫婦
H子が通販の段ボールを見つけてから数週間後。
気がつくと、毎日のようにご夫婦の自宅に配達員がきています。
置き配を目にする回数も増え『いくらなんでも、買い物のし過ぎじゃない?』と心配になってきました。
また、この頃から自治会の地域清掃や防災訓練にもご夫婦の姿を見かけなくなったことが気がかりでした。
H子の小さなお節介が、高齢者の健康を守った
それから3ヶ月ほど経った頃、お盆になりました。
ちょうどご夫婦の息子さんが帰省されたので、H子はお節介を承知で、ご夫婦の様子を伝えました。
すると息子さんから「最近、母さんが通販で良い商品を見つけたからって、頼んでもない家電を送ってきたりしてたんですよ」と、自分も親の変化を気にしていたことを教えてくれました。
地域や人のつながりを大切にしよう!
その後息子さんは、両親がテレビ通販で大量に商品を購入していることを知り『これはヤバい!』と思ったようです。
ご両親を病院に連れて行き認知機能の検査をしたところ、かなり衰えていることがわかりました。
これがきっかけで息子さんは両親を引き取ることを決めました。
そして数ヶ月後、ご夫婦は息子さんが住む町に引っ越したのですが、その時「H子さんが声をかけてくれたおかげで、両親の認知症に気づくことができました。ありがとうございます」と深々と感謝されました。
日常の何気ない気づきや行動が、大きな影響を与えることもあります。
私も高齢者だけでなくお子さんなど、近所に困っている人がいないか気を配り、小さな変化を見逃さないようにしたいです。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2024年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:広田あや子
教育関係のキャリアを経て、ライターに転身。実体験に基づく記事は、「真実は小説より奇なり」を痛感し、体験者へのヒアリングを通じての執筆に特化。プレママ・ママを対象としたサイトを中心に執筆し、特に義実家トラブルネタを得意とする。