[画像] Amazonがオーストラリア政府と提携して軍用の「最高機密クラウド」を構築することを発表



by Web Summit Rio

AmazonのクラウドサービスであるAmazon Web Services(AWS)とオーストラリア政府が2024年7月4日に、20億オーストラリアドル(約2170億円)の契約を締結し、国家安全保障および防衛向けの「最高機密(TS)クラウド」を構築する計画を明らかにしました。

Australian Government partners with Amazon Web Services to bolster national defence and security | Defence Ministers

https://www.minister.defence.gov.au/media-releases/2024-07-04/australian-government-partners-amazon-web-services-bolster-national-defence-and-security

AWS partnering with the Australian Government to deliver cloud innovation in national security & defence - About Amazon Australia

https://www.aboutamazon.com.au/news/company-news/partnering-with-the-australian-government-to-deliver-cloud-innovation-in-national-security-defence

Australia to build Top Secret cloud in AWS for defence users • The Register

https://www.theregister.com/2024/07/04/australia_aws_top_secret_cloud/

オーストラリアのリチャード・マールズ副首相兼国防大臣は2024年7月4日に、10年間で20億オーストラリアドルを投じてAWSのクラウドシステムを導入すると発表しました。

Australian defence minister announces $2bn 'top-secret cloud' with Amazon - YouTube

TSクラウドの主な使用者はオーストラリアの国防機関と情報機関で、2027年から順次利用が開始される予定です。

今回の決定の狙いは大きく分けて2つあります。1点目は、防衛通信ネットワークの抗たん性、つまり攻撃を受けた際に機能を維持したり復元したりする力を強化して、機密性の高いデータを保全する能力を向上させることです。

「これにより、我が国の最も機密性の高いデータを迅速で大規模かつ安全に共有および分析する能力が向上し、人工知能や機械学習などの最先端のテクノロジーを活用する機会が提供されます」と国防省は強調しています。



2点目は、アメリカ軍との連携の強化です。これについて、マールズ大臣は会見で「同盟の重要なパートナーであるアメリカに対して、私たちは間違いなくクラウドの導入を行う必要があります。そうすることで、将来的にアメリカ国防軍と共通のコンピューティング運用環境を確保することができるのです」と述べました。

IT系ニュースサイトのThe Registerによると、アメリカでは既にAWSによるTSクラウドの構築が進んでいるほか、イギリスも機密情報の取り扱いにAWSを活用しているとのこと。

そのためアメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダの5カ国による機密情報共有の枠組みであるUKUSA協定、いわゆるファイブアイズとの連携を踏まえると、AWSとの提携は「選びやすい選択肢でした」とThe Registerは指摘しています。

20億オーストラリアドルの予算には、オーストラリア国内に新設される3つの専用データセンターの建設費用も含まれており、このプロジェクトで合計最大2000人の雇用が創出されると見積もられています。

AWSのワールドワイド公共部門担当ヴァイスプレジデントのデイブ・レヴィ氏は「このパートナーシップにより、オーストラリア政府とその防衛・情報機関はデータを安全に共有し、イノベーションを加速し、任務をより早く達成できるようになります。私たちは、オーストラリアの利益を守り、推進するというオーストラリア政府の使命をサポートし、オーストラリアに対する長期的なコミットメントを堅持し、イノベーションの推進と地域社会の生活向上に貢献していきたいと考えています」と述べました。