「今は家賃がかからないので、生活費は妻と2人で月5万バーツ(約21万円)ほどです。昼は会社の社員食堂を利用しており、1食あたり30バーツ(約120円)で、家では基本的に自炊しています。毎週末、外に飲みに行ってもこの程度なので、日本やバンコクと比べるとやはり安いですね。ただし、移住当初に比べるとパタヤの物価も上がっていると感じます」
休日はビーチ沿いのカフェを巡ったり、まとまった休みを取ってプーケットで趣味のマリンスポーツに没頭するなど、働きながらタイでの生活を楽しんでいるという。
◆「満員電車に揺られるストレスがない」
現地採用として働く中で、何か苦労することはあるのだろうか。
「出勤と退勤の際には会社の送迎があるので、日本で働いていた頃のように満員電車に揺られるストレスがないのが良いですね。大変なのはタイ人の部下をまとめることです。現地採用の場合、駐在員とは違い、語学学校の授業料が会社から支給されないんです。
そのため、タイに移住してからは自費でタイ語スクールに通って勉強しました。今ではタイ語検定4級を取得し、業務や日常会話には問題ありません。ただ、複雑な指示や日本人のような言い回しはタイ人には伝わらないので、できるだけシンプルに伝えるように心がけています。人間関係においては、SEで専門職なので、駐在員と比べると気楽な面もありますね」
◆あと5年ぐらい働いてリタイアしたい
最後に、今後の人生プランについても聞いた。
「日本に帰るつもりはないですね。タイでは定年退職の年齢に関する規定はありませんが、社会保険の年金給付が55歳以降からなので、その頃にリタイアしたいと考えています。あと5年ぐらいは働いて、それ以降はパタヤで自分の趣味を楽しみながらのんびり暮らしたいですね」
日本で働いて定年退職後にタイ移住を考える場合、いざ定年を迎えた頃には健康面などの理由でスムーズにいかないことも少なくない。篠崎さんのようにリタイアを見据えて先に移住し、現地で働きながら馴染んでいくという方法もアリなのかもしれない。
<取材・文/カワノアユミ>
【カワノアユミ】
東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在は夜の街を取材する傍ら、キャバ嬢たちの恋愛模様を調査する。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano
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