[7.10 天皇杯3回戦 柏2-1(延長)筑波大 三協F柏]

 試合前のビジョンでは、過去の天皇杯を振り返るVTRが繰り返し放送されていた。その中で2017年の2回戦、当時2年生の三笘薫の2ゴールでベガルタ仙台を破った筑波大の快進撃も象徴的なシーンとして取り上げられていた。

 現在柏レイソルでプレーするMF戸嶋祥郎も当時、筑波大の一員として戦っていた。「僕らもJリーグを相手に勝ってやろうとやっていたように、今日の相手からも伝わった」。懐かしさにふけると、「初心じゃないけど、僕自身も学生の時にこの大会で成長できたという感覚があったので、そういった気持ちを改めて思い返させてもらったなと思います」と口元を緩めた。

 2年前の対戦も先発メンバーとして経験していた戸嶋だが、今回の対戦の方がホール保持のところでよりストレスを感じたという。「勝って当たり前という見られ方をされたかもしれないけど、現場でやっていると勝つのが難しいというところが正直なところ。彼らの上手さとエネルギッシュさに苦しめられたけど、勝ち切れたのはよかった」とホッと胸を撫で下ろす。

 当然、柏としては通過点。昨年度大会の決勝でPK負けを喫した悔しさはイレブン全員が共有している。戸嶋も「目標に近づけているのはポジティブ。去年と同じようにファイナルまで進んで、忘れ物を取り返したい。(個人としても)きょう思い返させてもらった気持ちを今後のリーグ戦だったり天皇杯に繋げていきたい」と力強く話していた。

(取材・文 児玉幸洋)