⇒年初来では、増配が235件、配当開始が6件、減配が10件、配当停止が2件となっています。2023年の同期間は、増配が240件、配当開始が7件、減配が19件で、配当停止は4件でした。
⇒2023年通年では、増配が348件、配当開始が11件、減配が26件、配当停止が4件ありました。2022年は、増配が377件、配当開始が7件、減配が5 件で、配当停止はありませんでした。
○8月の増配率の中央値は、7月の5.66%から6.76%に上昇しました(6月は2.62%でした)。年初来では6.76%(7月末時点は6.67%、6月末時点は6.78%)となっています。8月の平均増配率は7月の9.24%から7.15%に低下し(6月は8.46%)、年初来では8.35%(7月末時点は8.48%。いずれも2倍以上になった銘柄を除く)となりました。2023年の年間の増配率の中央値は7.01%(2022年と2021年はともに8.33%)、平均値は8.68%(同11.80%、同11.76%)でした。
○2024年の配当に関して、予想は引き続き増加となっており、年間の増配率は1936年以降の平均である5.79%を上回る見通しです。この予想では、アルファベット による最近の配当開始(年間配当額を87億ドル押し上げ)、米銀による6月と7月の増配(FRBが6月にストレステストを通じて認可)、米連邦公開市場委員会(FOMC)による2024年第3四半期末時点での利下げ開始(9月18日のFOMC会合において)に加えて、景気の大幅な減速は回避され、インフレ再燃への懸念は限定的(だが高まりつつある)で、政府の財政政策の大きな調整はない(政策とインセンティブの継続を予想)ことを織り込んでおり、2024年の実際の1株当たり配当支払額は、2023年から約6%増加すると予想しています(2023年は前年比5.05%増、2022年は同10.80%増)。これにより2024年の現金配当は、15年連続の増加と13年連続の過去最高の更新が見込まれます。
⇒注目すべき点として、2024年第3四半期と2024年第4四半期の配当支払い額は、過去最高の更新が予想されます(現在の過去最高は2023年第4四半期)。
●インデックス・レビュー
◇S&P500指数
8月のS&P500指数 は厳しい出だしとなり、月初の3営業日で6.08%下落しました。背景には円キャリートレードの巻き戻しがあり、円が1ドル142円まで上昇した結果、日経平均株価は3営業日で12.40%下落しました。米国のVIX恐怖指数は、景気後退懸念が再燃し、米国株が幅広く下落する中で、65.37まで上昇しました(これら3つの指数は月末までにある程度回復)。数日をかけてキャリートレードが解消され、経済を巡る懸念が後退するのに伴い、市場は回復基調となり、9月17‐18日のFOMC会合で予想される利下げに投資家の注目が集まりました(0.25%と0.50のどちらの利下げ幅が見込まれるかが議論されています)。相場の好転に加えて、2024年第2四半期決算(98%の銘柄が発表済み)は好調な内容が続いており、利益は四半期ベースで過去最高を更新する見通しです(2024年第3四半期と第4四半期も過去最高益の更新が予測されています)。更にインフレ率も低下が続きました。その結果、幅広い銘柄で株価が反発し、S&P500指数は前月末比6.08%の下落から切り返し、同2.28%上昇で月を終え、終値での過去最高値を僅かに0.33%下回る水準となりました。
8月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は7月の0.95%から1.32%に上昇し、2023年3月(1.51%)以来の高水準となりました。年初来では0.91%となっています。なお、2023年通年は1.04%、2022年は1.83%、2021年は0.97%、2020年は1.51%でした(長期平均は1.42%)。8月の出来高は、7月の前月比9%減少の後に、同1%増加し(営業日数調整後)、前年同月比では2%減少となりました。2024年8月までの12ヵ月間では前年同期比8%減少しています。2023年通年では前年比1%減で、2022年通年では同6%増でした。