[画像] Chromeで広告ブロックを使い続ける方法



2024年5月30日に、GoogleはChromeにおける「Manifest V2」の廃止を段階的に開始しました。このManifest V2を受けて広告ブロック拡張機能が使用不能になる可能性が浮上しているのですが、Manifest V2を強制的に有効化する設定を施すことでManifest V2にしか対応していない拡張機能も実行できるようになります。

Manifest V2 のサポート タイムライン  |  Chrome Extensions  |  Chrome for Developers

https://developer.chrome.com/docs/extensions/develop/migrate/mv2-deprecation-timeline?hl=ja

Chrome Enterprise のポリシーリストと管理 | ドキュメント

https://chromeenterprise.google/policies/#ExtensionManifestV2Availability

How to keep using adblockers on chrome and chromium · GitHub

https://gist.github.com/velzie/053ffedeaecea1a801a2769ab86ab376

Manifest V2はGoogleが定めているChromeの拡張機能仕様です。Googleは2020年に次期バージョンの「Manifest V3」を発表し、2024年5月にChromeでのManifest V2サポートの段階的廃止を開始しました。Manifest V3ではManifest V2で使用可能だった一部の機能が制限されるため、Manifest V2にしか存在しない機能を利用している拡張機能は段階的に使用不能になってしまいます。

Googleが拡張機能仕様「Manifest V2」の段階的廃止を開始 - GIGAZINE



Chrome向け広告ブロック拡張機能の多くもManifest V2にしか存在しない機能を用いているため、Manifest V3に対応するアップデートを適用しないと使用不能になってしまいます。一部の広告ブロック拡張機能はManifest V3に対応するアップデートをリリースしていますが、Manifest V3に対応できていない広告ブロック拡張機能も数多く存在します。

AdGuardが世界初となるChromeの「Manifest V3」対応版広告ブロッカー「AdGuard Browser extension V3」をリリース - GIGAZINE



GoogleはManifest V2に依存する拡張機能を必要とする企業や団体向けの暫定措置として、Manifest V2の有効無効を手動で切り替えられるポリシー「ExtensionManifestV2Availability」を用意しています。Chromeのバージョン110以降のユーザーは、ExtensionManifestV2Availabilityの値を「2」に設定することでManifest V2にしか対応していない拡張機能を使い続けることができます。各OSでの設定方法は以下の通り。

◆Windows

Windowsの場合、「コンピューター\HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Google\Chrome\」というレジストリキーに「ExtensionManifestV2Availability」というDWORD(32ビット)値を追加して値を「0x00000002」に設定すればOK。具体的な手順は以下の通りです。

まず、スタートメニューから「レジストリ エディター」を検索して実行します。



レジストリ エディターが起動したら、画面上部のアドレスバーに「コンピューター\HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies」と入力してEnterキーを押します。



続いて、画面右側の何もない部分を右クリックして「新規」をクリックしてから「キー」をクリック。



左側のツリーに新しいキーが追加されたら名前を「Google」に変更します。



作成した「Google」をクリックしてから画面右側の何も表示されていない部分を右クリックして「新規」をクリックし、「キー」をクリック。



画面左側のツリーに新たなキーが追加されたら「Chrome」という名前に変更します。



続いて、「Chrome」をクリックしてから画面右側の何も表示されていない部分を右クリックして「新規」をクリックし、「DWORD(32ビット)値」をクリック。



新たな値が追加されたら名前を「ExtensionManifestV2Availability」に変更します。



次に、ExtensionManifestV2Availabilityを右クリックして「修正」をクリック。



「値のデータ」に「2」と入力して「OK」をクリック。



以下のように値を登録できたら、設定は完了。後は、Chromeを再起動すればManifest V2が有効になります。



◆macOS

macOSの場合、ターミナルで以下のコマンドを実行すればOK。

defaults write com.google.Chrome ExtensionManifestV2Availability 2

◆Linux

Linuxの場合は以下のコマンドを実行すればOK。

sudo mkdir -p /etc/opt/chrome/policies/managed /etc/opt/chromium/policies/managed
echo '{ "ExtensionManifestV2Availability": 2 }' | sudo tee /etc/opt/chrome/policies/managed/policy.json /etc/opt/chromium/policies/managed/policy.json

◆確認方法

いずれのOSでも、Chromeを起動してアドレスバーに「chrome://policy」と入力してEnterキーを押すとポリシー管理画面にアクセスできます。ポリシー管理画面に「ExtensionManifestV2Availability」というポリシーが表示され、値が「2」になっていれば設定は成功です。



なお、Chromeでは2025年6月にManifest V2が完全に廃止される予定です。Manifest V2が完全に廃止されると、上記の設定を適用してもManifest V2で開発された拡張機能を実行できなくなります。

ちなみに、FirefoxもManifest V3のサポートを始めていますが、Firefox開発元のMozillaは「MozillaはManifest V2の廃止を計画していません」と明言しています。このため、「レジストリを編集するのが怖い」という場合はChromeからFirefoxに移行するのも一つの手です。ただし、すべてのChrome向け拡張機能がFirefoxにも対応しているわけではないので注意が必要です。

Manifest V3 updates landed in Firefox 127 - Mozilla Add-ons Community Blog

https://blog.mozilla.org/addons/2024/06/13/manifest-v3-updates-landed-in-firefox-127/